Windowsとブラウザの脆弱性を悪用 「サイト訪問で即感染」の手口とはロシア系ハッカーが狙う欠陥

数多くの組織が利用する「Firefox」や「Windows」の脆弱性を連鎖させてシステムに入り込む攻撃について、ESETは警鐘を鳴らしている。その手口とはどのようなものなのか。

2025年01月09日 07時00分 公開
[Alexander CulafiTechTarget]

関連キーワード

Firefox | 脆弱性 | Windows


 ロシア政府とつながりがあるとみられるサイバー犯罪集団「RomCom」(別名「Storm-0978」)が、Webブラウザ「Mozilla Firefox」やOS「Windows」といった主要ITツールの脆弱(ぜいじゃく)性を悪用した攻撃を実施している。セキュリティベンダーESETはユーザー組織に注意を呼び掛けている。どのような手口に注意が必要なのか。

Windowsとブラウザの脆弱性を悪用する手口とは?

会員登録(無料)が必要です

 ESETによると、RomComが悪用している脆弱性は以下の2つだ。

  • CVE-2024-9680
    • Mozilla Firefoxの他、「Mozilla Thunderbird」やオープンソースのWebブラウザ「Tor Browser」で不正コードの実行が可能になる。共通脆弱性評価システム(CVSS:Common Vulnerability Scoring System)で「緊急」(スコア9.8)と評価されている。
  • CVE-2024-49039
    • Windowsのタスク自動化機能「タスクスケジューラ」の特権昇格の脆弱性。サンドボックスを回避し、マルウェア感染を可能にする。サンドボックスとは、本番環境に影響を及ぼさない仮想環境でプログラムを実行し、どのような挙動をするかを確認する仕組みだ。CVSSでの評価は「重要」(スコア8.8)。

 ESETによると、RomComは上記の脆弱性を組み合わせて攻撃を実施している。悪意のあるWebサイトを用意し、標的組織を攻撃用サーバに誘導。バックドア(不正侵入の入り口)をインストールするという。「この手口はユーザーの操作を一切必要としない。ユーザーがRomComの不正なWebサイトを閲覧するだけで、任意のコード実行が可能になる」(同社)。主に狙われているのは、欧州や北米の組織だとESETは説明する。

 2つの脆弱性について、ESETはMozillaとMicrosoftに報告した。2024年11月時点でいずれの脆弱性に対してもパッチ(修正プログラム)が提供されている。ESETとは別に、Googleのセキュリティ研究部隊Threat Analysis Group(TAG)もCVE-2024-9680とCVE-2024-49039の存在を発見したという。

 ESETによれば、まだパッチが提供されていない段階でRomComが脆弱性を悪用したのは、今回で少なくとも2度目だ。2023年、Microsoftの検索ツール「Windows Search」の脆弱性「CVE-2023-36884」がRomComによってフィッシングやランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃に悪用されたとみられる。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 パロアルトネットワークス株式会社

セキュリティ運用を最適化し、SOCの負担を軽減する「SOAR」とは?

サイバー攻撃が巧妙化し、セキュリティチームとSOCは常に厳戒態勢を取り続けている。さらにデジタルフットプリントの拡大に伴い、セキュリティデータが絶え間なく往来する事態が生じている。このような状況に対応するには、SOARが有効だ。

製品資料 パロアルトネットワークス株式会社

現在のSOCが抱える課題を解決、AI主導のセキュリティ運用基盤の実力とは?

最新のサイバー攻撃に即座に対応するためには、SOCを従来の在り方から変革することが重要になる。しかし、何をすればよいのか分からないという組織も多い。そこで本資料では、現在のSOCが抱えている5つの課題とその解決策を紹介する。

市場調査・トレンド パロアルトネットワークス株式会社

セキュリティの自動化はどこから始める? SecOpsチームを楽にする正しい進め方

高度化するサイバー脅威に効率的に対処するには、セキュリティの自動化が欠かせない。だが自動化の効果を高めるには、使用ツールの確認、ワークフローの分析などを行った上で、正しいステップを踏む必要がある。その進め方を解説する。

製品レビュー ゼットスケーラー株式会社

AIで脆弱性対策はどう変わる? セキュリティ運用や意思決定に与える影響力とは

脆弱性対策は作業量や難易度を予測しづらく、限られたリソースで対応するのが難しい。さらに、単体の深刻度評価のみとなる一般的なセキュリティ監査ツールでは、包括的な分析は容易ではない。これらの課題を、AIはどう解決するのか。

製品レビュー AvePoint Japan株式会社

Microsoft 365ユーザー必見:情報漏えいの危険性が高い5つのヒヤリハットとは?

情報漏えいを防ぐためには、重大なインシデントになる前のヒヤリハットをいかに防ぐかが重要になる。そこで本資料では、Microsoft 365を利用している組織に向けて、情報漏えいの危険性が高い5つのヒヤリハットを紹介する。

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...