クラウドデータレイクとは何か【前編】
いまさら聞けない「データレイク」とは? データウェアハウスとの違いは
ビジネスにおけるデータ活用が求められる中、クラウドデータレイクへの注目が高まっている。なぜデータレイクをオンプレミスシステムではなくクラウドサービスで運用する必要性があるのか。
増え続けるデータを効率的に管理するための仕組みとして「データレイク」の活用が広がっている。データレイクという大規模なデータリポジトリを活用することで、企業は構造化データと非構造化データを収集し、保存できる。それらのデータをデータウェアハウス(DWH)やデータベース、業務アプリケーションに送ったり、データサイエンティストや分析ツール、人工知能(AI)ツールに渡したりすることで、さらなるデータの活用が可能になる。
膨大な量のデータの蓄積や、ビジネスの成長に合わせたデータレイクの拡大を見据えると、クラウドサービスにデータレイクを配置することが視野に入る。そうした「クラウドデータレイク」にはどのようなメリットやデメリットがあるのかを知る前に、まずはデータレイクの概要を学ぼう。
そもそもデータレイクとは?
データレイクは、データを加工せずに保存する保管庫だ。保存したデータは、必要に応じて追加処理をしたり、データベースや業務アプリケーションに送ったりする。データレイクには、以下をはじめビジネスに関するさまざまなデータが集まる。
- サプライチェーンデータ
- 顧客データ
- マーケティングデータ
- 在庫データ
- 工場や機械のセンサーデータ
データレイクには、構造化データ、非構造化データ、半構造化データのいずれも格納可能だ。データを検索する際は、メタデータを使ったタグ付け機能を利用する。格納したデータは、専用アプリケーションで処理するか、データサイエンティストや開発者が加工することになる。従業員や業務アプリケーションが使用できるよう、データを整形して保存するDWHとは対照的だ。
クラウドサービス群「Amazon Web Services」(AWS)は、データレイクを以下のように定義している。
データレイクは、規模にかかわらず、すべての構造化データと非構造化データを保存できる一元化されたリポジトリです。データをそのままの形で保存できるため、データを構造化しておく必要がありません。
クラウドデータレイクの主な特徴
クラウドデータレイクの特徴は、保存容量の拡張性と管理のしやすさだ。主要クラウドベンダーが提供するクラウドデータレイクはオブジェクトストレージで稼働し、事実上容量の制限がない。
他のクラウドストレージと同様、クラウドデータレイクも容量を増減できる。企業はビジネス要件に応じて容量を調整し、料金を抑えることが可能だ。容量の増減、ハードウェアとソフトウェアの保守、冗長化、セキュリティ対策をクラウドベンダーが担当するため、企業の負担軽減につながる。コンサルティング企業PA Consulting Groupでデータエキスパートを務めるスリバッツァ・ノリ氏は、「企業のデータエンジニアリングチームはビジネスの分析に専念できるようになり、オンプレミスインフラのメンテナンスから解放される」と説明する。
「信頼性と可用性を備え、最新技術を取り入れたデータレイクは、安定したパフォーマンスと最小限のダウンタイム(停止時間)を実現する」(ノリ氏)
クラウドベンダーは、アクセス制御と監査機能だけではなく、クラウドリソースへのタグ付けによる効率的な管理方法も提供している。
これまで企業やベンダーはデータレイクとDWHを別々の仕組みとして扱っていたが、最近は同一システムで運用したり、「データレイクハウス」として統合したりするようになった。「最新のデータ管理において、データレイクとDWHは互いに補完し合っており、クラウドサービスはこれら2つを効果的に統合する」とノリ氏は述べる。
次回は、クラウドデータレイクの長所と短所、具体的なクラウドデータレイクを解説する。
Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術
米国Informa TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[LRM株式会社] 「標的型攻撃メール」事例・サンプル集 -
製品資料
[LRM株式会社] セキュリティ教育はなぜ「年間計画」を立てる必要があるのか? -
製品資料
[LRM株式会社] セキュリティの重要性が伝わらない…… 効果がない社員教育から脱却する方法 -
製品資料
[LRM株式会社] 「標的型攻撃メール訓練」導入ガイド 社員の意識を確実に高める仕組みの作り方 -
事例
[株式会社マクニカ] アイカ工業に学ぶ脆弱性対策 情シスが把握できずにいたアセットも正確に把握
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「VMware離れ」は本当か 3000社がVCF 9にかじを切った現実的な理由
-
2
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
3
「Microsoft 365」が乗っ取られる 跡形もなくMFAを破る手口
-
4
Oracle巨大ITプロジェクトはなぜつまずいたのか 8年で導入1割、追加で170億ドル
-
5
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
6
AI全部入り「Microsoft 365 E7」に企業が二の足を踏む訳 移行意向はわずか4%
-
7
ISMSの“コンサル丸投げ”が招く数千万円の無駄 NTTドコモビジネスの脱出劇
-
8
エンジニアが選考を辞退する本当の理由 7割が隠す“面接の違和感”とは
-
9
Netflixのバックエンドは「ほぼJava」 3000超のアプリを支える開発基盤の裏側
-
10
なぜOpenAIやAnthropicのAIは「脱走」したのか 情シスが迫られるエージェント統制
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
2
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
-
3
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
4
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
5
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
6
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
7
PostgreSQLの「機能」「性能」「運用」「拡張性」に関する悩みの解消法
-
8
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
9
Macの安全神話は崩壊? 最新の脅威動向から見えた攻撃のトレンドと有効な対策
-
10
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー