Googleの「サードパーティーCookie廃止」がWeb市場を“激震”させる予感規制が進む「Cookie」問題【前編】

Googleはプライバシーの懸念に対処するため、ChromeのサードパーティーCookie廃止に踏み切る。これによってどのような影響があるのか。今後の同社の計画とは。

2024年03月11日 08時30分 公開
[Mary Reines, Don FluckingerTechTarget]

関連キーワード

cookie | Google Chrome | Google | マーケティング


 プライバシー保護の観点から「サードパーティーCookie」の廃止が進んでいる。サードパーティーCookieとは、エンドユーザーの訪問先Webサイトと異なるドメインが発行したCookieを指す。AppleのWebブラウザ「Safari」では2020年、Mozillaの「Mozilla Firefox」では2019年にサードパーティーCookieがブロックされるようになった。

 Googleは2024年下半期までに、同社のWebブラウザ「Google Chrome」(以下、Chrome)におけるサードパーティーCookieの全廃を目指す計画を明らかにしている。この取り組みは市場にどのような影響を与えるのか。

Googleの「サードパーティーCookie」廃止による影響

会員登録(無料)が必要です

 サードパーティーCookieの代替手段として、Googleはプライバシー保護と広告の効率化を実現する技術「Privacy Sandbox」を提唱している。この取り組みの一環として2024年1月に、Chromeユーザーの1%を対象に「Tracking Protection」(トラッキング保護)措置を導入。これはWebサイトのサードパーティーCookie利用を制限することで、Webサイトを横断するトラッキングを規制するものだ。

 GoogleがサードパーティーCookie廃止とTracking Protection導入を進める狙いは2つある。1つ目は、エンドユーザーや規制当局のプライバシーに関する懸念に対処すること。2つ目が、英国競争市場庁(CMA)による規制を避けつつ、オンライン広告収入を維持することだ。CMAは、GoogleがサードパーティーCookieの代替手段として同社に有利な仕組みを採用していないかどうか、目を光らせている。

 一方で、調査会社IDCでアナリストを務めるジェリー・マリー氏はGoogleの戦略について「先見性に欠ける」と指摘する。テキストや画像などを自動生成するAI(人工知能)技術「生成AI」(ジェネレーティブAI)の登場や、クロスドメイントラッキングの衰退により、オンライン広告市場の主要プレイヤーがひっくり返る可能性もあるからだ。

 マレー氏の予測では、これからオンライン広告の収益はインプレッション(広告が表示された回数)ベースからコミッション(広告がクリックされた回数)ベースに移行するという。


 後編は、“Cookieレス”の時代に注目される「CDP」(顧客データプラットフォーム)について解説する。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 株式会社ネオジャパン

製造業のデータ活用を促進、ノーコード開発ツールを用いた“見える化”の進め方

基幹システムに蓄積された情報を効率的かつ効果的に活用するには、データを見える化することが不可欠だ。見える化の必要性を確認しながら、ノーコード開発ツールを使い、データの有効活用を実現する方法を紹介する。

比較資料 株式会社ネオジャパン

自社に最適なノーコードツールは? 主要製品を機能やコストで徹底比較

DX推進の鍵となる「内製化」や「ITの民主化」に大きな効果をもたらすとされているノーコード・ローコードツール。本資料では、選定時の重要ポイントを紹介したうえで、国産ツール3製品を対象に、機能・コストを徹底比較する。

事例 株式会社ネオジャパン

ノーコードで現場に即したアプリを作成、事例に学ぶ業務効率化への取り組み

さまざまな業務でデジタル化が進む中、ノーコード業務アプリ作成ツールを活用して成果を生み出す企業が増えてきた。本資料では、業務効率化や脱Excelを実現した6社の事例を紹介する。

事例 Twilio Japan合同会社

SMS機能を1週間で実装し宿泊客とのやりとりを効率化、事例で学ぶホテル業界のDX

無人スタイルのホテルを運営するHosty。同社では自社開発のコミュニケーションツールを活用し、宿泊客が安心して過ごせる仕組みを構築している。どのようなツールをどうやって開発したのか、同社の取り組みを紹介する。

製品資料 株式会社ベリサーブ

アジャイル開発の大規模化に伴いテストのコスト/管理工数が増大、どう解消する

アジャイル開発の大規模が進む中で製品の品質を担保するためには、「自動テストのメンテナンスコスト増大」「手動テストに関わる工数の増大」などの課題を解消することが重要だ。どのようなアプローチが有効なのか、本資料で解説する。

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...

news040.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news253.jpg

「AIエージェント」はデジタルマーケティングをどう高度化するのか
電通デジタルはAIを活用したマーケティングソリューションブランド「∞AI」の大型アップ...