国内でシェア上位を占める統合運用管理製品ベンダー7社を取材する本連載。今回はCA Technologiesが提供する運用自動化製品群「CA Automation Suite for Clouds」の中核製品「CA Process Automation」を紹介する。
CA Technologiesが2011年7月から提供している「CA Automation Suite for Clouds」は、プライベートクラウド環境を実現する製品群だ。同社は2008年のリーマンショック後のサーバ統合の流れが、仮想サーバの無秩序な増加による “仮想化活用の失速”をもたらしたことに着目。ビジネス展開のスピードアップなど、「仮想化に本来期待されていた機能を提供するための製品群」と位置付けている。
CA Automation Suite for Cloudsは、「複数のツールを使った、複数のステップを踏む作業」を運用手順書に沿って自動化する「CA Process Automation」を核に、仮想サーバのプロビジョニングなどを行う「CA Server Automation」、システムの構成管理を行う「CA Configuration Automation」、よく使うシステム構成をカタログ化し、サービスポータルを通じてユーザー部門と共有する「CA Service Catalog」などで構成。これらの組み合わせにより、ユーザー部門のリクエストに応じて自動的にITリソースを提供する環境を実現する。
「CA Server Automation」は、物理、仮想、パブリッククラウド環境において、物理/仮想サーバの配備に必要な、OS、ストレージ、アプリケーションのプロビジョニングを自動的に行う機能を持つ。CPUの容量など、必要なリソースを自動的に確保する他、サーバ提供に伴う課金管理やリポート自動作成機能も持つ。よく使われるスペックの仮想サーバのテンプレートを登録しておけば、必要なスペックのテンプレートを選ぶだけでプロビジョニングすることもできる。そのため、IT部門の手を借りずにエンドユーザーが仮想サーバを入手できる点がポイントだ。
「CA Configuration Automation」は、ネットワーク機器やサーバ、OS、アプリケーション、データベースなどをエージェントレスで自動的に検出して構成設定を確認。ビジネスの状況に応じて変化する仮想環境のシステム構成を可視化し、トポロジーマップを作成する。これにより、“今のシステム構成”を正確に把握できる。
ポイントは、あらかじめスナップショットで取っておいたシステム構成を評価基準とし、それと照らし合わせて必要に応じて自動/手動で修正することで、あるべきシステム構成を堅持できること。システム構成の秩序を保つことで、仮想サーバ乱立の抑止やダウンタイムの防止に寄与する。1000を超える業界標準ポリシーを搭載しており、今のシステム構成がSOX法などのコンプライアンス基準に沿っているかどうかを監査し自動的に修正することで、運用管理作業を効率化できる点も特徴だ。
「CA Service Catalog」は、仮想サーバの予約やデータベース管理など、上記ツールを使って「IT部門が提供できるサービス」をカタログとして公開。業務部門のエンドユーザーにセルフサービスとして提供するためのポータル機能を持つ。リクエストの受け付けやその後の承認フローなどをカバーする。
「CA Process Automation」はこうした製品群の頭脳の役割を果たす。Runbook Automation機能により、あらかじめ設定した運用手順に沿って各製品を制御することで、サービスカタログの提供から、エンドユーザーのリクエストに応じた仮想サーバのプロビジョニング、OS/ソフトウェアの設定、それに伴う承認フローまで、一連の作業を自動化する仕組みだ。
特徴はコネクタと呼ばれる各種運用作業部品を用意していること。何らかの作業に伴う「関係者への電子メールの通知」など、基本的な運用管理作業部品を100種類、Oracle DatabaseやMicrosoft SQL Serverを使った作業などに対応するサードパーティー製のコネクタも82種類用意している(2013年1月現在)。作業部品は要望に応じて新規開発、カスタマイズすることもできる。CAでは随時追加していくという。
CA Technologiesソリューション技術本部 クラウド技術本部 クラウドアジャイルソリューション技術部マネジャーの奥村剛史氏は、「運用手順の整備には多大な時間と手間が掛かる。また従来、自動化するためには膨大な量のスクリプトを作らなければならなかった。本製品はあらかじめ用意されたコネクタをドラッグアンドドロップで配置し、線でつないでいくだけで業務プロセスを定義できる。開発言語やスクリプトを熟知している必要もない」と解説する。
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