中堅・中小企業(SMB)は大企業などと比べてITを活用できていないといわれる。業務システムに導入しているサーバなどは、実質レガシー用途だ。中堅・中小企業にとって「経営に役立つIT」は幻想なのだろうか?
中堅・中小企業の多くは業務システムで経営情報を処理、管理、活用していることは間違いない。しかし、業務システム用に導入したPCサーバが、レガシー時代の用途と実質的に変わらないのも事実だ。ERPという形での統合パッケージ化でも内容はバックオフィス業務である。なお最近のERPの導入率は3、4割程度である。
本コラムの1回目は、問題提起をしたい。メインテーマである「企業経営にITをうまく活用して寒い経済環境をどう乗り切るか?=ITで救いたい」を語る前に、まず中堅・中小企業のITシステムの現状と歴史を振り返ってみよう。
多くの指摘があるように「レガシーシステム」は悪いことなのだろうか? 「オフコンやWindows NT」など、サポートを打ち切られたシステムを使い続けることのリスクは、企業にとって大きな問題となってあちこちで火を噴いている。だが実際は、周辺機器や最近のソフトが使えないなどの「老朽化」による仕方のない更新需要はあるにしても、専用用途として十分に使えることが分かっている。またこの不景気も影響して、「レガシーなまま」使い続ける企業が意外に多いのが実情だ。
現実のIT市場はかつてないほど需要が停滞している。新規導入が極端に少ない。システム更新需要も少ない。企業の業績が悪いためIT投資に回す余力がない。外部にシステム開発、運用してもらうお金ももちろん少ない。ないものづくしの中で、「どうにか動いているITシステムの運用コスト」が負担として企業に重くのし掛かる。
経営者はもちろんだが、経費削減のための人員削減に加えて外部委託費用の削減により、IT部門スタッフの業務負担が増加している。特に、経営者とユーザー部門の板ばさみになっている中堅・中小企業のIT担当者は非常に苦しい立場に置かれている。
こんな彼らに「経営に役立つITを」というメッセージを伝えるのに効果的な方法はあるのだろうか? ほとんど毎日、目の前にある膨大なルーティンワークとユーザー部門からのリクエストに応えるのが精いっぱいというところだろう。
こうした中堅・中小企業のITの課題を解決することは容易ではない。ここ2、3年多くのベンダーが市場参入しようと試みたが、あまりの効率の悪さと売り上げ規模の少なさにしっぽを巻いて退場した例は数多い。「ホワイトスペース」といわれる巨大な潜在需要が見込まれる中堅・中小企業は、結局特定のベンダーや販売店によってのみサポートされているのが実態だ。それもいわゆる「レガシーチャンネル」である。
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