オリンパス、大王製紙の事件を受けて日本企業のコーポレートガバナンスを再考する議論が本格化している。社外取締役、内部通報制度、会計監査はガバナンスの向上に有効か。識者による議論を紹介する。
青山学院大学大学院 会計プロフェッション研究科主催の「第10回 青山学院 会計サミット」が7月11日に同大学で開催された。10回目を迎える今回は、2011年に発覚したオリンパスの巨額損失隠し事件や、大王製紙の私的流用事件を受け、「企業不正を巡る諸課題 〜その防止と発見を目指して〜」がテーマ。前編「会計不正は対岸の火事ではない」に続き、後編では第三者調査委員会や公認会計士、企業監査の役割についての議論を紹介する。
【パネリスト】
【コーディネーター】
第三者調査委員会は企業不正などが明らかになった際に、企業自らが立ち上げて弁護士や公認会計士など第三者の専門家が調査し、報告する制度。日本弁護士連合会が公表している第三者委員会についてのガイドライン(リンク)が使われるケースが多い。ガイドライン作成にかかわった國廣氏は「これまでは問題が起きると、何でも東京地検特捜部に頼っていた。もちろん東京地検特捜部が出て行く必要がある事案もあるが、刑事事件は劇薬。背景のガバナンスの議論が抜け落ちる」と指摘した。第三者委員会はこの刑事事件捜査、刑事裁判で明らかにならない「透明性と、何が起きたのかという説明責任、それによる失敗例の共有化」を果たすことができるという。
第三者委員会の中には社内関係者が委員に選ばれるなどその独立性を疑問視する声がある。國廣氏は「非常におかしな第三者委員会もある。今後は第三者委員会の中で、良い悪いの評価をしていかないといけない」としながらも「第三者委員会は市場規律の機能を果たし得る。これから育てていくことが必要」と話した。
一方で会計監査を行う公認会計士からは、第三者委員会の役割を認めながらも注文があるようだ。
山崎氏は「私どもは、監査がどうであったかを第三者委員会の立場で言及されると困るというのが基本的な立場」と説明。その上で「会計監査については基本的には当事者である会計監査人と、日本公認会計士協会しか、事後的にどうであったかを判断することはない」と話した。「このことについては日弁連に明確に申し上げなければならない。ガイドラインについては改正を要求することになる」
コーディネーターを務めた八田氏も「私も同じ問題意識」として「会計のことは会計の専門家、監査のことは監査の専門家に聞いてほしい」と話した。
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