従来同様に包括利益表示を連結財務諸表にだけ求め、単体財務諸表には当面の間、適用しないことを提案した。
包括利益表示は、東京合意に基づくコンバージェンスの一環として企業会計基準第25号で導入された。しかし、公表直前に異論が相次ぎ、適用は連結財務諸表のみとし、単体財務諸表への適用については第25号の公表後1年をめどに判断するとされていた(参考記事:包括利益表示が正式決定、単体については1年後に判断)。
また、財務会計基準機構に設置された「単体財務諸表に関する検討会議」が2011年4月に公開した報告書では、包括利益表示については単体財務諸表には適用しない考えを支持する意見が多かった(参考記事:単体財務諸表はコンバージェンスせずが多数意見か、報告書公表)。2012年1月の企業会計基準委員会でも同様の意見が出ている(参考記事:開発費、のれんは連単とも現行処理を継続、ASBJが提案)。
これらの議論を受けて、今回の公開草案第47号では包括利益表示を「当面の間、個別財務諸表には適用しない」ことが提案された。これまでの企業会計基準委員会の議論では、「包括利益の表示の個別財務諸表への適用については、市場関係者の中から強い懸念が表明されており、改正を図ることのコンセンサスが十分には得られていない」などの意見が挙がっている。具体的には「単体の当期純利益は分配可能額の計算や課税所得計算の基礎となるなど、他の制度に与える影響が大きい」「包括利益は、表示の問題にとどまらず、リサイクリングや利益概念に密接に関係する。リサイクリングの問題を整理することなく、単体に包括利益を表示すべきではない」などの指摘があった。
包括利益表示についての議論では、2011年6月に公表された改訂IAS第1号「財務諸表の表示」を参考に、1計算書方式の名称を現行の「損益及び包括利益計算書」から「純損益及びその他の包括利益計算書」に、2計算書方式の名称を現行の「損益計算書」と「包括利益計算書」から「純損益計算書」と「純損益及びその他の包括利益計算書」に変更することを検討した。しかし、審議の結果、現行の名称を使うことが提案されている。
ASBJは、公開草案第47号について5月25日までコメントを受け付けている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
デジタル化における部分最適の課題を解消し、全体最適を実現する次世代プラットフォーム「ServiceNow」。その特徴や導入事例とともに、スピーディーかつ低コストで業務効率化を実現できる導入テンプレート製品を紹介する。
デジタル化が加速する中で、システムのサイロ化に課題を抱えている企業も多い。こうした状況を解消するために、あらゆるシステムや業務をつなぐ管理基盤の導入が注目されているが、リソースや人材が不足する中でどう進めればよいのか。
企業のクラウド移行が進む一方、「クラウド化によってどれだけの効果が得られたのか」といった疑問は拭えない。この疑問を解消する鍵は「FinOps」の確立だ。本資料では、FinOpsに基づき、クラウド活用による5つの利点について解説する。
東洋エンジニアリングは、2019年にDXoT推進部を立ち上げ、全社横断的なDXに取り組んでいる。そこで従来、一部の部門で活用されていたAI基盤を他の部門に展開することで大きな成果を生み出したという。同社の取り組みを詳しく解説する。
スマートロッカー(自動で荷物の預け入れなどが行えるIoTベースのロッカーシステム)が普及する一方で、遠隔地に分散する多数の装置を効率的かつ安全に管理・保守することが難しくなっている。この課題解決のカギを握るのがリモートだ。
2025年の「IT導入補助金」で中堅・中小が導入すべき2つのツール (2025/3/31)
申請業務のシステム化が難しい理由とその解決策とは (2024/9/27)
運用・管理はお任せ 生成AIを安全に活用できるRPAプラットフォーム (2024/5/16)
オンライン研修で情報処理安全確保支援士の取得と維持を支援 (2024/2/1)
セキュリティ対策にDX 情シスが「やりたくてもできない」状況から脱するには? (2024/1/29)
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...