Intelが提供していた永続メモリ「Intel Optane」のために、さまざまな技術が開発されていた。その取り組みは無駄ではなかった。Samsung Electronicsの「MS-SSD」が示した可能性とは。
メモリとストレージの双方の特徴を持つメモリ「永続メモリ」としては、Intelが提供していた「Intel Optane」(以下、Optane)がある。ストレージの業界団体Storage Networking Industry Association(SNIA)やさまざまなソフトウェアベンダーが、そうした永続メモリのためのさまざまな技術を開発してきた。
その取り組みは無駄ではなかった。業界標準のインターコネクト(相互接続)規格「Compute Express Link」(CXL)の接続を採用したSSDを設計することで、Samsung ElectronicsはSSDをメモリとして使用する道を切り開いた。
Samsung Electronicsが2022年に公開した、CXLを使用するSSD「メモリセマンティックSSD」(MS-SSD)は、永続メモリに新たな可能性を示した。例えばSNIAのプログラミングモデル「NVM Programming Model」(NPM)は、ソフトウェアがOptaneのために使用するプログラミングモデルとして開発されたものだった。それを、CXLを使用するNAND型フラッシュメモリ搭載SSDに活用するという新たな使途ができたのだ。
ただしNAND型フラッシュメモリは、揮発性メモリの一種「DRAM」(Dynamic Random Access Memory)と比較するとデータ転送速度が遅い。Samsung ElectronicのMS-SSDの設計では、大容量DRAMを使用してSSDのデータを可能な限り多くキャッシュ(一時保管)している。同社が2022年に公開したMS-SSDの容量2TBのプロトタイプは、16GBものDRAMを搭載していた。こうした大容量のDRAMを搭載する設計は、おそらくCXL接続SSDの主流になる。Samsung Electronicsが公開したMS-SSDのベンチマークテストでは、既存のSSDに比べてランダムリード(不連続なデータの読み出し)性能を約1900%向上したという。
Samsung Electronicsは、MS-SSDはサーバのメモリ2TB分の拡張メモリとして自身をホスト(CPU)に提示できると説明した。ただしMS-SSDの容量2TBの全てをメモリとしてマッピングする必要はない。MS-SSDは、同社が「Dual Mode」(デュアルモード)と呼称する機能を備えている。この機能により、CXLのプロトコルの一つ「CXL.mem」または「CXL.io」を使ってメモリ領域とSSD領域に分割できるからだ。
MS-SSDの第1世代のプロトタイプは、永続メモリとして使うことを想定していない。つまり電源が失われた際は、16GBのDRAM全体を、SSD内のNAND型フラッシュメモリに書き込むまで動かし続ける対策が必要になる。大量のバッテリーなど、蓄電デバイスを用意しておく必要があるということだ。Samsung Electronicsは、MS-SSDの第2世代で永続メモリ化することを目標にしていた。
CXL接続SSDが永続メモリとして市場に受け入れられるようになれば、ストレージ管理者の仕事は変化すると考えられる。これはOptaneが使われ出したときと同じだ。例えば、機密データはCXL接続SSDと従来型SSDの両方に存在する可能性があるため、データセキュリティへの配慮が必要になる。
第4回は、キオクシアや韓国の研究機関において進む、CXL接続SSDの研究開発を紹介する。
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