Microsoftのデータベーススペシャリストを直撃
Microsoftのビッグデータ戦略は顧客に何をもたらすか?
米TechTargetはMicrosoftのデータベースプラットフォームスペシャリストに、同社のビッグデータ事業の抱負と、拡大を続ける同市場での戦略について話を聞いた。
SQLデータベースのエキスパートが集う会議が、昨今のバズワード「ビッグデータ」について真剣に話し合う場になるとは連想しにくいかもしれない。ビッグデータとは、企業が扱いに奮闘している大量の情報のことだ。しかし、2011年10月に開催されたProfessional Association of SQL Server主催の「PASS Summit 2011」は、まさにその様相を呈し、次期SQL Server 2012、Windows Azure、Windows Serverは分散コンピューティングフレームワークのHadoopに対応し(関連記事:マイクロソフトのビッグデータ対応、明かされたSQL Server 2012の新機能)、米Microsoftは、Hadoop関連開発を手掛ける米Hortonworksと提携することがこの会議で発表された。Microsoftのビッグデータ関連機能は、着々と登場しつつある。
米TechTargetは、Microsoftデータベースプラットフォームスペシャリストのマーク・クローマー氏に、同社のビッグデータ事業の抱負と、拡大を続けるこの市場での戦略について話を聞いた。また、新しいセルフサービスBI(ビジネスインテリジェンス)ツールや、同社のクラウドデータベースサービス「SQL Azure」の機能強化など、PASS Summit 2011で発表されたその他の注目の機能についても説明してもらった。
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―― IBM、EMC Greenplum、そして現在はOracleと、大手を中心に多くのベンダーがビッグデータ市場に参入しています。Microsoftは、この競争の中でどのような製品やサービスを打ち出していくのでしょうか。また、なぜこの時期なのでしょうか。
クローマー氏 Microsoftは、Microsoft ITユーザーとApache Hadoopユーザーの優位性を大幅に高める、ビッグデータ関連の新しい製品や機能をかなりアグレッシブに市場に投入しています。これらの新製品や機能は、SQL Server、Windows Server HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)、Windows Azureなど、複数のMicrosoft製品グループが関係します。SQL Serverについては、HadoopとSQL Server PDW(Parallel Data Warehouse)を連係させるコネクタをダウンロード提供しています。これらのコネクタを使うことで、強力なMPP(超並列プロセッシング)データウェアハウス(DWH)の構築や、PDWの威力を生かしたHadoopの非構造化ビッグデータ分析を実現できます。これらは、Microsoftのテクノロジを使ったビッグデータソリューションを実現するために、先陣を切って市場に投入された機能の一例です。
このSQL ServerコネクタとPDWコネクタは、どちらもMicrosoftのデータベースエンジンとの双方向インタフェースとして、Sqoop(SQL to Hadoop)を使用しています。Microsoftのビッグデータへの取り組みでひときわ特徴的なことは、データプラットフォーム(SQL Server)への投資だけでなく、Hortonworksの協力の下で、Windows AzureプラットフォームとWindows Serverを使用したクラウド環境へのApache Hadoopの実装にも多大な投資をしていることです。また、Microsoft Windows Server HPCを基盤とするLinq to HPCを使用したビッグデータ実装にも取り組んでいます。総じて、Microsoftユーザーが非構造化データを含む膨大なデータの高速な分析が必要なビッグデータソリューションを構築する際に、包括的なプラットフォームと多彩なオプションを利用できるようにしています。
―― HortonworksはMicrosoftのビッグデータ市場への取り組みにどのような影響を与えるでしょうか。また、両者の提携はユーザーにとってどのようなメリットがあるでしょうか。
クローマー氏 これは、PASS Summit 2011でも発表しましたが、先ほどお話したようにMicrosoftはHortonworksと提携することで、Windows Server向けとAzure向けのApache Hadoopベースのディストリビューションを提供します。このことをPASS Summit 2011で発表したのは、Microsoftのデータプラットフォームにとって、SQL Serverが中心の製品、ツール、エンジニアリグチームになることが主な理由です。このSQL Serverを軸とするアプローチのおかげで、Microsoftは他社と一線を画し、ディストリビューション、MapReduce、分析など、ビッグデータ処理の要件を満たす、包括的なソリューションを提供できます。
―― Microsoftは、SQL ServerとPDW向けのHadoopコネクタのβ版を2011年夏の終わりにリリースしました。現在これらのコネクタは、SQL Server 2012に組み込まれる予定です。これらの機能を搭載する製品としてSQL Server 2012がふさわしい理由は何ですか。
クローマー氏 エンド・ツー・エンドのビッグデータソリューションを考えると、まず、HDFS(Hadoop Distributed File System)などのスケールアウト型分散ファイルシステムが必要になり、次にデータのマッピング、つまりMapReduceと、IT部門が発掘した価値をビジネス部門に還元するエンドユーザー向けのアナリティクス(分析)が必要になります。Microsoftなら、オンプレミスまたはAzureのHadoop実装を使い、分析データと発掘データをSQL ServerまたはSQL Server PDWに格納できます。SQL Server 2012では、PowerView(旧称:Project Crescent)を使用し、高度に可視化されたアドホックのセルフサービス環境で、エンドユーザー分析機能を提供できます。この分析機能では、SQL Server 2012のカラム(列)ベースのストレージと、BISM(BIセマンティックモデル)インメモリ分析を活用して、ビッグデータを素材にしたリポートを極めて高速に作成できます。
―― PASS Summit 2011では、データの発見、加工、共有を支援するツール「データエクスプローラ」も発表されました。また、PowerViewはタッチスクリーン対応になり、デモが披露されました。これらの機能はエンドユーザーにとって便利なことは明らかですが、この2つのツールを採用する組織において、SQL Server技術者はどのような役割を果たすことになるのでしょうか。
クローマー氏 この2つのツールは、SQL Server 2008 R2の開発時に誕生したコンセプトの延長線上にあり、“セルフサービスBI”機能であるとされています(関連記事:「Microsoft SQL Server 2008 R2」+「Excel 2010」が目指すセルフサービスBI)。PowerViewのようなツールの目的は、エンドユーザーがインメモリ分析を使って、セルフサービスでデータ分析やデータ探索を実行できるようにすることです。PowerViewは、基本的にPowerPivotにSilverlightを適用するなどの手を加えたものです。SQL Server DBA(データベース管理者)や開発者は、SQL Server Analysis Servicesでの分析モデルの作成方法に代わる、新しいBISMデータモデリング手法をエンドユーザーが使いこなせるようにする必要があります。現在SQL Serverに搭載されているUDM(Unified Dimensional Model)モデリングは、SQL Server 2012でも引き続き提供されますが、新機能の方がビジネスアナリストやMicrosoft Officeユーザーにとってはるかに使いやすくなるよう工夫されていますし、リポートの配布システムとしてSharePointを利用できます。
―― PASS Summit 2011では、データベース容量の150Gバイトへの引き上げ、SQL Azure Federationの提供、SQL Azure Data Syncなど、SQL Azureの多数の機能強化について発表されました。これらの機能は、Microsoftのクラウド戦略全体でどのような役割を果たすのでしょうか。
クローマー氏 どの機能も、長く提供が待たれていた機能です。私が通常の業務でかかわるSQL Azureユーザーからリクエストされることも多くありました。コスト上のメリット以外で、お客さまが従来のオンプレミスのSQL Serverではなく、SQL Azureを採用する理由としてよく耳にするのは、SQL AzureとSQL Federationを使用してSQL Serverをスケールアウトできるようになったことです。個人的には、この機能の拡張と進化を目の当たりにし、非常にうれしく思っています。クラウド内の複数のデータベースにまたがってパーティションを作成する機能(シャーディング)はSQL Azure固有の実装で、Transact-SQLに完全に対応しています。前にお話した通り、この機能は、Microsoftプラットフォームを基盤に、スケーラビリティが高く、手ごろなデータベースアプリケーションを構築可能にするというMicrosoftのパブリッククラウド戦略において重要な駒になります。
※マーク・クローマー氏は、中部大西洋地域担当のMicrosoftデータプラットフォームテクノロジスペシャリスト。ITとソフトウェアエンジニアリングの分野で16年間の経験があり、BI、DWH、データベースのコミュニティーにおいて広く知られている。
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