市場調査:ITのアウトソース化で揺らぐ企業内IT担当者の存在価値変化する業界構造

Uptime Instituteの年次調査から、企業のIT投資動向に変化が見られた。自社データセンターからクラウドやコロケーションなどアウトソースへのシフトは企業に何をもたらすのか?

2013年10月04日 08時00分 公開
[Archana Venkatraman,Computer Weekly]
Computer Weekly

 米Uptime Instituteが毎年実施しているデータセンター業界動向調査から、IT投資先が自社所有のデータセンターから、SaaS(software as a service)、クラウドコンピューティング、マルチテナントのコロケーション、ホールセール(卸売り)型データセンターサービスなど、アウトソースを活用する方向へシフトしていることが分かった。

Computer Weekly日本語版 2013年9月25日号無料ダウンロード

本記事は、プレミアムコンテンツ「Computer Weekly日本語版 2013年9月25日号」(PDF)掲載記事の抄訳版です。本記事の全文は、同プレミアムコンテンツで読むことができます。

なお、同コンテンツのEPUB版およびKindle(MOBI)版も提供しています。


 3回目となるこの年次調査によると、2013年春までのデータセンター関連投資は世界全体で増え、データセンター担当組織に割り当てられた予算は2011年の27%、2012年の32%から36%に伸びた。

 しかし、予算が増えたのは主にサードパーティーのサービスだ。約63%がサードパーティーのデータセンター予算を前年から大幅に引き上げているが、企業内データセンターに対して大幅に予算を増額したのは25%にとどまっている。

 実際、2011年以来、予算が削減される企業内データセンターは増える傾向にあり、2013年は回答者全体の21%に跳ね上がった。

 Uptime Instituteのコンテンツおよびパブリケーション担当ディレクター、マット・スタンズベリー氏はこのデータから、サードパーティーのデータセンターサービスプロバイダーの成長が、企業の社内ITを犠牲にして成り立っていることがうかがえると話す。これは企業内データセンターの終わりを示すものではないが、警鐘と受け止められるべきだとスタンズベリー氏は言う。

 Uptimeによると、企業内データセンターを運営しているのは、銀行、メーカー、医薬、小売、教育、行政などの業界だという。2011年11月に実施したUptimeの調査では、企業の85%は既存の社内ITインフラを補完する目的でしか、サードパーティーのサービスを使用していなかった。しかし現在は、サードパーティーのプロバイダーではなく、企業内のIT担当者が存在価値をアピールしなければならなくなっている。

 「企業内データセンターの管理者は、コストとパフォーマンスのデータを集めて業務部門に自分たちの価値をアピールし、サードパーティーのサービスに対抗していく必要があるだろう」(スタンズベリー氏)

 概して企業内データセンターの管理者は、定期的にリポートを提出する習慣がない。だが、サードパーティープロバイダーは、頻繁にコストおよびパフォーマンスリポートをCIOに提出する。この点が、サードパーティーサービスの効率の良さと併せて、現在の投資動向の変化の要因になっている可能性がある。

天井を打ったデータセンターの省エネ化

続きはComputer Weekly日本語版 2013年9月25日号にて

本記事は抄訳版です。全文は、以下でダウンロード(無料)できます。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 株式会社リセ

契約書の期限管理と検索性を改善、Googleドライブに追加すべき“もう一手”とは

契約書管理のデジタル化は原本紛失や情報漏えいといったリスクを軽減する有効な手段だが、検索性やセキュリティの課題が存在する。保管先として利用が増えているGoogleドライブをベースに、契約書管理の課題を一掃する方法を紹介する。

製品資料 株式会社大塚商会

バックアップ時間の長さを解消、短時間で大容量のデータを保護する方法とは?

東日本大震災を契機にBCPの重要性が再認識されたが、サイバー攻撃やシステム障害、災害などからデータを保護する環境が不十分な企業も少なくない。そこで本資料では、障害や災害などからデータを保護するための方法を紹介する。

製品資料 日本ヒューレット・パッカード合同会社

人材やコストの課題を解消、レガシー/クラウドインフラを共存させる8つのコツ

ハイブリッドクラウド戦略を推進する上で課題となるのが、オンプレミス環境に残るレガシーインフラと、クラウドインフラの共存だ。人材管理やセキュリティ対策、コスト制御といった課題を解決するために必要な、8つのステップを解説する。

製品資料 日本ヒューレット・パッカード合同会社

ハイブリッドクラウド戦略におけるワークロード配置の在り方とは?

ワークロードのホスティングが多様化する一方、それぞれに最適な場所選びが課題となった。企業のニーズを踏まえ、効果的なワークロード配置を実現する上で、よりシンプルかつコスト効率の高いアプローチについて考察する。

製品資料 日本ヒューレット・パッカード合同会社

ハイブリッド環境において、データ管理とデータ保護を担保する方法とは

めまぐるしく移り変わる市場のニーズに対応するため、多くの企業がオンプレミスとクラウドのハイブリッドでITインフラを構築している。ハイブリッド環境におけるデータ管理とデータ保護を担保するソリューションを確認したい。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。