酷評されるスマートフォン向けのFacebookアプリ
お粗末なFacebookモバイルアプリ、改善のための秘策は?
「使いにくい」「あか抜けていない」「お粗末」。Facebookが提供するスマートフォン向けアプリへの悪評は尽きない。さらにはマネタイズにも失敗している。スマートフォン向けFacebookアプリに改善の余地はあるのか?
米Facebookのこの5年間の急激な成長は、全面的にデスクトップ/ノートPC向け事業の成功による。同社がこの勢いを維持するには、モバイル向け事業でも同様の成長を遂げる必要がある。
行く手は険しい。マーケティング企業の英Greenlightが2012年4月に発表した調査報告によると、Facebookユーザーの44%が、スポンサー記事やディスプレー広告を「決して」クリックしないと答えている。
米General Motors(GM)はそれを見抜いて、FacebookのIPO前日にFacebookへの広告打ち切りを発表し、マスコミに大きく取り上げられた。Facebookと同社のザッカーバーグCEOにとっては最悪のタイミングで不本意な注目を集めることになった(関連記事:Facebookのモバイル事業、出来の悪いアプリで大失敗か)。
Greenlightの調査結果とGMの動きは、21インチのモニターや15インチのノートPCの画面上に表示されるFacebookの広告セールスの課題を表している。では、3.5インチのiPhoneの画面に表示される広告についてはどのような課題があるだろうか?
米Yankee Groupのリサーチ担当副社長のカール・ハウ氏は、「従来のWeb広告は、少なくともタブレットでは使えるだろう。しかし、スマートフォンの場合は難しく、余白広告が使えないことがFacebookの課題の1つだ」と話す。
「(ユーザーに)すばらしいモバイルエクスペリエンスを提供できたとしても、余白に広告を表示する従来のモデルは小さな画面には適用できない。そのため、(Facebookは)モバイルを余すところなくマネタイズ(収益化)することはできない。スマートフォンでは広告を余白に表示できないのだ」とハウ氏は説明する。
お粗末なモバイルエクスペリエンス
実際、Facebookのモバイルアプリケーションには広告を全く表示できない。スマートフォン向けのFacebookのモバイルアプリケーションは、率直に言ってお粗末だ。iPhone用アプリケーションは使いにくく、あか抜けていない。Android用のアプリケーションも似たり寄ったり。Google Playには、Facebookアプリケーションの品質について多数の苦情が書き込まれている。これまでのところ、Windows Phoneが唯一、FacebookをOSに統合しており非常に使いやすい。だが、広告を表示する余地はどこにもない(関連記事:iPad用お薦めソーシャルネットワーキングアプリ(前編))。
米Mobile Traxの主席アナリストであるゲリー・パーディ氏は、FacebookはユーザーをPCに留めておきたいのではないかと考えている。パーディ氏は、「Facebookはモバイルユーザーの立場に立とうとは考えていない。彼らにとって利益にならないからだ。彼らが欲しいのは、Facebookへのトラフィックだ。ユーザーが望んでいるのは実用的な機能だが、Facebookはほとんどが(実体のない)イメージで成り立っていて、イメージしか語っていない」と話す。
米調査会社Sterling Market Intelligenceの創設者兼代表者のグレッグ・スターリング氏は、さらに過激な論を展開する。「Facebookのモバイルアプリには、ほとんど広告がない。個人的な意見だが、モバイルアプリケーションの方が利用されるのは、こちらの方がシンプルだということも理由だと思う。エレガントではないにしても、PC版よりユーザーインタフェースはすっきりしている。意識的であるかどうかに関わらず、ユーザーは広告を無視するものだ。余分な情報(広告)がなくて、特定の操作に集中できる方が好まれる」
しかし、スマートフォンでもそれなりのユーザーエクスペリエンスが得られる見込みがある。Windows Phone 7.5は完全にソーシャルメディアと連係していて、LinkedInやFacebookの連絡先と通常の電話やメールの連絡先が統合されている。また、米Appleは、先日開催した開発者向けカンファレンスWWDC(Worldwide Developer Conference)において、同社のモバイルOSの次期バージョンとなるiOS 6にFacebookを完全に統合することを発表した(関連記事:Apple「iOS 6」のiCloud強化に頭を抱える企業ユーザー)。
マネタイズに本腰を
ハウ氏によると、モバイル市場でのマネタイズには、Facebookだけでなく多くの企業が失敗しているという。「左右の空きスペースに広告を表示する以外に、新しい広告モデルを見つける必要がある。これはFacebookに限ったことではない。現時点では、デスクトップ市場で使っていた手法をそのまま適用しようとしているため、ほとんどのモバイル広告は失敗していると思う」
パーディ氏によると、Facebookは、使い勝手の悪いスマートフォン向けアプリケーションを改善せざるを得ない状態であり、何かしらの取り組みをしているところだという。「Facebookは、モバイル事業が大きな事業分野以上の意味を持つことを認識しているに違いない。そうでなければ、写真共有アプリのInstagramにあれほど巨額の投資は行わないだろう。これについては、まず間違いない。Facebookはモバイルアプリを修正して、実用性の高いアプリを開発するか、時間を節約するのならどこかを買収して、実用的なアプリを開発するだろう」
スターリング氏は、マネタイズについて既に複数の可能性を見ている。「Yahooは独自のブラウザを提供しているが、Facebookも開発してはどうだろうか。また、Facebook Credit(Facebookのポイントプログラム)を使って、さまざまなことができるだろう。例えば、オフラインの世界でのロイヤルティーポイントプログラムと連係する。現に、オンラインで使用できるFacebookポイントをプログラムの特典として提供している企業もある。これをさらに推し進めたら、何かしらの手段を確立できる可能性がある」と話す。
スターリング氏は、また、FacebookがAdSenseのようなネットワークを構築するとも考えている。「ユーザーのサインイン時にターゲティングを行う。ユーザーがサインインするときにターゲット広告を表示する。Facebookはこのような手段を取ることになるだろう。あれだけ多くのサイトでFacebookコネクト(Facebook Connect)がサインインに使われているのだから、これを利用しない手はない」
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