パブリッククラウドプロバイダーとユーザー企業ではITのアーキテクチャの在り方が大きく異なる。サーバ、ストレージ、ネットワーク、仮想化、データセンター設備といった観点で比較する。
企業がAmazonやFacebook、Googleといったパブリッククラウドプロバイダーのアジリティ(俊敏性)を望むのであれば、ITインフラとオペレーションを抜本的に見直す必要がある。
米Gartnerの調査担当副社長レイ・パケット氏は、2012年12月初めにラスベガスで開催された「Gartner Data Center Conference」の基調講演で、クラウドプロバイダーと企業ITの主要な相違点の他、企業がよりクラウドに近い環境を構築するためにできることについて説明した。
「2017年には、主要なパブリッククラウドのアーキテクチャが企業における一般的なアーキテクチャになっているだろう。だが、企業が現在採用しているアーキテクチャとクラウドアーキテクチャは根本的に異なる」とパケット氏は語る。
企業ITとは異なりパブリッククラウドは、水平に拡張するよう設計され、非共有方式のシェアードナッシング型アーキテクチャを採用し非同期通信を行う。アプリケーションはハードウェアのフォールトトレランス(参照:まず押さえておきたいサーバ仮想化導入のポイント)を確保する。すなわち、ソフトウェアレイヤーが個々のハードウェア障害に対する保護を提供し、全てを徹底的に監視する。コストに関しては、「探すべきはできる限り安価なハードウェアであって、一番良いハードウェアでも一番高価なハードウェアでもない」というのが、クラウドプロバイダーの方針だ。
「こうして、スケーラビリティやインテリジェントなソフトウェア、そしてコスト排除を重視することで、目を見張るレベルのアジリティを実現できる」とパケット氏。
さらに同氏は、サーバ、ストレージ、ネットワーク、仮想化、データセンター設備、アプリケーションなど、データセンターのさまざまなコンポーネントについて、パブリッククラウドと企業のアプローチを比較した。
パブリッククラウドプロバイダーのプライマリサーバプラットフォームは、メインフレームやハイエンドUNIXサーバではない。ましてや、あらかじめ統合されたコンバージド(集中型)インフラプラットフォームでもない。パブリッククラウドプロバイダーが利用するのは、安価な1Uサイズ(ピザボックスとも呼ばれる)の軽量薄型のサーバ(スキンレスサーバ)であり、フルラック単位で購入するサーバだ。とりわけ、パブリッククラウドプロバイダーはあらかじめ統合されたブレードサーバを敬遠する。パケット氏によれば、そうしたブレードサーバには余分なスペースがスキンレスサーバの2~3倍あるという。
「パブリッククラウドプロバイダーは効果的に前年モデルを購入している。前年モデルならコストが最大限まで削られている。まずまずの性能で、価格が安価であること。それが、パブリッククラウドプロバイダーの考え方の基本だ」と同氏は語る。
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