Column
ROIインサイダー:成功する会社に見るIT活用8つの取り組み
ITを効果的に活用している企業はどこが違うのか? 3年間にわたる調査研究に基づいて、IT活用の成功に最も貢献する8つの要因を紹介する。
ROIコンサルティング会社のアリニーンではこの3年間、ITを効果的に活用しているさまざまな企業の調査研究を行い、こうした企業がIT活用に成功している要因の分析を蓄積してきた。
ここではその調査研究によって明らかになった、IT活用の成功に最も貢献する8つの要因を紹介していく。
IT活用を成功させる魔法の杖はないが、IT活用が進んでいる企業では、遅れている企業と比べて、これらの重要な特徴が顕著に見られる。あなたの会社がこれらの成功要因それぞれにどれだけ当てはまるかを評価すれば、あなたの会社が現在持っている成功の資質を判断するのに役立つだろう。
ROIコンサルティング会社のアリニアンではこの3年間、ITを効果的に活用しているさまざまな企業の調査研究を行い、こうした企業がIT活用に成功している要因の分析を蓄積してきた。これらの企業がITを通じたコストの削減と価値の向上を進めることができるのは、幾つかの重要な取り組みのおかげであり、それらは各企業間で共通している。
まずはITを効果的に活用している企業の定義を紹介しよう。アリニアンは企業のIT活用効果を測定するために、企業が生み出す価値をIT支出全体で割った「ROIT(Return on IT:ITが生み出すビジネス価値)」という指標を使用している。ROITは、経営チームが株主価値を創造する力を、スターンスチュアートの考案による定評の高い指標であるEVA(Economic Value Add:経済付加価値)で表すこととしており、これが大きいほど、また、管理を厳しく行う(IT支出を節約する)ほど、大きな値になる。ROITは次の式で表される。
ROIT=EVA/IT支出
ただし、「EVA=純利益-資本コスト(資産-負債)」で、「IT支出=全社レベルのIT支出+ビジネス部門レベルのIT支出」とする。
アリニアンがROITの値が大きい企業を対象に行ってきた調査研究から、IT活用の成功に最も貢献する次の8つの要因が明らかになっている。
- 競争力向上の支援:ITによって重要な業務改革を支援し、新規ビジネスを構築するとともに、新しい方法でビジネス、商品ライフサイクルの改善、市場対応策、M&Aを行う。
- ITとビジネスの連携:IT部門がビジネス部門に対する理解、協力、連携に基づいて企業目標と戦略目標の達成に取り組み、とりわけ業務効率の向上を推進する。
- アジリティ(俊敏性)の向上:市場の需要と環境に対応してIT支出を適切に調整する。市場の減速に合わせてIT支出を抑制または削減し、事業機会の拡大に合わせてIT支出を迅速に増やすようにする。
- コストの切り詰め:市場が低迷しているときは特にだが、好調なときも含めて、ほぼ常にほとんどの同業他社よりも支出を少なくする。
- プロジェクトの成果/管理の向上:失敗を最小限にし(プロジェクトの中止、遅延、予算超過、成果物の機能不足といったケースを減らし)、ROIの実現を目標に掲げ、一定の規範に基づいてその実現計画の策定と実績の検証を行う。
- 高水準のイノベーション投資:多額のイノベーション投資を継続的に行うとともに、支出を引き締めてTCO(総所有コスト)の削減に注力し、イノベーション投資の余力を増やす。
- パフォーマンスの比較評価:パフォーマンスを同業他社や社内予測と比較して評価することに投資する。この評価は、定量的な財務尺度(プロジェクトパフォーマンス管理、ポートフォリオ管理、TCO/ROI分析、KPI(重要業績指標)追跡などの尺度)や、定性的なランク付け評価(バランススコアカードやITIL=IT Infrastructure Library=、顧客満足度調査などによる評価)を利用して行う。
- カリスマ型/ビジョナリー型リーダーシップ:リーダーの価値は見過ごされがちであり、また、それは決して唯一の成功要因ではないが、強力な推進力を発揮するリーダー――企業と組織がどこへ向かうべきかについての明確なビジョンを持つチェンジエージェント(変革者)――を持つことは、全体的な成功に不可欠だ。この要素によって成功が保証されるわけではないが、この要素がなければ、成功はまず望めない。
まとめ
IT活用を成功させる魔法の杖はないが、IT活用が進んでいる企業では、遅れている企業と比べて、こうした重要な特徴が顕著に見られる。あなたの会社がこれらの成功要因それぞれにどれだけ当てはまるかを評価すれば、あなたの会社が現在持っている成功の資質を判断するのに役立つだろう。
本稿筆者のトム・ピセロ氏は、IT投資のビジネス価値の評価と明確化についてCIO、コンサルタント、ベンダーを支援するROIコンサルティング会社である米アリニアンのCEO。
(この記事は2005年12月21日に掲載されたものを翻訳しました。)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[日本オラクル株式会社] ピンチをチャンスに変えたEPR製品は? 先行企業の導入事例3選 -
技術文書・技術解説
[日本オラクル株式会社] 無自覚なリスク 秘伝Excelファイルが監査の壁、不正・ミスの温床となる理由 -
製品資料
[日本オラクル株式会社] 戦略的経理の第一歩 失敗のない「脱Excel」を実現する秘訣とは? -
技術文書・技術解説
[日本オラクル株式会社] いまさら聞けないオンプレERPとクラウドERPの違い 最適な製品をどう見極める? -
事例
[株式会社ビザスク] 連結売上高が約2倍に成長、富士フイルムが実践した新規事業創出の戦略とは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
2
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
3
「0.3秒のスピード顔認証」の入退室管理が社員に好評 事例に学ぶオフィス改革
-
4
「ノートPC派」は損をしている? Dellと考える“自作PC”のメリット
-
5
エンジニアの生産性はどう測る? マネジメントに不可欠な可視化の実現方法とは
-
6
慶應義塾が「Notion」を選んだ理由 AI導入の盲点になる“情報のサイロ化”
-
7
LINEヤフーはなぜ「社内の管理者」すら信用しないインフラを作ったのか
-
8
1200万円のSaaS導入を回避 スギ薬局「運用費10万円」のAIエージェント構築術
-
9
「また同じ説明か」 消費者の半数が離脱するAIチャットbotの“記憶喪失”
-
10
IT製品の導入に関するアンケート「PC&デバイス」編
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
3
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
4
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
5
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
6
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
7
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
8
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
9
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー