【連載コラム】医療ITの現場から
事例で学ぶ、医療クラーク運用のコツ
患者と向き合い丁寧な診察を行うため、最近、電子カルテ入力を代行する医療クラークを活用するケースが増えている。医療クラーク運用の効果を4つの診療ケースに分けて紹介する。
電子カルテを操作しながら診察を行うと、どうしても患者と向き合う時間が短くなりがちです。クライアントPC操作に慣れていたとしても、患者と話しながら、または処置をしながら入力するのは難しいため、結局は診察の合間に入力せざるを得なくなります。また、開業したばかりで外来患者がまだ少なかった時期と、しばらくたって患者が増えた時期とでは、電子カルテの操作に違和感が生じ、操作自体を負担に感じてしまうことも少なくありません。
「せっかく、カルテの書き過ぎによる腱鞘炎から解放されたのに、今度はPC入力で腱鞘炎になった」のでは笑い話になってしまいます。最近では、患者と向き合い丁寧に診察するために医師の電子カルテ入力を代行するクラークを活用するケースが増えています。今回は、医療クラークがどのようなケースで効果を発揮するのか、想定される4つの診療ケースに分けて解説しましょう。
ケース1 来院患者が多い場合
医療クラーク運用が効果的なケースとして、まず「患者の多い」クリニックが挙げられます。1日に100人以上の患者が来院するクリニックでは、紙カルテの時代から診察時間は比較的短い傾向にありました。このようなクリニックが電子カルテを導入すると、多くの場合、患者が多いために入力が追い付かないという問題が発生してしまいます。そこで、クラークでの運用が検討されます。
例えば、来院患者の多いクリニックでは、診察室を複数用意し、医師が部屋を行ったり来たりすることで効率化を図っています。この場合、医療クラークを各部屋に配置し、電子カルテ入力をフォローすることで、さらに効率的でスピーディな診療が実現できるようになります。
ケース2 処置が多い場合
耳鼻咽喉科や皮膚科など処置が比較的多い診療科でも医療クラークへのニーズが多いようです。医師が処置をする際は両手がふさがっている場合が多く、電子カルテ入力に割ける時間が限られてしまいます。この場合、処置の合間に電子カルテを入力する必要があり、非効率になるため医療クラークの運用を検討することになります。
医師の傍らに医療クラークを配置して、ある程度電子カルテ入力を任せることができれば、処置をしながら電子カルテの入力を同時並行で実現できます。「優秀な医療クラークがいると、まるで腕が2本増えたようだ」と話す医師がいるほど、その効果は絶大だといえます。
ケース3 医師が交代制(代診)で診察を行う場合
代診の医師が多く出入りするような大規模なクリニックでは、全ての医師が同じレベルで電子カルテを入力することは難しいようです。PCの得意、不得意で入力レベルや診察時間にばらつきが出てしまいます。たまにしか来ない医師が電子カルテの操作を習得できないということも考えられます。その場合、代診の医師は紙カルテで運用し、後から事務担当者が代行して電子カルテに入力することが多いようです。そこで、医療クラークの運用が検討されます。
電子カルテ操作に成熟し、院内の採用薬を理解している医療クラークを各部屋に配置できれば、代診の医師は電子カルテ操作を全て医療クラークに任せることができます。代診の医師が多い場合でも、安心して診療に集中することができます。
ケース4 承継開業の場合
承継開業の場合、「大先生と若先生が電子カルテの導入でもめてしまう」という話を聞きます。大先生は慣れ親しんだ紙カルテの運用を、若先生は病院で利用したことがある電子カルテの運用をそれぞれ主張するのです。こうした対立は議論がかみ合わずに平行線をたどり、時には承継開業自体に暗雲が立ち込めることもあります(関連記事:診療所の承継開業時にIT化をスムーズに進める方法)。
大先生の入力補助として医療クラークを採用することで、「診察中にPCを操作するなんて、もっての外だ」と考える大先生も、紙カルテ運用に比べて作業負荷が減って楽になるため、大いに喜んでくれることでしょう。
著者紹介
大西大輔(おおにし だいすけ) メディキャスト株式会社 メディプラザ統括マネージャー
2001年一橋大学大学院MBAコース卒業後、同年日本経営入社。2002年に医療機関の“選ぶ”を支援する展示場「メディプラザ」の1号店を東京(神田)に立ち上げ、その後2003年にメディプラザ大阪、2005年にメディプラザ福岡を順次開設。2007年より東京・大阪・福岡の3拠点を統括する統括マネージャーに就任。専門の医療IT分野については、医師会、保険医協会などの公的団体を中心にセミナー講師を多数実施。
【関連サイト】
ITを活用した経営改善・業務効率化が実現できるショールーム「メディプラザ」
医師の右腕を育成する「電子カルテ+クラーク養成講座」
医療機関のための製品導入事例紹介サイト「事例Plaza」
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