アプリ統合の最難関、「レガシーシステム引退」を成功に導く方法なじんだシステムから引きはがすには

アプリケーション統合は複雑で困難が多いが、最大の難問はレガシーシステムから離れるよう組織を説得することだ。その手法を伝授しよう。

2009年12月08日 07時30分 公開
[Niel Nickolaisen,TechTarget]

 わたしは過去15年のキャリアをアプリケーション統合、つまりレガシーシステムの入れ替えに費やしてきた。レガシーアプリケーションではもう仕事はできないと誰かが判断し、新しいものを導入するプロジェクトを立ち上げる。アプリケーション統合は複雑で困難が多いが、最大の難問はチーム管理でもなければ、関係者間の調整でも、時間や提出物やコストの管理でもない。

 最大の難問は、古いものを断ち切ることだ。

 そう、わたしが最も苦労してきたのは、新システムが動き始めた後、レガシーアプリケーションから離れるよう組織を説得することだった。人間というのは、必要かもしれないと考えるものにしがみつきたがる傾向があるようだ。

 何年か前に、消費財メーカーの大型ERPプロジェクト管理を手掛けたことがある。プロジェクト半ばで、この会社が競合企業の1社を買収した。ご想像の通り、買収された企業は、注文管理と配送のために独自のアプリケーションを持っていた。同社をわれわれのERPプロジェクトに取り込もうとすると、買収された企業の経営陣が猛反対した。

 新システムは、この会社の注文入力・配送プロセスに対応できない可能性があった。ただし、正確な受注と注文処理、在庫引当、注文品の発送ができ、売掛金勘定システムと統合できるのだが、それだけでは十分でなかったらしい。新システムは「わが社のシステム」ではないからうまくいかないということだった。そこでERPプロジェクトを予定通り進めるため、われわれはこの会社の件を置いたまま先に進んだ。

 新システムが稼働を開始した後、わたしは同社を去った。先週、後任のCIOと話す機会があり、同社がいまだに両方のシステムを使って注文を処理していることを知った。

 大部分の企業には、孤立したアプリケーションや重複するアプリケーションがラインのどこかにあるはずだ。ある部門が特定のコラボレーションスイートを導入し、別の部門は違うものを導入しているといった具合だ。両部門とも自分たちのレガシーアプリケーションにしがみつき、アプリケーションを統合してどちらか1つに絞ることなど考えたくもないと言う。

 結局、入れ替えるはずだったレガシーアプリケーションを引退させることができないままになることもある。新しいアプリケーションを初めて導入したときは、レガシーアプリケーションを生かしておく十分な理由があったかもしれない。変換したくない過去のデータにアクセスする必要がある、あるいは経理が古いシステムでもう1件ファイナンシャルクローズをやりたがっているといったことだ。

 しかし、それから5年たってもまだ、それが生きて動いているとは! 生きて動いているだけでなく、サポートの時間と経費を取らせ、ITを複雑にさせ、引退すべきアプリケーションのために優秀な人材の手間を取らせ続ける。

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