“お手頃デバイス”と共に登場するWindows 8.1Windows 8.1プレビュー版解説(後編)

Windows 8.1登場で実現するのは小型のタブレットデバイスと、お手頃価格のデバイスだ――。Windows 8.1に込められた米Microsoftのモバイル戦略とは。

2013年07月19日 07時00分 公開
[Diana Hwang,TechTarget]

 米MicrosoftのWindows Commercial担当ゼネラルマネジャー、アーウィン・ヴィッサー氏へのインタビューの後編。前編「XP、7ユーザーのための『Windows 8.1入門』」では、Windows 8.1での新機能、セキュリティ、Microsoftの製品バージョンアップの短期化戦略について聞いた。後編では、「複数のデバイスを使い分ける必要性をなくして、1つで何でもこなせるWindows 8の万能モバイルデバイスを実現する」というMicrosoftの展望を明かしている。

――タッチデバイスのスイートスポットはどんなデバイスになりますか。実際のところ、300〜400ドルのUltrabookで、大手のIT企業でも従業員が十分に使用できるような仕様のものは実現するのでしょうか。それともこの価格なら一般消費者向けの仕様となるのでしょうか?

アーウィン・ヴィッサー氏(以下、ヴィッサー氏) 当社が現在発売したいと考えているものが2つあります。はっきりといえることは、Windows 8.1で、省スペースのフォームファクターと低価格のフォームファクターにも重点を置いて進出したいということです。2013年末のクリスマス前後には、Windows 8およびARMベースで8インチ画面を搭載した手頃なWindowsデバイスの販売価格を発表できるでしょう。そういったことから、展開を広げたいと考えています。

 同時に、(持参していた「Lenovo ThinkPad Helix」を指さしながら)こういうデバイスも大好きです。こういったデバイスは本当に素晴らしい。業務で使用したいと考える人々も、特定層の人々を除き、この手のデバイスに大いに関心を持っていることは承知しています。また、このようなデバイスの価格は600〜800ドルのスイートスポットに収めなければならないということも承知しています。2013年7月には、次世代のタッチデバイスとなる新製品が、当社のOEMパートナーからこの価格帯で発売されるという発表があるでしょう。

――ARMベースのWindows RT端末も近日中にリリースすると発言されましたが、この端末についても、Windows 8.1へのアップグレードは同じタイミングで提供されるのでしょうか?

ヴィッサー氏 今回Windows 8.1についてお話ししたことは、ほとんど全てWindows RTについても当てはまります。

――では出荷もほぼ同時になりますか?

ヴィッサー氏 その通りです。公式発表と同時に、プレビューが公開されるしょう。

――現時点でβテストを行っている全てのOEMメーカーがそうした新製品を準備しているのでしょうか?

ヴィッサー氏 Windows 8.1を搭載したものについては、まだ調整中です。非常に制限されたプログラムとなるでしょう。

――発表時期はいつでしょう?

ヴィッサー氏 2013年6月末のプレビューで発表されます(訳注:米国時間6月26日のWindows 8.1プレビューの公式発表の中でOEMメーカーのWindows 8.1搭載端末のリリースについては言及されなかった)。

――大規模組織のIT部門が、Windows 8.1またはWindows 8モバイルデバイスの採用を前向きに検討したくなるような、話題性のある、特定業種または部門向けのアプリケーションはあるのでしょうか?

ヴィッサー氏 そのようなアプリへの関心について、当社が把握しているのは、例えば流通業界でセールスの担当者やアドバイザーが(その企業の)顧客に対応するときに使用するといったシナリオです。また、金融サービス、小売、医療などの業界からも同様に関心が寄せられています。Windowsタブレットは今後大きく成長する可能性があると考えています。Windowsタブレットは顧客とより密度の濃い対話をするために役立つからです。

 例えば、あなたが車を買いに販売店に行き、私が販売担当者として応対するとしましょう。私はタブレットを使って、あなたが希望している車の仕様を細かい点までその場で決定するのをお手伝いします。情報を検討した結果、あなたがその車を買うと決めれば、私はタブレット上でボタンをクリックします。するとその詳細情報は直ちに、自動車メーカーのERPシステムや私の販売店のバックオフィスシステムに送信されます。

 Microsoftにとって必要なことは、誰もが使いたくなる、このようなデバイスを実現させることです。持ち歩く端末をタブレットにするかノートPCにするか迷う必要はなくなるでしょう。1台のデバイスで何でもこなせるようになるからです。PCを所有している企業がこうしたデバイスを利用する場合、デバイスを1台購入すれば、ユーザーはタブレットも使えますし、フルサイズのキーボードも使えます。このようなスタイルのフォームファクターには既に多くの関心が寄せられています。

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