英国の大学入学統一試験「GCE A Level」でコンピューティング科目を選択した女子生徒の数は2019年から徐々に増加している。ただしある専門家はこの動きを「納得できる状態ではない」と指摘する。その理由は。
英国の8つの資格授与機関から成る会員制組織Joint Council for Qualifications(JCQ)は、英国の大学入学統一試験「General Certificate of Education Advanced Level」(GCE A Level)の受験者数や成績を公開している。同組織が2023年8月に公開したデータによると、コンピュータサイエンスを扱う「コンピューティング」科目を選択した受験者数は2022年が1万5693人、2023年は1万8306人だった。
女子の受験者数は2019年の1475人に対して、2023年には2765人となり増加傾向にある。だが企業向けのオンライン学習サービスを提供するSkillSoft Corporation傘下のSkillSoftでEMEA(欧州、中東、アフリカ)地域担当バイスプレジデントを務めるアガタ・ノバコフスカ氏は、この状況を「納得できる状態ではない」と指摘する。
2023年にGCE A Levelでコンピューティング科目を選択した受験者の中で、成績の最高評価であるA*を獲得したのは全体の5.3%で、2022年の14.5%に比べて大きく減少した。ただし2019年の3.4%と比較すると増加している。性別で比較すると、女子生徒の6.3%がA*を獲得したのに対し、男子生徒は5.1%だった。女子生徒の方がA*を獲得した割合が高いものの、人数は3000人に満たないのが現状だ。
ノワコフスカ氏によれば、STEM(科学、技術、工学、数学)科目の履修者は依然として男子生徒に偏っており、女子生徒は敬遠する傾向にあるという。消えることのない偏見がGCE A Levelでの女子生徒の科目選択を左右し、進学やキャリア形成にも影響を与えている。「STEM分野が女子生徒に開かれるまでの道のりは長い。STEM分野が女子生徒も歓迎しているという状況を教育機関や企業、政府が共に作る努力が必要だ」(同氏)
後編は、コンピューティング科目の課題を整理する。
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