米MS会長のビル・ゲイツ氏は来日会見で「ソフトウェア+サービス」構想への今後のさらなる投資を説明。Yahoo!買収断念、次期OS「Windows 7」についても触れた。
米マイクロソフトの会長、ビル・ゲイツ氏は5月7日、都内で記者会見を行った。会見の冒頭では具体的な2つの発表として、総合エンターテインメントソフトウェア「Windows Media Center」に関するパートナー協業と、若い開発者を支援するプログラム「Microsoft DreamSpark」の提供を挙げた。Microsoft DreamSparkは、同社の有償のプロフェッショナル向け開発ツールを学生の開発者に無償提供するというもの。Windows Media Centerのパートナー協業に関しては2008年6月に詳細が明かされるという。
ゲイツ氏は「われわれは長い間さまざまな分野でリーディングカンパニーとしてやってきた。インターネットの爆発的な普及は大きな要因だが、Internet Explorerや.NETプログラミングがコンピューティングの普及をけん引してきた」と、現在までの同社のリーダーシップを説明。「そして現在はSaaS(Software as a Service)という、インターネットを通じてソフトウェアをサービスとして利用するという段階に来ている」とし、同社のコンセプト「ソフトウェア+サービス」へ今後も注力していくことを強調した。また、今後10年の進歩として、直接手で触れたり音声を使ったりといったインタフェースの変化を挙げ、「こうしたナチュラルインタフェースをソフトウェアで実現するために投資していく」と語った。
ゲイツ氏によれば「日本市場の優れているところは変化すること」だという。この独特な市場に関して「現在のSaaSのように、賭けるしかない」とし、同社の取り組みを信じて今後も日本市場に注力していくという。また、日本のPC市場について「学生のPC使用率がほかの先進国に比べて低い。これは教育におけるカリキュラムのオンライン化の遅れであり、実現に注力しなければならない。紙と同じ便利さを持つ新しいアプリケーションが、日本のPC市場をけん引していくだろう」と述べた。
当然、記者から質問が飛んだ米Yahoo!の買収断念に関しては、「それぞれが独立した方向を追求すべきだという結論に至った」と説明。しかし、それに伴う検索最大手Googleへの対抗策として、検索ツールの新バージョンを2008年6月に米国で発表する予定を明かした。また、今回の来日で多くのパートナー企業と会談したことを挙げ、「マイクロソフトは長期的にパートナーシップを築き、今までの競争は健全だった。検索だけでなくさまざまな競争があり、われわれの製品はそれぞれの分野で成功するだろう」と語り、パートナー企業とともにさまざまな分野の製品開発を進めていく意向を示した。なお、次期OS「Windows 7」(開発コード名)に関しては、「今までは2、3年のスパンでOSを発表してきたが、現段階では出荷日は公表できない」と答えるにとどめた。
ゲイツ氏は2008月7月1日にマイクロソフトの一線を退き、ビル&メリンダ・ゲイツ財団へと活動の拠点を移す。「17歳からフルタイムで働いていたが、今後はフルタイムを財団へ移し、マイクロソフトはパートタイムとして支援する」(ゲイツ氏)
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