「攻撃対象領域」(アタックサーフェス)を特定し、対策を講じる手法として「ASM」がある。組織はASMに取り組む際、何をすればいいのか。ASMに生かせる“5大ポイント”を紹介する。
攻撃の侵入口や経路になり得る領域を「攻撃対象領域」(アタックサーフェス)と呼ぶ。「IoT」(モノのインターネット)の技術やクラウドサービスを採用するなど、組織がさまざまなIT製品やサービスを採用することでアタックサーフェスが広がっている。
アタックサーフェスを把握し、管理するための手法として「ASM」(Attack Surface Management:攻撃対象領域管理)がある。組織はASMとして何に取り組むべきなのか。5つにまとめて紹介する。
組織のシステム構成が変われば、アタックサーフェスも変化する。新たなIT製品やサービスの採用によって、組織のシステム構成はさまざまな変化にさらされている。ASMの第一歩は、継続的に組織のアタックサーフェスを見つけて危険度を評価することだ。他にも、さまざまな取り組みがある。
脅威を迅速に特定し、分かりやすくするための“見える化”が肝心だ。セキュリティ担当者は多忙なので、大量のデータを見て脅威分析する時間がない。ASMに取り組む際、脆弱(ぜいじゃく)性をはじめとした脅威情報を簡潔にまとめたレポート作成をするのが望ましい。
脆弱(ぜいじゃく)性そのものの把握はもちろん、攻撃者がどの脆弱性をどのように悪用するのかを知ることも重要だ。そのためには、さまざまな脅威情報を自動的に分析し、洞察を得られる「脅威インテリジェンス」の活用が有効だと考えられる。例えば、EJ2 Communications(Flashpointの名称で事業展開)やMandiant、Recorded Future、ZeroFoxといったセキュリティベンダーが脅威インテリジェンスのツールを提供している。これらのツールは脅威情報の収集や攻撃者の追跡、セキュリティレポート作成といった機能を備えている。
ASMに取り組む際はアタックサーフェスの特定と、それらの危険度を評価することが重要だ。セキュリティベンダーはリスクの評価を自動化できるツールを提供している。ただしリスクを的確に評価するためには、その組織のビジネスやシステムに精通する人の最終的な判断が欠かせない。組織はツールに依存せず、「人間の視点」も大切にするべきだ。
ASMの実践ではセキュリティチームやIT部門だけが取り組むよりも、全社で取り組んだ方が防御力を向上させやすい。そのためには、ASMの計画を明確に定めると同時に、できる限りフローを自動化することが望ましい。ASMの重要性と具体的な取り組みを全社に伝えるために、最高情報責任者(CIO)や最高情報セキュリティ責任者(CISO)が旗振り役を務めるとよい。
ASMへの取り組みには、経営層へのレポートも含むべきだ。被害を防ぐためには、経営層がセキュリティのリスクを迅速に把握した上で、対策を考えたり指示したりする必要がある。
システムが複雑化している中で、ASMはセキュリティの“新しい基本”となりつつある。ポイントは脅威とアタックサーフェスを知り、先手を打つことだ。ASMを徹底することで、攻撃を水際で食い止めたり、被害の拡大を防いだりしやすくなる。ASMへの取り組みに当たっては、経営層からIT部門の現場まで、組織が一丸となって取り組むことも忘れてはならない。
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