Dellが大規模な人員削減を続けている。その理由の一つはPC市場が不振だったことだと考えられるが、本当の狙いは別にあると専門家は指摘する。どういうことなのか。
Dell Technologiesが再び大規模な人員削減に乗り出しているとみられる。同社は既に、2023年から2024年にかけて大規模な人員削減の計画を進めていた。同社が2024年3月に米国証券取引委員会(SEC)に提出した資料によると、同社の従業員数は2024年2月時点で約12万人となり、2023年2月時点の13万3000人から約1万3000人が減少している。
Dellが人員削減を続ける理由の一つは、PC市場が不振だったことだと考えられるが、「本当の狙いは別にある」と複数の専門家が指摘する。どういうことなのか。
Dellの2024年度(2023年2月~2024年1月)の業績は、売上高が前年度比14%減の884億ドルだった。消費者および法人向けのPCを扱う分野での売上高の落ち込みが目立った。
調査会社IDCのデバイスおよびディスプレイ担当リサーチバイスプレジデント、リン・フアン氏は、PC市場におけるDellのシェアが減少しており、競合のPCベンダーに若干の差を付けられた点を指摘する。IDCが2024年1月に発表した調査結果によると、2023年のPC市場におけるDellのシェアは15.4%で、2022年の16.5%から1%ほど減少している。
とはいえ、「Dellは法人向けの市場で成功を収めており、楽観できる点が豊富だ」とフアン氏は語る。特にPC市場では、クライアントOS「Windows 10」から「Windows 11」への移行が進んでいる。「ユーザー企業は大規模なPC更新作業の真っただ中にある」と同氏は言う。
楽観できるもう一つの要因は、AI(人工知能)技術を使ったアプリケーションを処理できるPC(AI PC)が続々と出てきていることだ。Dellも「Latitude AI PC」を発表している。Latitude AI PCは、AI処理を担うNPU(Neural Processing Unit)を組み込んだプロセッサシリーズ「Intel Core Ultra」を搭載する。こうしたトレンドを踏まえて、「今回の再編はおそらくPC事業だけに関するものではない」と同氏は指摘する。
フアン氏は「Dellの再編理由の一つはAI活用による社内業務の改善による結果だとも考えている」と述べる。AI導入が人間の労働に影響を与えることは否定できない。「Dellはまさに今それを経験している」(同氏)
労働市場調査会社Foote Partnersのデビッド・フット氏(主任アナリスト兼最高研究責任者)は、「Dellは今四半期の業績を発表した後、次の四半期に人材採用に乗り出す可能性がある」と予測する。フット氏によれば、Meta PlatformsやMicrosoftといったIT企業も、同様の措置を取ることがある。こうした戦略には、次のイノベーションの波に備えて、従業員を再配置する狙いがあるという。
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