自社開発システムが多かった生産管理システムでもERPパッケージの利用が増えている。ただ多いのはERPと専用パッケージの組み合わせ。生産管理におけるERPの得意分野を見極めることがポイントだ。
日本のお家芸ともいわれる製造業で主に使われるERPパッケージの生産管理モジュール。これまで工場の生産管理システムは自社開発が多かったが、安く、早く立ち上げることができるERPをうまく利用する企業が増えてきた。アビームコンサルティング 執行役員 プリンシパル プロセス&テクノロジー事業部 SCMセクターリーダーの安井正樹氏の説明を基に、企業の生産管理システムの現状とトレンドと、生産管理モジュールを選ぶ上でのポイントを説明する。
生産管理システムを考える場合、日本国内の工場と海外の工場を分けて考える必要がある。国内工場では生産性を高め、高付加価値な製品を製造することに集中している企業が多い。そのため少人数、小ロット、短いリードタイムで多品種の製品を作ることが基本だ。一方、海外工場では比較的に安い人件費を生かして、大人数で大ロットの製造を行う傾向が強い。人手を掛けて大量の生産量を稼ぐ。
海外と国内では生産管理システムへの考え方も異なる。海外では比較的にシンプルな生産工程のため、生産管理システムに期待されるのは、製造における詳細な指示ではなく、実績や歩留まり、在庫など重要なKPI(Key Performance Indicator)の見える化だ。複数の工場でKPIを見える化するには、業務を標準化して、KPIの取得の仕方を統一する必要がある。その業務標準化にも生産管理システムは使われている。
ERPの生産管理モジュールの選択も、海外工場におけるこのようなKPIの見える化や業務プロセスの標準化、リポーティングなどの利用を想定すべきだ。海外工場では、製造の細かい指図や部品の入出庫管理などについてはシステム化されていないケースも多い。人手が多いため、マニュアル作業で対応した方が効率がいいからだ。
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