ライセンス更新やリプレースを契機にクラウド移行を決断3社の事例から見えるクラウド移行の実際【前編】

クラウドへ移行する企業にはどのような戦略的決断があるのだろうか。前編では、ライセンス更新やリプレースを契機にクラウド移行を実施した2社の事例を紹介する。

2011年05月10日 09時00分 公開
[Carl Brooks,TechTarget]

 3社の企業が、それぞれ異なる方法でクラウドコンピューティングに移行する方針だ。そのうちの2社は信頼と必要性に基づいて判断を下し、残りの1社はより先進的な考えに基づき判断を下している。ただし、その根底にある考えは3社とも同じだ。その考えとは、「同じコストを掛けるのなら、より多くの成果をもたらしたい」というものだ。

始まりはPeopleSoftのOracleによる買収だった

 米Springfield Medical Clinicにとって、クラウドサービスを使うというのは難しい選択ではなかった。何年にもわたり同クリニックと提携関係にあったアプリケーションホスティングプロバイダーの米NaviSiteが、スケーラビリティ、セルフサービス、オンデマンド、マルチテナンシーなど、クラウドの評価基準を全て満たすサービスをスタートさせたのだ。となれば、それを使用するのに特別な理由などいらない。「コストを削減し、管理の手間を軽減できるから」というありふれた理由で十分だ。

 「クラウドコンピューティングは、どれだけコスト効率が高いかという点だけからしても、われわれにとっては実に魅力的な存在となっている」とSpringfield Medical Clinicのアプリケーションマネジャー、ブラッド・ウォレス氏は言う。

 同クリニックは2004年、米PeopleSoftのアプリケーションがライセンスの更新時期を迎えたのを機に、米Surebridge(NaviSiteが買収したマネジメントサービスプロバイダー)が提供するホスティングサービスを利用するようになった。当時、PeopleSoftは米Oracleによる買収提案を受けて混乱のさなかにあったため、PeopleSoftのアプリケーションをアウトソーシングしつつ仕事環境を維持するというのは非常に妥当な判断と思われた。

 「アップデートやパッチなど、オーバーヘッドもばかにならない」とウォレス氏は言う。

ITmedia マーケティング新着記事

news130.jpg

“AI美女”を広告に起用しない ユニリーバ「Dove」はなぜそう決めたのか
Unilever傘下の美容ケアブランド「Dove」は、「Real Beauty」の20周年を機に、生成AIツー...

news099.png

有料動画サービス 34歳以下では過半数が利用経験、4割は1日1回以上利用
「ニールセン・ビデオコンテンツ アンド アド レポート 2024」を基に、テレビ画面での動...

news171.png

2024年のGW予算は横ばい 賃上げよりも物価高と円安の影響が勝る?――インテージ調査
インテージが全国の15歳から79歳の男女を対象に実施したゴールデンウイークに関する調査...