AI技術の台頭やCOVID-19の流行を背景に、開発現場の在り方や、業務の進め方は大きく変化してきた。2025年に予想される4つのITトレンドを解説する。
AI(人工知能)技術の台頭や、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)などを背景に、開発現場の在り方や業務プロセスは大きく変化してきた。2025年にはどのような変化が予想されるのか。本稿は、2025年のIT市場におけるトレンド10選のうち、4つを紹介する。
ネットワーク機器ベンダーCisco SystemsでASEAN(東南アジア諸国連合)プレジデントを務めるタイ・ビー・ケーン氏は、「ITの進化により人々の働き方は変化している」と話す。メールが登場したことで、ビジネスの連絡手段がFAXからメールへと移行したこともその一つだ。
「オンライン会議ツールなどの普及により、既に多くの人が出勤の必要性を疑問視している」とタイ氏は指摘する。オフィスの役割は「集中して作業できる場所」から、「チームと連携し、コラボレーション(協働)するための場」へと変わりつつある。組織は従業員のこうした意見を踏まえ、新しい働き方を支える環境を整備する必要がある。
「どのような職場においても、信頼関係の構築が重要だ」とタイ氏は話す。従業員は、努力が会社に評価され、昇進や報酬の機会にも恵まれると感じられるべきだ。同様に、組織は適切な人材を適切な場所に配置して、そこで目標を達成できると信頼する必要がある。組織と従業員の信頼関係を育むことで、組織の業績向上につながるだろう」とタイ氏は語る。
これまでITベンダーは、業務部門ごとに最適化された製品を開発してきた。その結果、ネットワークチームやクラウド運用チーム、セキュリティチームは異なるツールを使用しており、業務の遅れにつながっている。
「縦割り(部門ごと)の統合だけでなく、横断的な統合を実現する必要がある」。こう指摘するのは、クラウドセキュリティベンダーInfobloxのCEOスコット・ハレル氏だ。既に多くの企業が組織の統合に取り組んでおり、ネットワーク部門とセキュリティ部門のメンバーがクラウド運用チームに加わる動きが進んでいるという。
その一環で、例えば複数のセキュリティ機能をまとめて提供する「SSE」(セキュアサービスエッジ)から、SSEとネットワーク機能をまとめて提供する「SASE」(セキュアアクセスサービスエッジ)への移行が進み、ネットワーク管理機能とセキュリティ機能が一体化してきている。
ソフトウェア開発にはスピードが求められる。人材や時間といったリソースが限られる中で、企業は十分にソフトウェアテストを実施できない場合がある。
ソフトウェアベンダーTricentisでAPAC地域シニアバイスプレジデントを務めるダミアン・ウォン氏は、「インテリジェントなソフトウェアテストが必要だ」と話す。これは、AI技術や高度なデータ分析手法を活用して、効率的にソフトウェアをテストするものだ。
例えば、ソースコードの変更がソフトウェアとシステムに及ぼす影響を可視化し、潜在的なリスクを評価することで、どのテストを優先すべきかについて的確な判断を下せるようになる。その結果、厳しい制約の中でも製品の品質を保証できる。
ウォン氏は、セキュリティベンダーCrowdStrikeのインシデントが2024年7月に発生したことを例に挙げ、「テストは単一のシステムにとどまらず、全ての業務プロセスを網羅する必要がある」と指摘する。このインシデントは、CrowdStrikeのエンドポイントセキュリティツール「CrowdStrike Falcon」が、MicrosoftのOS「Windows」を搭載した世界中のデバイスにシステム障害を発生させたものだ。
業務プロセスは、複数のシステムにまたがっていることがある。真のリスクは、こうした統合環境における変更の波及効果を見落とすことにあるとウォン氏は主張する
Zoom CommunicationsのAPAC(アジア太平洋)地域責任者であるリッキー・カプール氏は、顧客体験価値(CX)が大きな変革を遂げると見込む。顧客は全ての接点において、自身のニーズを満たすようにカスタマイズされたサービスを期待するようになる。
個別化されたCXの提供は、従来のようにコンタクトセンターだけが担う責任ではなくなり、全ての部門がCXの形成と提供に関与するようになるという。CXは顧客満足度を向上させ、顧客離れの減少につながる。「かつては付加価値だったこれらのサービスは新たな標準となり、顧客満足を一層深めるだろう」とカプール氏は語る。
後編は、AI関連のトレンドを解説する。
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