負担が重過ぎ
小型データセンターは絶滅危機種?
あるアナリストの予想では、世界のほとんどの企業がデータセンター業務をアウトソーシングする日が来るという。
米Tier 1 Researchの副社長兼上級アナリスト、ダニエル・ゴールディング氏は、いずれ自前のデータセンターを構築する企業が世界最大手50社――主に金融・インターネットサービス企業――のみになり、残りはすべてこの業務をアウトソーシングする日が来ると考えている。
いつそうなるかは明言しなかったが、データセンターのアウトソーシング増加の兆しははっきり見えているとゴールディング氏は言う。
その理由は、ITの成長に伴ってデータセンターはかつてないほど複雑な動物と化し、世話や餌やりが大変になっているからだ。データセンターの構築と維持は負担が重過ぎると判断し、その重荷を下ろすことを選ぶ組織はますます増えている。
アウトソーシング増加の理由
データセンターをホスティングしている企業は「普及拡大」の状況にある。ゴールディング氏の推定では、データセンターサービス需要は年率13%の増加が予想される。米調査会社IDCは、ITリース/ファイナンス市場で年率約8%の伸びを予想している。これには、サードパーティーが機器とサービスをすべて提供する管理型ホスティングサービスと、顧客企業がIT機器を提供し、サードパーティーが電力と冷却サービスを提供するコロケーションという2種類のサービスが含まれる。
データセンターのアウトソーシングが進んでいる要因は何か。答えは簡単。財布のひもだ。
「CIOが取締役会で、『新しいデータセンター構築のため2億ドルが必要です』とは言いにくい。これが問題だ」とゴールディング氏。
データセンター構築に掛かる経費は、ゴールディング氏によると、1平方フィート当たり約1300ドルという相当の額になり、データセンターの密度が高まればこの額がさらに増えることもある。現代のデータセンターは通常、サーバなどのIT機器から無停電電源供給や発電などの電力設備に至るまで、一定レベルの予備装置を抱えている。
さらに、現在ではバックアップ用のデータセンターが必要な企業も多く、しかもそれは本拠地から数マイルの距離に置くというわけにはいかない。2つのデータセンターはそれぞれ遠く離れた場所にあり、停電対応機能を備え、どちらか一方で障害が起きた場合はデータセンターのすべての業務を処理できる必要がある。「運命共同体」であってはならないのだとゴールディング氏は言う。
「新しいデータセンターの構築は、70年代や80年代に比べてはるかに複雑になっている。わたしがこれまでに見たどの企業でも、これが中核技術だというところはどこもない。金融機関以外では、自前のデータセンター運用の方法を知っている企業はほとんどない」(ゴールディング氏)
アウトソーシングの傾向に逆らう「サーバ抱き付き」
しかし、データセンターのアウトソーシングにまつわる問題があるのも事実だ。最も大きな問題は、ゴールディング氏によると、IT技術者の中にはデータセンターの運営で全キャリアを築いてきた人たちがいて、自分の生活を守りたいと思っていることだ。Tier 1 Researchではこうした現象を「サーバ抱き付き」(server hugging)と呼んでおり、IT要員は自分が運営しているサーバと物理的に近い所にいるべきだという企業の信念に行き着く。しかしゴールディング氏の考えでは、至近距離にいることを優先させるのは大きな間違いだという。
「製造設備と混同させるべきではない。ほとんどのIT管理者は、データセンターに規律を持ち込むことに苦労しているからだ」(同氏)
アウトソーシングによるセキュリティ不安についてもゴールディング氏は否定し、セキュリティ問題を引き起こすのは物理的な距離ではなく規律の欠如だと指摘した。「ミッションクリティカルなデータは近くに置いておかなければならないと本気で思っている人はいないと思う」
データセンターをアウトソーシングすると決めたら、次はどうしたらいいのか。一般的な見積もり依頼書のプロセスを経て、自社のニーズに最も合ったサードパーティーのデータセンターを見つけることだとゴールディング氏はアドバイスする。
必ずしも最善の策ではない
ただゴールディング氏は、自前のデータセンターを構築した方がいい企業もあることは認めている。アウトソーシングを選んだ大企業でも、複合型のアプローチを採っている。こうした企業は、たとえそれがEquinixのようなプロバイダーが提供している他社との直接ネットワーキングのためだけであっても、一部のデータをリモートでホスティングし、一方で、例えばGoogleがオレゴン州ダレスに持っているような巨大データセンターを構築している。
企業も理解し始めているというのがゴールディング氏の結論だが、たとえ需要が年率8%、13%の伸びを示していても、切り替えには時間がかかる。さらに、企業がデータセンターのアウトソーシングに踏み切るのは自社のものが旧式になった時だと同氏は指摘。バックアップデータセンターでアウトソーシングの時流に乗りながら、自社の施設にしがみ付いている企業もある。
「アップグレードの負担が重くなり過ぎ、サードパーティーのデータセンターの方がコスト効率が高くなる時がいずれ来る」とゴールディング氏は話している。
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