大阪市浪速区で運用している救急患者の医療情報連携で、iPad/iPhoneを活用するクラウド型情報共有サービスを導入する。
社団法人浪速区医師会は3月30日、地域医療連携ネットワーク「ブルーカード(病状急変時対応カード)」に、住友セメントシステム開発の企業向情報共有サービス「SyncBoard for Enterprise」(以下、SyncBoard)を導入すると発表した。4月1日にシステム運用を開始する。
ブルーカードとは、大阪市浪速区の診療所と複数の病院間で救急医療時の患者情報を共有する医療連携ネットワーク。参加医療機関はブルーカードを基に、患者のかかりつけ医から診察歴や服薬歴などの情報を取得できる。浪速区医師会によると、ブルーカードを導入することで、病院搬送時間の短縮化や搬送先病院での迅速な受け入れなどが可能になるという。ブルーカードは2009年11月から運営しており、浪速区の3病院と近隣地区の4病院が救急患者の診察や入院の受け入れなどの医療連携体制を構築している。
SyncBoardは、組織内で活用している複数のiPadやiPhoneに対してドキュメントやコンテンツなどの一括管理・運用を可能にするクラウド型サービス。情報漏えいを防ぐリモート削除機能やドキュメント閲覧ログの収集・管理機能、本体紛失時の閲覧ロック機能などを備えている。また、デバイス単位でのアクセス権限管理やドキュメント単位での閲覧期限の設定、データ保護API(Application Programming Interface)を使用した暗号化なども可能。
浪速区医師会では今回のSyncBoard導入によって、医師会が救急患者のかかりつけ医から得た情報をSyncBoardにアップロードし、複数のiPad上で素早く情報共有することが可能になるという。また、地域間の医療情報共有の効率化が実現できるとしている。さらに今後は、血液ラボデータや画像情報など、ブルーカード以外の情報共有化への適用も検討している。
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