ヴイエムウェアの仮想化プラットフォームが今後どのように強化されていくかを同社の製品マーケティング担当ディレクターにインタビューした。
ヴイエムウェアの製品マーケティング担当ディレクター、ボゴミル・バルカンスキー氏が先ごろ、TechTargetの取材に応え、同社の機能豊富な仮想化プラットフォームが今後どのように強化されていくかを説明した。
―― ハイパーバイザーのコモディティ化が進んでいることや、管理ソフトウェアでは今後、どんな有益な機能が登場するかが話題になっています。これらについてどう考えていますか。
バルカンスキー 確かに、われわれベンダーは将来、ハイパーバイザーではあまり利益を上げられなくなるかもしれません。しかし、コモディティという言葉は、取り換えが利くもの、つまり、ガソリンや砂糖のように、買うときにブランドを気にしないものを連想させます。わたしは、ハイパーバイザーはどれを使っても同じだと人々が考えるとは思いません。ハイパーバイザーは人々がこだわりを持つ技術です。
われわれは、提供する管理機能を2つの基本的なカテゴリーに分類しています。1つは、分散型の仮想化です。このカテゴリーでは、サーバとそのネットワーク、ストレージのファーム全体が管理の対象です。われわれの分散型の仮想化製品には、DRS、HA、VCB、VMotionなどがあり、これらはいずれもサーバのリソースプールの管理に貢献します。
われわれは、ストレージとネットワーキングについても似た機能を提供し、ストレージとネットワークのリソースプールの構築をサポートすることが、われわれに求められていると考えています。例えば、ESXホスト間でVM(仮想マシン)を移動する際、その仮想マシンのディスクは、共有ストレージに保持されています。しかし、そのストレージをメンテナンスしなければならない場合はどうするのかという問題があります。
ただし、ストレージの仮想化自体に取り組もうというのではありません。われわれは、仮想マシンに関連する問題の解決にかかわる機能を開発するだけです。ネットワーキングについても同様です。われわれはシスコと競合するつもりはありません。しかし、われわれは仮想ネットワークの構築をサポートし、仮想マシンにかかわるこれらの分野への対応を進めていきます。
もう1つのカテゴリーは、管理および自動化ソリューションです。このカテゴリーでは、例えば、リソースの最適化や、仮想マシンのライフサイクル管理などを実現することで、仮想マシンのプロビジョニング、変更、プロビジョニング解除を容易にします。こうした作業は、サーバの無秩序な増加を防ぐために必要です。われわれは現在、このカテゴリーの主要な機能をすべてカバーしていますが、エンドユーザーのワークフローを支援する優れた機能を併せて提供したいと考えています。
―― 仮想マシンで大きなワークロードが実行されるようになってきましたか。
バルカンスキー 現在、サーバ1台につき1台の仮想マシンを動かしている顧客も確かにいます。しかし一般的に、大きなワークロードを実行する場合、コンソリデーション(統合)のメリットが得られず、これは多くの顧客にとって問題です。1台の仮想マシンを稼働させることになるため、ダウンタイムや可用性は管理しやすくなるとしてもです。メモリ負荷の高いワークロードへの対応に関して言えば、従来、われわれは1台の仮想マシンについて8Gバイトのメモリしかサポートしていませんでした。今では16Gバイトをサポートしています。64Gバイト以上をサポートするようになれば、運用上の支障は少なくなるでしょう。
高負荷のワークロードの実行にVMが使われることが少ない大きな理由の1つは、リスク管理にあります。わたしが顧客なら、多分、VMはファイルサーバやプリントサーバに適していると考えるでしょう。
―― ヴイエムウェアのライセンス体系が、サーバ1台につき1台のVMを動かす妨げになっているのではないでしょうか。
バルカンスキー われわれの製品の効果からすると、5750ドル(VMware Infrastructure 3の定価)はそれほど高い価格ではありません。十分重要なソフトウェアであれば、総額5万ドルの費用が掛かるとしても、企業は安心料として支払うはずです。
―― ヴイエムウェアはパフォーマンス向上のためにどんな取り組みをしていますか。
バルカンスキー パフォーマンスはさまざまな要因に左右されます。仮想化による遅延について言えば、パフォーマンスを低下させるわけですから、いいことではないのは確かです。ただし、現在では、遅延はそれほど重大な問題ではありません。ほとんどのエンドユーザーは気付かないからです。
しかしヴイエムウェアは、ハードウェアとソフトウェアのエコシステムを利用して、パフォーマンスの向上を推進しています。仮想化を支援するハードウェアについて見ると、例えば、インテルとAMDが、そうした支援ハードウェアをプロセッサに統合する長期的なロードマップを持っています。以前はx86プロセッサアーキテクチャは、仮想化との親和性があまりなく、ヴイエムウェアは、プロセッサ命令をソフトウェアとハードウェアとの間で変換する遠回りな方法を考案しなければなりませんでした。
また、メモリの仮想化も進められています(編集部注:AMDのNested Page TablesとインテルのExtended Page Tables)。われわれはメモリの仮想化支援技術には非常に期待しています。CPU、メモリ、およびI/Oの仮想化のおかげで、3年後には、パフォーマンスのオーバーヘッドは解消され、仮想環境とネイティブ環境が同等に動作するようになります。
OSとの関連では、準仮想化技術が進化しており、われわれは、準仮想化されたLinuxのサポートを開始します。これまでヴイエムウェアが一貫して堅持してきた基本的な考え方の1つは、どの商用OSについても、特に手を加えなくてもゲストOSとして動作させることができるようにしなければならない、というものでした。しかし、Linuxコミュニティーの一部には、OSに手を加える準仮想化を利用したいという声があり、これからもそうでしょう。そこでわれわれは対応することを決めました。
ただし、顧客にとって最終的には、安定性とアップタイムの方がパフォーマンスよりも重要です。システムが3カ月間非常に高速に動作した後でクラッシュし、また高速に動作し、またクラッシュするといった場合、それは非常によくない状況です。
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