CIOとアナリストに聞いた、2014年に投資すべきテクノロジーIoT? クラウド? モバイル?

2014年は何にIT投資すべきなのか? 企業は何にIT投資するつもりなのか? さまざまなソースから、2014年の展望と課題を占う。

2014年02月26日 08時00分 公開
[Cliff Saran,Computer Weekly]
Computer Weekly

 経済が回復基調にある中、Computer Weekly編集部は企業のCIOとITプロフェッショナルを対象としてアンケートを実施した。テーマは、「2014年のIT予算を最も投資するのはどの分野か」と「他業界のIT予算支出の傾向とはどこが違うか」の2点だ。

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 調査会社の米Forrester Researchは、2014年はソフトウェア、ITコンサルティング、システムインテグレーションサービスが過去最高の勢いで成長すると予測する。また、同社はソフトウェアの購入額について、民間企業と官公庁を合わせた成長率が、2014年は前年比7.8%、2015年は11.4%に伸びると予想する。

 これまでIT業界の実権を握ってきたのはソフトウェアメーカーだったかもしれないが、近いうちに主役がITの購入者個人や企業のIT部門へ交代するだろうと考える有識者もいる。

 ソフトウェアライセンス料金体系の明確化を目指すNPO、Campaign for Clear Licensingの代表マーティン・トンプソン氏は次のように語る。「2014年は、(ソフトウェアの買い手である)大規模組織の反撃の年だ。高圧的なソフトウェアプロバイダーや、ずさんなライセンス管理・監査に反旗を翻し、大規模組織が世界を動かす主導権の奪還を始める年になる」

2014年に登場するテクノロジー

 モノのインターネット(IoT:Internet of Things)は最近過剰といえるほど話題になるが、この傾向は2014年も続くだろう。

 Gartnerの調査部門の責任者、エロル・ラシット氏は「データセンター戦略とキャパシティープランニングの場面で、CIOはIoTを考慮に入れざるを得なくなるだろう」と予想する。

 「これからは、機器同士が相互接続されている例を目にする機会が増えるだろう。ただしその場合、通常はデータセンターを経由した接続となる。機器同士をつなぐのは、日常的に起こる事象の処理について、自動化とインテリジェンスを改善するのが目的だ。2014年の戦略を立てる際、CIOはIoTを検討事項に加えなければならない」とラシット氏は語る。

 一方、クラウドコンピューティングも急成長を続けている。ヨーロッパで活動するITプロフェッショナル770人を対象としてTechTarget編集部が実施した調査「TechTarget 2014 Buying Intentions」で、回答者の25%は2014年にプライベートクラウドの構築を予定しており、22%は外部のクラウドサービスプロバイダーを利用する計画があることが明らかになった。アプリケーションをクラウドに展開する例が増えるにつれて、SaaS(Software as a Service)プロバイダーも爆発的に増えると予想される。

 ソフトウェア資産管理を専門とするローリー・キャナヴァン氏は、次のように話す。「SaaS市場は成熟のサイクルにさしかかり、顧客に提供できるパフォーマンスや価値が、掛けた費用に対して頭打ちになる企業もあるだろう。事業の継続ができなくなるSaaSプロバイダーが現れてもおかしくない時期だ」

 既存の商用ソフトウェア製品を基にしたSaaSサービスを提供する企業が増えると、新たなリスクが発生する恐れがある。「(既存製品を)クラウドサービスとして提供する際に、他のソフトウェアメーカーからの適正評価(デューデリジェンス)を受けていないことがある。そして事業の継続ができなくなる」と同氏は語る。

 キャナヴァン氏は、クラウドサービスのプロバイダーにデータの管理を任せた場合でも、自社データにアクセスする手段を複数確保するような追加設定をしておくことを、CIOに対して強く勧めている。

 クラウドアプリケーションに限らず、大規模組織で使うソフトウェアも全般的にコンシューマライゼーションの影響を受けつつある。

 就職サイトReed.co.ukの技術部門の責任者であるマーク・リドリー氏は、大規模組織向けソフトウェアのプロバイダーは、自社アプリケーションのユーザーインタフェースを一新するだろうと予測する。

 「企業向けソフトウェアのユーザーインタフェースも、より洗練されたデザインに変わると期待している。大手のプロバイダーが、コンシューマー向けソフトウェアにならって、ユーザーエクスペリエンス(を改善すること)に力を入れるだろうから」と同氏は話す。

 また、モバイル端末を狙ったマルウェアが増加しているため、モバイル端末のセキュリティ強化のための投資が必要になる恐れがある。「モバイル端末を狙ったマルウェアは急速に増えるだろう。2014年は手口も巧妙化して、どんな場面でも油断できなくなる」と話すのは、米EMCのセキュリティ関連業務を請け負う企業、米RSAの経営責任者、アート・コヴィエロ氏だ。

IT業界にとっての2014年の課題

 コンサルティング企業、仏Capgeminiで小売業コンサルティングおよび技術部門の責任者を務めるクリス・ウェブスター氏は小売業界に対して、小売業者が直線的なサプライチェーンと複雑化したプランニングシステムをリエンジニアリングしてマルチチャネル販売をサポートすることを期待しているという。

 以前なら、商品はまとめて物流センターから小売店に配送していただろうが、最近のコンシューマーはインターネットの通信販売を利用する機会が増えていると同氏は語る。

 「クリック&コレクト」(ネットで注文し、最寄りの小売店で品物を受け取るシステム)が急速に普及し、サードパーティーの商品預かり用ロッカーサービスもコンシューマーにとっては非常に便利だ。小売業者はサプライチェーンと注文処理のプロセスを再編成して、もっと柔軟性のあるシステムに変える必要があると、ウェブスター氏は指摘する。

 「買い物の支払いをモバイル端末で済ませる例が増えている。モバイル端末上には、モバイルバンキングとショッピングのアプリがあり、個人のクレジットカードの詳細情報と連係させている。この注目すべき傾向が、モバイル端末の脅威につながっている」と、セキュリティ企業、米Trend Microでセキュリティ研究担当の副社長を務めるリック・ファーガソン氏は語る。

 同氏はさらに、「2013年には、偽造バンキングアプリが大きな問題になった。そこから、正規のバンキングアプリがサイバー犯罪の標的として特に狙われるようになった」と続ける。

 「従来の2段階認証方式を採用しているモバイルバンキングは、金融取引の安全性が十分に確保されているとはいえない。銀行取引と認証の両方でモバイル端末を使う人が増えていることを受けて、ユーザーの2段階認証を有効化するために金融機関が発行する認証コードを横取りする、サイバー犯罪が発生している」(ファーガソン氏)

 他方、IT管理者の団体であるSociety for IT Managers (Socitm)は、地方自治体に関する予測を表明している。地方自治体ではITプロジェクトでアジャイル手法を採用する機会が今後増えるので、全てを網羅した複雑なフレームワーク一式よりも、モジュール型の製品を販売するサプライヤーが求められるという。地方自治体では、2014年はデータとアナリティクスが最先端のキーワードになりそうだ。Socitm Insightの執筆者の1人であるクリス・ヘッド氏は以下のように指摘する。

続きはComputer Weekly日本語版 2014年2月19日号にて

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