アクセス制御を「Linux」で実行する上では、主に「SELinux」と「AppArmor」の2つの選択肢がある。それぞれの利点と欠点をまとめた。
OS「Linux」は、複数のセキュリティモジュールを組み込んでいる。アクセス制御を実現するための代表的なセキュリティモジュールが「SELinux」(Security-Enhanced Linux)「AppArmor」だ。「Red Hat Enterprise Linux」(RHEL)およびその派生ディストリビューション(配布パッケージ)はSELinuxを、「Debian」およびその派生ディストリビューションはAppArmorを主に標準セキュリティモジュールとして採用している。両者には、それぞれどのような利点と欠点があるのか。
SELinuxの利点は、適用できる制御の細かさだ。SELinuxは、異なるセキュリティレベルを持つ情報の扱いを可能にするための仕組み「MLS」(Multi-Level Security)に基づいたアクセス制御ができる。これによって細かくアクセス制限をしたり、機密性の高いデータが漏えいすることを防いだりしやすくなるため、より強固なセキュリティを構築可能だ。
ただしSELinuxは習得が難しい。SELinuxのようなCLI(コマンドラインツール)は使いこなすための技術が必要な上、エラーの対処も難くなりがちだ。このため、SELinuxに不慣れなIT管理者は挫折してしまう可能性がある。
AppArmorの利点は、使い方が簡単なことだ。このことを理由に、RHELベースのディストリビューションではなく、Ubuntuベースのディストリビューションを選択するIT管理者が一定数いる。
シンプルで使いやすい半面、AppArmorは、SELinuxのように細かいアクセス制御をすることは難しい。AppArmorはアプリケーションやプロセスのアクセスをファイルパスに基づいて制御する一方で、SELinuxは属性に基づいてアクセス制御を実施するため、より高いレベルでのアクセス制御が可能になる。Linuxの起動時間が長くなりやすいことも欠点だ。
SELinuxは時間がかかる複雑な問題への対処に、AppArmorは素早く解決する必要がある問題への対処に向いている。より強固なセキュリティを求める場合は、SELinuxを標準で有効にしているディストリビューションを選ぶとよい。あなたがIT管理者ではなく、攻撃者を妨害するセキュリティシステムを搭載したディストリビューションをお望みなら、AppArmorを標準で有効にしているものの方が望ましい。
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