運用管理の煩雑化に伴いニーズが高まっている運用自動化製品。本連載では国内でシェア上位を占める統合運用管理製品ベンダー7社を取材。今回はNECの運用自動化製品「WebSAM vDC Automation」を紹介する。
NECの「WebSAM」は、日立製作所の「JP1」、富士通の「SystemWalker」に次いで国内で高いシェアを誇る統合運用管理製品だ。同社では、自動化による運用の標準化、効率化とともに、「プライベートクラウド基盤の実現」にフォーカス。2011年10月から運用自動化製品「WebSAM vDC Automation」と、サービスポータル製品「WebSAM Cloud Manager」を組み合わせて提供している。
WebSAM vDC Automationは、社内の既存IT資産をリソースプールとして統合管理する「リソースプール管理」機能と、ITリソースの切り出し、配備などの作業をあらかじめ定義した手順に従って自動的に行う「運用自動化」機能を持つ。
リソースプール管理機能では、既存のサーバ、ネットワーク、ストレージだけではなく、仮想マシンやその上に構築した業務システムも含めて一元管理が可能。モニタリング機能、障害監視機能、性能管理機能も併せ持ち、各種ITリソースの使用状況を専用管理画面で一元的に把握・管理できる点が特徴だ。パッチ適用をはじめとする各種運用管理機能も装備し、システムの高いアベイラビリティを担保できるという。
運用自動化機能は、仮想サーバのプロビジョニングなど、従来は複数の管理ツールを使って複数のステップを踏んでいた作業を自動化する機能。これには2つの特徴がある。1つは仮想サーバのプロビジョニングだけではなく、ストレージの割り当て、ネットワークの設定、アプリケーションのインストール、その監視設定まで含めて、業務で使える環境を構築するための一連の作業を全て自動化できること。これにより、状況に応じてITリソースを切り出し、迅速にビジネスを開始できる環境が整う。各ベンダーが公開している機器設定のインタフェースを使うことで、マルチベンダー製品で構成したヘテロな環境に対応できる点もポイントだ。
2つ目は、そうした一連の作業手順を迅速に定義できるGUIツールを用意していること。「仮想サーバを起動」「パラメータ設定」といった各種作業部品を用意しており、ドラッグ&ドロップ操作で画面上に配置。線でつなげていくだけで、リソース提供の承認作業など、人が判断するステップも含めて自動運用のシナリオを定義できる。各種作業部品を新たに開発することも可能だ。さらに、NECのクラウド構築・運用における300のユースケースを基に、NEC自身が考案・検証した「作業手順のシナリオ」を20種類用意(2012年12月現在)。GUIツールでシナリオをカスタマイズすることで、自社に最適なシナリオを迅速に定義できるという。
NEC 第二ソフトウェア事業部 シニアマネージャーの福島 誠氏は、「多くの企業がサーバ仮想化によるコスト削減に乗り出しているが、部門・拠点単位のリソース共有にとどまっている例が多い。そうした個別最適型のリソース共有では仮想化のメリットを十分に引き出すことはできない。その点、WebSAM vDC Automationは全社規模でのリソース共有とともに、自動化機能による作業の標準化と効率化を実現する。作業手順の策定も、通常は豊富なノウハウと手間が必要となるだけに、シナリオとして標準提供される点はメリットが大きい」と解説する。
一方、WebSAM Cloud Managerは「セルフサービスポータル」機能を提供する製品だ。WebSAM vDC Automationと連携させることで、ユーザーの要求に応じて自動的にITリソースが配備されるプライベートクラウド環境が整う。
具体的には、WebSAM Cloud Managerの管理画面上で、ユーザーが希望するリソースのスペックを指定すると、WebSAM vDC Automationにリクエストを送信。WebSAM vDC Automationがシナリオに沿ってリソースを切り出し、WebSAM Cloud Managerの管理画面上で、そのリソースのIPアドレスやアカウント情報などを通知する。これにより、業務部門のエンドユーザーのリクエストに応じて、必要なITリソースが自動的に配備される仕組みだ。
“よく使われるシステム構成”を「サービスカタログ」として登録できる「サービスカタログ管理」機能を搭載している点もポイント。管理画面で毎回必要なITリソースのスペックを入力することなく、カタログの中から必要なサービスを選ぶだけで迅速に入手できる。各サービスの価格(利用部門への配賦額)とサービスレベルを定義可能であり、すぐに実運用の環境が整う点も大きな特徴だ。
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