Web会議システム紹介:パナソニック ソリューションテクノロジー
パナソニック10数万人の大規模運用に耐えたWeb会議「リアルタイムコラボレーション」
ITベンダーが社内運用したシステムを外販するケースは珍しくない。ただ、パナソニックグループ全社規模の運用で培ったノウハウに裏打ちされた、Web会議システムの信頼性には目を向ける価値があるだろう。
社内利用で開発した会議システムを外販
パナソニック ソリューションテクノロジーは、オフィス業務プロセス改革ソリューションやサポート&サービスソリューションなどを法人向けに提供している企業だ。パナソニックグループのIT基盤の構築と運用で培ったITソリューションをベースに、企業ユーザーをサポートしている。
今回紹介するWeb会議システム「リアルタイムコラボレーション」も、もともとはパナソニックグループにおいて社員のワークライフバランスの改善や生産性の向上を目指す「e-Work」というコンセプトを支援するために開発されたものだ。具体的には2004年に開発をスタートし、社内コミュニケーションツールとして「Curia(クーリア)」(ラテン語で会議場の意味)と命名、2006年から全社的に運用している。
このCuriaは現在、「リアルタイムコラボレーション」という名称で外販されている。その特徴は、小規模から大規模まで幅広く対応できる懐の深さにある。「ASPサービスでは限られたリソースを提供する事業者が多い中、われわれの製品では100~200ルーム規模の会議室を提供できる」と語るのは、ソフトウェアグループ プロダクト1チーム ASP事業担当の松田佳代氏。実際、前述のCuriaは、パナソニックグループにおいて10万人規模の社員が130ルーム以上の会議室を利用しているという。
現在、リアルタイムコラボレーションは、ユーザーの導入目的や用途、セキュリティポリシーなどに応じて最適な運用形態を選択できるよう、4つのパターンで提供されている。まずインターネットに接続するパブリッククラウド型の提供形態として、マルチテナント方式でリソースを共有する「サーバリソース共有ASPモデル」と、サーバリソースをサーバ単位でユーザーに確保する「サーバリソース専有モデル」が用意されている。
さらに、セキュリティポリシーの関係からプライベートクラウド型で利用したい場合、イントラネット接続型の「専用VPN回線+サーバリソース専有ASPモデル」が提供される。またクラウドではなく、社内に専用サーバを構築する「オンプレミスサーバモデル」にも対応。利用目的によって選べる点が特徴であるが、ここからは一番利用しやすいパブリッククラウド型サービスについて紹介していく。
パブリッククラウド型サービス(ASPモデル)ではルーム制を採用しており、ID登録の制限なく月に何時間でも利用できる定額制になっている(月額契約のほか、6カ月/12カ月単位の割引もある)。Web会議の目的や規模に応じて、同時接続数の異なるルームを選択できる。料金は初期費用が1万円、マン・ツー・マンで利用する「ルーム2」(同時接続ID数2)の場合が月額契約で2万円。
| ルームタイプ | 同時接続ID数 | ASPサービス 標準価格(月額相当) | ||
|---|---|---|---|---|
| 毎月(支払料金) | ||||
| ルーム2 | 2 | 2万円 | 1万9000円 | 1万8000円 |
| ルーム3 | 3 | 3万円 | 2万8500円 | 2万7000円 |
| ルーム5 | 5 | 5万円 | 4万7500円 | 4万5000円 |
| ルーム10 | 10 | 10万円 | 9万5000円 | 9万円 |
| ルーム15 | 15 | 15万円 | 14万2500円 | 13万5000円 |
| ルーム20 | 20 | 20万円 | 19万円 | 18万円 |
帯域制御やPINナンバーによるログインなど細かい配慮も
リアルタイムコラボレーションの基本的なインタフェースは下画面の通りだ。ウィンドウ画面上部に、「レイアウト変更」「各種機能選択」などよく使う標準的なボタンを絞り込んで配置し、使い勝手を優先するデザインになっている。松田氏は「当初、パナソニックグループでの利用を目的に機能強化を重ね、ユーザー教育をしなくても社員がすぐに利用できるインタフェース作りに注力した」と説明する。画面レイアウトは、会議形態に合わせて複数のテンプレートから選択でき、同時表示ユーザー数は最大で20。映像の解像度は640×360ピクセルにまで対応する(HD対応も可能だが、帯域の関係でサーバリソース占有モデルなどを選択する必要がある)。
Web会議システムに必要な基本機能はオプションではなく、標準機能として一通りサポートしている。もちろんWeb会議で欠かせないデスクトップ共有やアプリケーション共有(Microsoft Word、Excel、PowerPointなど)からPC画面上に文字・図形を描画するホワイトボード機能、チャット、ファイル送信まで、機能的にも他社製品と比べて遜色(そんしょく)はない。特に「手書きデータ転送」機能については、同社の電子黒板のコア技術と密に連携しており、音声とほぼ同期して描画できる高速性が売りになっているという。
| サービス体系 | ASP/ライセンス |
|---|---|
| 対応OS | Windows 2000/XP/Vista/7 |
| 最大接続数 | 標準20(傍聴オプションでは論理的に約800まで可能) |
| 最大表示映像数 | 20 |
| 基本機能 | アプリケーション/デスクトップ共有機能、ホワイトボード、ファイル転送、チャット機能など。オプションで録音・録画機能、傍聴機能 |
| 連携機能 | クラウド型グループウェアサービス「GlobalFamily ASPサービス」との連携 |
| 料金 | 初期費用1万円、ルーム2の月額基本料金2万円から(上記料金体系表を参照) |
会議室には「予約ルーム」と、いつでも利用可能な「フリールーム」がある。予約ルームでは、会議の開催日時と参加者(外部ユーザーでも可)を事前に設定しておくと、参加依頼メールが自動的に送られ、会議の出欠を確認できる。メールにはワンタイムで生成されるURLが埋め込まれており、会議の開催時間になると接続可能になる仕組みだ。また、会議中の発言については、「議長モード」によって議長が参加者の発言を許可・禁止したり強制退室させるなどの権限を行使することで、スムーズな進行が可能になっている。
さらに細かい部分での工夫として、例えば帯域制御の任意設定が挙げられる。その時々のネットワーク状況によって利用帯域を自動制御する機能を備えた他社製品もあるが、ユーザー自身が映像や音声ごとに細かくコントロールしたい場合がある。リアルタイムコラボレーションでは、音声、映像、アプリケーション共有の各チャンネルに対して、使用したい帯域をそれぞれ割り当てられるようになっている。これらの設定状態はプリセットで保存できるので、頻繁に同じ設定を使いたい場合に便利だ。
松田氏は「Web会議では、相手の反応を知りたい場合に映像を重視する。しかし実際の会議に入ると、カメラ映像のみならず、アプリケーション共有や資料共有にウエートが置かれることも多い。そこで利用シーンの重要度によって、使用帯域をあらかじめ設定しておけるように工夫した」と語る。本機能は、なるべく社内の限られたネットワーク帯域を最適化して利用するためのパナソニックのこだわりであり、AV家電を開発する同社ならではといえるだろう。
またリアルタイムコラボレーションは、会議に入室する際に、個人のPINナンバーでログインする形式を採用している。競合製品では個人指定をせずに共通IDでログインするケースが多く、ユーザー側で個人を特定できない。リアルタイムコラボレーションではPINナンバーによって、いつ、誰がログインしたのかをログから確認することが可能なため、セキュリティ上の観点でも安心して利用できる。これは全社的に導入する場合に、ユーザー企業が後から部門別に課金する際にも役立つ。
グループウェアサービスとの連携をサポート
リアルタイムコラボレーションのもう1つのユニークな点として、同社のグループウェアサービス「GlobalFamily ASPサービス」との連携が可能なことが挙げられる(後述のコラム参照)。ワークフローや文書管理を提供するGlobalFamily ASPサービスをセットで使うことで、通常のWeb会議システムがより強化されたコラボレーションツールになるのだ。まだグループウェアを利用していない中堅・中小企業ユーザーを中心に、これらを組み合わせて導入するケースも多いという。
今後は、幾つかのオプションサービスにも対応する予定だという。1つは「傍聴サーバオプション」で、2010年内に提供される。ASPモデルにおいて大規模用途(セミナーなど)に対応するために使われるもので、主催者側の音声・映像を視聴することに特化している。これによって、ユーザー数を40、80、120と増やしていくことが可能。ただし、ASPサービスとしての提供メニューの詳細は現時点では未定としている。
もう1つは、2011年上期をめどに提供する「録画サーバオプション」。データを蓄積するためのHDD容量を決めてからサービスインする。「将来的には録画データを蓄積管理する仕組みも併せてサポートすることで、社内外でYouTube的な使い方ができるようにしたい」(松田氏)。社員向けウェビナーやユーザー向けマニュアルなどを、動画によって配信するという用途も今後増えていくだろう。さらに、スマートフォンなどのモバイル端末への対応も計画中だという。ただし、ターゲットをまだ絞り込めていないため、市場動向を見定めながら開発を進めていくという。最初はAndroid端末への対応を計画しているとのことで、今後の展開に期待したい。
Web会議と連携する効率的な情報共有基盤「GlobalFamily」
GlobalFamily ASPサービスは、メールやスケジュール管理をはじめ、文書管理、ワークフロー、掲示板、フォーラム、モバイル対応(オプション)など、多彩なコラボレーション機能を提供するクラウド型グループウェアサービス。必要なときに、必要な分だけ、最小限のコストでグループウェアの各機能を利用できる。このサービスは、リアルタイムコラボレーションと組み合わせることでさらにコラボレーションの効果が向上する。
例えば、Web会議で利用した議事録を文書管理機能で保存したり、次回の会議で共有資料を呼び出すことが可能になる。またプロジェクト管理でメンバー間のスケジューリングを実施したり、会議で議決した資料を承認、配布したりする際にもワークフロー機能を活用できる。こうしたWeb会議とグループウェアとの連携の仕組みは、通常業務はもちろん、パートナー会社や外部業務委託会社、海外事業部などとのコラボレーション手段として幅広く応用可能だろう。
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