構成情報に基づいて自動運用を最適化する「Systemwalker Runbook Automation」運用自動化製品紹介【第2回】

本連載では、ニーズが高まっている運用自動化機能にフォーカスし、国内でシェア上位を占める統合運用管理製品ベンダー7社を取材。今回は富士通の運用自動化製品「Systemwalker Runbook Automation」を紹介する。

2012年12月13日 08時00分 公開
[内野宏信,TechTargetジャパン]

 富士通の「Systemwalker」は、国内では日立製作所の「JP1」に次いで大きなシェアを誇る統合運用管理製品。運用自動化製品「Systemwalker Runbook Automation V15」は、2012年5月に発表されたプライベートクラウド環境構築を支援する製品群「プライベートクラウドミドルウェア V15.1」シリーズの1つで、2010年から提供してきたSystemwalker Runbook Automationの最新版となる。

CMDBでシステム構成を正確に把握 “統制の取れた”自動運用を実現

 同製品は運用管理スタッフが運用手順書を見ながら行っていた作業を自動化することで、運用コストの削減と運用品質の向上を支援。OSミドルウェアに対する操作だけではなく、人が行う確認・判断作業も含めた運用フローを定義、自動化することで、運用管理業務の標準化も図ることができる。

 「近年は仮想化、クラウドの浸透が進み、物理と仮想、オンプレミスとパブリッククラウドが混在した複雑な環境になっている。効率化の一環としてシステムの統合が進んだことで、管理対象となるIT資産も増えた。こうした中、IT部門はITサービスの提供や障害対応などを迅速・確実に行うことが求められている。コスト削減によりオペレータも減らされている今、これにどう対応するか――富士通では自社内のシステム運用ノウハウを生かし、効率的かつ統制の取れた自動運用を目指した」(富士通 ミドルウェア事業本部 サービスマネジメント・ミドルウェア事業部 第三開発部 マネージャーの桝野 弥千雄氏)

 以上の考えに基づき、富士通ではSystemwalker Runbook Automationに大きく2つの特徴を持たせた。1つは自動化する運用プロセスの簡単・確実な実装だ。人の作業とITシステムの操作をまとめた一連の作業手順を、専用のGUIツール「自動運用プロセス開発画面」でシンプルに定義できる。

ALT 図1 Systemwalker Runbook Automationの自動運用プロセス開発画面。運用操作部品を選んで、ドラッグ&ドロップ操作で画面上に配置。線でつなげるだけで運用プロセスを定義できる《クリックで拡大》

 ポイントは「仮想サーバを起動」「関係者にメールを送信」といった「運用操作部品」をあらかじめ用意していること。ユーザーはカテゴリ別に整理された運用操作部品の中から最適なものを選んで、ドラッグ&ドロップ操作で画面上に配置。線でつなげていくだけで自動運用のプロセスを定義できる。これにより、例えば仮想サーバのプロビジョニングなど、複数の管理ツールを使って複数のステップを踏んでいた作業も容易に自動化できる。

 運用操作部品は、2012年11月現在で106種類。「ユーザー企業にとって扱いやすい粒度が大きめの部品を用意しているが、ニーズに応じて必要な部品を開発することもできる。今後もユーザー企業の要望を聞きながら、随時増やしていく予定だ」という(桝野氏)。

 2つ目の特徴は、運用自動化機能と、システム構成/稼働情報の可視化機能との連携だ。具体的には、自動運用する物理/仮想サーバやそのOS、ミドルウェアなどの情報を、構成管理データベース(以下、CMDB)で管理。Systemwalker Runbook Automation がCMDBで“現在のシステム構成”を参照しながら、自動運用プロセスを実行する。仮想サーバに割り当てるリソースの容量など人が行う判断や承認作業については、担当者に作業を促すメールを自動送信し、管理画面上での判断・承認作業を促す。これにより、システム構成が柔軟に変化する仮想環境でも常に適切な自動運用が行える。

 「仮想化を導入していれば、ビジネスの状況に応じて仮想サーバの台数が増減する。このため運用管理スタッフは常に現在のシステム構成を把握する必要があった。しかしCMDBと連携した運用プロセスの自動実行により、運用管理スタッフは物理/仮想サーバの増減を意識することなく、人が判断すべきプロセスのみ担当すれば済む。この点でシステム運用の大幅な効率化、確実化が図れる」(桝野氏)

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