Microsoftによる買収でSkype導入に関心を示す“Skypeお断り”企業SkypeとMicrosoftの合併は企業に何をもたらすのか?(前編)

企業はこれまでセキュリティなどを理由にSkypeの採用に二の足を踏んできたが、MicrosoftがSkypeを買収したことにより、その状況は劇的に変化しそうだ。

2011年06月02日 08時00分 公開
[Jessica Scarpati,TechTarget]

 Skypeはこれまで、“コンシューマー専用”という世間のイメージを変えようと努め、エンタープライズ分野に足掛かりを築いてきた。一方、ユニファイドコミュニケーション(UC)の専門家は受け入れに二の足を踏み、エンタープライズSkypeの採用を避けるべき理由として、品質、安定性、セキュリティ、サポートなどの不安を常に口にしてきた(参考:モバイルワーカーのSkype利用は是か非か)。しかしこの状況は、Microsoftが85億ドルでSkypeを買収したことにより、劇的に変化しそうだ。

「Skypeは真剣に考えるべき存在」になった

 これまでは懐疑的だった企業も、エンタープライズUCにおけるMicrosoftの影響力のおかげで、インターネットVoIP/ビデオ会議ツール提供企業としてのSkypeにあらためて目を向けている。

 アシシュ・クドシア氏は、インドにいる両親との音声通話やテレビ電話のためにSkypeを使うことにためらいはない。しかしビジュアルプロジェクタメーカーChristie Digital SystemsのグローバルITディレクターという立場では、ChristieでSkypeをサポートしてほしいというエンドユーザーからの要望に抵抗してきた。AT&T、AMC Theaters、Pixar Animation Studios、Sony Pictures Studios、そしてMicrosoftなどの大手を顧客に持つ同社のビデオ品質基準は極めて高い。

 「真剣に考えてほしいという要望は数えきれないほど来ていた。拒みたくはなかったが、ビジネス用にはCisco SystemsのWebExがあり、われわれはずっと前からWebEx(参考:強固なセキュリティとモビリティを両立させるWeb会議システムの雄「WebEx」)を広範に使ってきた。(出張中に個人的に使いたいという)要望のためにWebExを放り出すことはできない。これはビジネスツールであり、『理解はできますが、(Skypeに)賭けることはできません』という立場だった」とクドシア氏は打ち明ける。

 結果として同氏は、ニーズに応えられる別のデスクトップビデオ会議製品を検討していた。しかしレガシー製品のMicrosoft Office Communications Server(OCS)をMicrosoft Lync Server 2010にアップグレードする準備をしていた矢先、MicrosoftとSkypeが合併するかもしれないとのニュースが流れ、クドシア氏のロードマップに待ったがかかった。

 「Skypeに対抗できるものを(検討していた)が、MicrosoftがSkypeをどうするか見極めたいと思い、当面は導入を見送ることにした。Microsoftの計画を見極めるために、まだ6~9カ月待つことはできる。Skypeは間違いなく真剣に考えるべき存在へと進化してきたと思う」(クドシア氏)

MicrosoftとSkypeを軸に、UCベンダー間の提携再編?

 Microsoftはまだ、SkypeとLyncの関係がどうなるのかについて詳細をほとんど明らかにしていないが、Microsoftのスティーブ・バルマーCEOとSkypeのトニー・ベイツCEOは、LyncがSkypeと連係できるようになることを示唆している。

 Lyncを通じて世界数百万のSkypeユーザーと直接接続できれば、会社をまたいだデスクトップビデオ会議で苦労してきたUCの専門家に歓迎されるだろうと話すのは、Nemertes Researchの副社長兼サービスディレクター、アーウィン・ラザー氏。コンタクトセンターにとってはさらに魅力的になると指摘し、次のように語った。

関連ホワイトペーパー

Skype | ビデオ会議 | IP電話


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

隴�スー騾ケツ€郢晏ク厥。郢ァ�、郢晏現�ス郢晢スシ郢昜サ」�ス

製品資料 株式会社マヒト

名刺発注業務を効率化、柔軟なワークフロー構築が可能な名刺発注システムとは

名刺は日々のビジネスに欠かせないツールの1つだが、その発注に関する承認と管理は意外と手間のかかる作業であり、規模が大きくなるほど負担は増大する。そこで注目したいのが、柔軟なワークフローを構築できる名刺発注サービスだ。

製品レビュー NECネッツエスアイ株式会社

2分の動画で解説:外出先での電話環境を改善、雑音除去もできるクラウドPBXとは

外出時の電話対応では、取り次ぎや折り返しの手間に加え、周囲の雑音やノイズといった課題もつきものだ。これらを解決する手段として期待されるクラウドソリューションを取り上げ、実際の利用方法や活用効果を、動画を通じて紹介する。

製品資料 株式会社ジャストシステム

稟議/申請のデジタル化を推進、ノーコードで実現するワークフロー変革術

あらゆる領域でデジタルシフトが進む今、ワークフローにおいてもシステム化が加速している。その手段として注目されるのが、ITの専門知識がなくてもシステム構築が可能なノーコードツールだ。そのメリットや選定のポイントを解説する。

事例 日本ビジネスシステムズ株式会社

SharePointを活用している? Microsoft 365ユーザーなら押さえたい活用の秘訣

Microsoft 365に搭載されている「SharePoint」は活用できているだろうか。製品名は知っていても、その機能やメリットが分かっていないという声もよく聞かれる。そこで実際の活用事例を基に、活用のポイントを紹介する。

事例 日本ビジネスシステムズ株式会社

直感的な社内ポータルに刷新してアクセスが向上、千歳コーポレーションの事例

創立60周年を機に抜本的な働き方改革推進に乗り出した千歳コーポレーション。その一環として取り組んだ社内ポータルの刷新により、コンテンツへの直感的・迅速なアクセスを実現。情報共有やコミュニケーション活性化につながっている。

郢晏生ホヲ郢敖€郢晢スシ郢ァ�ウ郢晢スウ郢晢ソスホヲ郢晢ソスPR

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

Microsoftによる買収でSkype導入に関心を示す“Skypeお断り”企業:SkypeとMicrosoftの合併は企業に何をもたらすのか?(前編) - TechTargetジャパン 情報系システム 隴�スー騾ケツ€髫ェ蛟�スコ�ス

TechTarget郢ァ�ク郢晢ス」郢昜サ」ホヲ 隴�スー騾ケツ€髫ェ蛟�スコ�ス

ITmedia マーケティング新着記事

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...