新プラットフォームやAPI、セキュリティ問題など、クラウドコンピューティングをめぐる状況について具体的な予測を立ててみた。
2010年は、クラウドインフラサービスが(ゆっくりとではあるが)進歩するだろう。新たなプラットフォームがリリースされ、新しいAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)が開発され、プライベートクラウドが企業に進出し始めるだろう。同時に、企業ではソフトウェアやアプリケーションのテスト、ディザスタリカバリ、Webサイトの拡張といった目的でもクラウドが利用されるようになるだろう。しかしクラウド業界の発展と成長は、IT業界全般と比べると、ゆるやかで段階的なものになると予想される。 業界関係者らの話に基づき、2010年のクラウドコンピューティングをめぐる状況について具体的な予測を立ててみた。
アプリケーションの充実
2010年、クラウドアプリケーションで最も成長すると予想されるのが、ソフトウェアのテスト、データ分析、ディザスタリカバリ、メールマーケティングの分野だ。ほかのアプリケーション分野でも、ある程度の成長が見られるだろうが、セキュリティをめぐる懸念や連係が難しいといった問題が障害になるだろう。
プラットフォーム元年
PaaS(Platform as a Service)は、クラウドでさらに重要な役割を果たすようになる。その勢力は、IaaS(Infrastructure as a Service)やSaaS(Software as a Service)製品をしのぐことはないだろうが、成長率では両者を上回ると予想される。この成長をけん引するのが、「Windows Azure」のリリース、そしてそれをサポートしようと待ち構えている何百万人もの.NETプログラマーたちだ。 企業市場で米Salesforce.comのForce.comの重要性が高まる一方で、米IntuitのQuickBaseは、既に同社の会計アプリケーションを利用している数百万社の中小企業を引き付けるだろう。Ruby on Rails開発者の間では、HerokuやEngine Yardなどのサービスの利用が拡大すると予想される。
ミドルウェアやシステム管理製品の大手ベンダーは、勢力拡大を狙ってPaaS企業の大型買収に乗り出すだろう。この動きは、プライベート、パブリックあるいはハイブリッド型のクラウドにわたって動作するソフトウェア開発・配備・管理フレームワークの登場を促すだろう。そこで出現する課題の1つに、プログラミングインタフェースを普及させることがある。また、アプリケーションが特定のプラットフォームに結び付けられるようになるだろう。
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