全世界を対象とした調査により、企業におけるAIの利用実態が明らかになった。AIはどのように使われているのか、AIの開発に際して何が分かったのか。AIによって利益を生み出しているのか。
Boston Consulting Groupと『MIT Sloan Management Review』誌が世界で3000人以上の管理職を対象に調査を行い、併せて経営幹部や学者にインタビューした結果、AIの利用分野やAIの開発を通して判明した知見、そして収益が明らかになった。
調査の報告書によると57%の企業がAIのパイロットを実施しているか既にAIを導入しているという(2018年はこの比率が44%だった)。AI戦略を持っていると回答した企業は半数以上(59%)を占め、2017年の39%を上回った。
ドイツのスポーツカーメーカーPorscheはAIを使い、地域別の製造台数という複雑な決定を下して世界中の現地需要に在庫量を合わせている。PorscheのCIO(最高情報責任者)であるマティアス・ウルブリッヒ氏は、何百万もの選択肢がある自動車の構成の適切な組み合わせを学習するためにAIを利用していると説明する。
報告書によると、市場の需要と規制の変化によって予測を絶えず調整する必要性が高まっている。Porscheでは、適切な製造台数を適切な市場に割り当てる能力を向上する必要性がAIを使う動機になっている。
教師あり学習では、AIがより正確な答えを導き出すために人間の助けを必要とする。だが、AIは人間が思い付かない代替策を提示することもできると報告書は示唆する。
報告書には、タクシーアプリ「Lyft」のアルゴリズムを設計した方法が記載されている。Lyftのサイエンス部門の前バイスプレジデント、エリザベス・ストーン氏は、収益を最大限に高めるために乗車の要請と運転手の所在、そして全てのシステムダイナミズムを評価したと語っている。
ストーン氏によると、Lyftのデータサイエンティストはテストを重ねるうちにAIが適切なアルゴリズムを特定したことに気付いたという。このアルゴリズムは、タクシーを呼んだ乗客が実際に乗車したコンバージョン率を最適化することに基づいている。同氏は、機械学習によって可能になる目標を徹底的に考えてテストする人間の存在が重要だと話す。
Lyftは、人間の知識とAIの計算能力を組み合わせて重要な戦略的指標を改善した。こうした変化は業務、収益目標、業績管理、マーケティングなど、多くのビジネス活動に影響を与えた。
非常に多くの企業がAIを開発しているが、その取り組みからは財務上の大きな利益をまだ得ていないことが分かった。AIによって大きな利益を生み出したのは10社中わずか1社にすぎなかった。
調査では、責任のあるAI(Responsible AI)についても企業に質問している。責任のあるAI戦略を有する企業の3分の2以上(72%)がAIによって財務上のメリットを経験し、62%がAIによって運用上のリスクが削減されたという。
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