女子生徒が感じる「コンピュータ科目が苦手」は大きな誤解だった?コンピュータサイエンスと女子生徒の選択【前編】

英国の大学入学統一試験「GCE A Level」でコンピューティング科目を選択した女子生徒の数は2019年から徐々に増加している。ただしある専門家はこの動きを「納得できる状態ではない」と指摘する。その理由は。

2024年03月07日 08時00分 公開
[Clare McDonaldTechTarget]

関連キーワード

教育 | 教育IT


 英国の8つの資格授与機関から成る会員制組織Joint Council for Qualifications(JCQ)は、英国の大学入学統一試験「General Certificate of Education Advanced Level」(GCE A Level)の受験者数や成績を公開している。同組織が2023年8月に公開したデータによると、コンピュータサイエンスを扱う「コンピューティング」科目を選択した受験者数は2022年が1万5693人、2023年は1万8306人だった。

 女子の受験者数は2019年の1475人に対して、2023年には2765人となり増加傾向にある。だが企業向けのオンライン学習サービスを提供するSkillSoft Corporation傘下のSkillSoftでEMEA(欧州、中東、アフリカ)地域担当バイスプレジデントを務めるアガタ・ノバコフスカ氏は、この状況を「納得できる状態ではない」と指摘する。

女子生徒が感じる「コンピュータが苦手」は誤解だった?

 2023年にGCE A Levelでコンピューティング科目を選択した受験者の中で、成績の最高評価であるA*を獲得したのは全体の5.3%で、2022年の14.5%に比べて大きく減少した。ただし2019年の3.4%と比較すると増加している。性別で比較すると、女子生徒の6.3%がA*を獲得したのに対し、男子生徒は5.1%だった。女子生徒の方がA*を獲得した割合が高いものの、人数は3000人に満たないのが現状だ。

 ノワコフスカ氏によれば、STEM(科学、技術、工学、数学)科目の履修者は依然として男子生徒に偏っており、女子生徒は敬遠する傾向にあるという。消えることのない偏見がGCE A Levelでの女子生徒の科目選択を左右し、進学やキャリア形成にも影響を与えている。「STEM分野が女子生徒に開かれるまでの道のりは長い。STEM分野が女子生徒も歓迎しているという状況を教育機関や企業、政府が共に作る努力が必要だ」(同氏)


 後編は、コンピューティング科目の課題を整理する。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia マーケティング新着記事

news103.jpg

なぜ料理の失敗写真がパッケージに? クノールが展開する「ジレニアル世代」向けキャンペーンの真意
調味料ブランドのKnorr(クノール)は季節限定のホリデーマーケティングキャンペーン「#E...

news160.jpg

業界トップランナーが語る「イベントDX」 リアルもオンラインも、もっと変われる
コロナ禍を経て、イベントの在り方は大きく変わった。データを駆使してイベントの体験価...

news210.png

SEOを強化するサイトの9割超が表示速度を重視 で、対策にいくら投資している?
Reproが「Webサイトの表示速度改善についての実態調査 2024」レポートを公開。表示速度改...