サーバ仮想化でストレージ使用量が3割増! ストレージ効率化ツール6選プライベートクラウド構築で役立つサードパーティー製品【後編】

サーバ仮想化やクラウドによって、必要とされるストレージの量は大幅に増える。クラウド環境におけるストレージのニーズを満たすために、効果的なストレージ利用を支援するツールを紹介する。

2012年02月08日 09時00分 公開
[Bill Claybrook,TechTarget]

 前編「プライベートクラウドのエンドユーザー活用とセキュリティ対策」では、プライベートクラウドの構築で欠かせないセルフサービスポータルと、クラウド専用のセキュリティ対策製品を紹介した。後編では、クラウド環境におけるストレージ課題を解決する6つのツールを紹介する。

クラウドストレージのコントロール維持

 サーバ仮想化はIT経費の削減とサーバ利用の向上につながる半面、その普及によって必要とされるストレージの量も増大している。サーバ仮想化で浮いた経費がストレージのために使われていることもある。

 仮想サーバが使うディスクスペースは物理サーバに比べて最大で30%増大することもある。仮想サーバ管理の不備に起因するVMスプロールのために、データバックアップと災害復旧戦略の見直しを強いられた企業も多い。

 クラウドのような仮想サーバ環境に必要な追加のストレージに対処するために、ストレージデバイスのアップグレードが必要になったという企業もある。また、出張経費管理製品を手掛ける米Concur Technologiesなどの企業では、パフォーマンス問題の解決のためにストレージをSerial ATAからIntegrated Drive Electronics(IDE)へと1ランク上げただけでなく、データ重複排除機能を利用した。

 プライベートクラウド内の仮想サーバ構築が一般的になり、IT部門がモバイル端末をサポートするようになると、必要とされるストレージの量は大幅に増える。ここからストレージ仮想化、データ重複排除、シンプロビジョニングに本気で取り組む必要が生じ、データのバックアップについても再考を迫られる。

 仮想環境で生じたストレージ問題に対処するには幾つかの選択肢がある。ストレージ仮想化、データ重複排除、シンプロビジョニングといった技術では、クラウド環境におけるストレージのニーズを最適化できる。複数のベンダーが、クラウド環境のストレージ利用増大に対応して以下のようなツールを提供している。

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NetApp MultiStore

 1台のストレージシステム上に個々に隔離されたロジカルパーティションを作成することで、権限のないユーザーはセキュアな仮想パーティション内の情報にアクセスできなくなる。ストレージシステム間の仮想パーティション移動も容易にでき、クラウド内でDR(災害復旧)が提供される。

DataCore SANsymphony-Vストレージハイパーバイザー

 複数のディスクストレージシステムの強化に用いられるポータルソフトウェアパッケージ。プロビジョニングと複製およびパフォーマンスの拡張で個々の機能を補う。統合されたディスクプール全体を通じて透過的な仮想レイヤーを提供し、ストレージ利用の向上につなげている。

FalconStor FDS

 ストレージ容量削減のためのLANベースの重複排除ツール。一元管理型のグラフィカルユーザーインタフェース(GUI)を使って重複排除ポリシーを設定できる。小型のものからP(ぺタ)バイト級のロジカルストレージ容量に対応したラックサイズの装置までさまざまな規模がある。

SyncplicityのVirtual Private Cloud

 PC、Mac、ファイルサーバおよびGoogle Docsのようなクラウドアプリケーションにあるファイルとフォルダを数量無制限で自動的に同期できる。全てのファイルとファイルバージョンは、会社のネットワークに接続されていてもいなくても、自社の仮想プライベートクラウドに自動的にバックアップされる。

Axcient RapidRestore

 ストレージアプライアンスとインターネットストレージサービスを組み合わせたハイブリッド型のストレージモデル。ローカルとオンラインでストレージをバックアップしてアーカイブできる。ストレージアプライアンスの容量は500Gバイト~10Tバイトまで。

Riverbed Whitewaterアプライアンス

 データセキュリティに重点を置いて、インターネットを介したデータ転送の高速化を図るとともに、クラウド環境におけるデータ可用性を確保する。クラウドユーザーは主に、データのセキュリティと、クラウドとの間でやりとりするデータの通信速度に大きな関心を払う。

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