メール詐欺対策の基礎知識「DMARC」の“3つの機能”とは?「DMARC」でフィッシング対策【前編】

メールを媒介するフィッシング攻撃は依然として盛んだ。フィッシング攻撃に立ち向かうための仕組みとして「DMARC」がある。どのような機能があるのか。

2024年10月29日 05時00分 公開
[Helen Searle-JonesTechTarget]

 フィッシング攻撃に対抗するための技術として、送信ドメイン認証技術「DMARC」(Domain-based Message Authentication, Reporting and Conformance)がある。DMARCはどのような仕組みによってフィッシング攻撃を防ぐのか。システムを守るために知っておきたい、DMARCの”3つの機能”を解説する。

メール詐欺対策ができる「DMARC」の3つの機能とは

 DMARCは送信側ドメインの正当性を検証し、企業になりすました不正メールによる被害を食い止めるための仕組みだ。DMARCには主に、「認証」「ポリシー」「報告」の3つの機能がある。DMARCはこれら3つの機能によって、フィッシングメールがエンドユーザーに届くリスクを軽減する。

  • 認証
    • DMARCはメールの認証に「Sender Policy Framework」(SPF)と「DomainKeys Identified Mail」(DKIM)という2つの仕組みを使用する。
    • SPFは送信側が特定のドメインを使用する権限を持っているかどうかを確認する。
    • DKIMはメールの電子署名を確認する他、メールが送信中に改ざんされていないかどうかを検証する。
  • ポリシー
    • ドメインの所有者はメールの処理方法を制御するためのポリシーを設定できる。
    • ポリシーとしてメールの監視(Monitor)、隔離(quarantine)、拒否(reject)などを選択できる。
  • 報告
    • 認証に合格または不合格になったメールや、ポリシーの適用などに関する状況を報告する。
    • 潜在的なリスクを洗い出し、セキュリティ対策を強化できる。

 Microsoftは2023年に同社サブスクリプションサービス「Microsoft 365」のメールサービス「Exchange Online」において、DMARCのポリシー設定を変更した。隔離では迷惑メールフォルダに配信されたメールにユーザーがアクセスし、フィッシング攻撃による被害を受けるリスクがあったため、ポリシーを拒否に変えた。

 DMARCでは、ポリシーを拒否に設定すると、メールが拒否された理由を説明する送信エラーレポートが配信される。

 Microsoft 365では送信側のDMARCポリシーを尊重する設定がデフォルトとなっているが、ユーザー組織は管理者ポータルで設定変更ができる。例えば、自社に大量のフィッシングメールが届いている場合、特定のドメインから送信される全てのメールを隔離することが可能だ。

 DMARCはメールセキュリティ対策における一つの要素に過ぎない。DMARCの他にも、フィッシング対策ツールや多要素認証(MFA)認証ツールを使う対策がある。技術的な対策に加え、セキュリティシステムの定期的な評価や従業員向けのセキュリティ教育も重要だ。


 後編は、ポリシーや報告といったDMARCの機能について詳細に説明する。

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