「トップダウンでの展開が普及促進の鍵」――遠隔医療のエキスパートに最新事情を聞いた遠隔医療を導入する2つの意義を解説

インターネットの広帯域化や映像技術の進化を背景に、遠隔医療への注目が高まりつつある。遠隔医療の導入メリットや課題は何か。米国遠隔医療協会の役員を務めたエキスパートが、米国の最新事情を交えながら解説する。

2014年04月03日 08時00分 公開
[谷崎朋子]
Polycomのエマーソン氏

 米Polycomのヘルスケア担当グローバルディレクター ロナルド・エマーソン氏は、ヘルスケア業界に17年以上携わり、世界最大規模を誇る「米国遠隔医療協会(American Telemedicine Association)」の理事会役員を務めた人物だ。

 ATAは、薬事法に沿った診療報酬の制定など、遠隔医療に関わる方針や政策を取りまとめている。その他、標準規格の策定やガイドラインの作成・提供といった役割も担う。そうした役割の中でも「遠隔医療のコスト効果やメリットを示す調査報告やデータを提供することは、遠隔医療を推進する上で大変重要だ」とエマーソン氏は言う。

 「特に民間の医療機関の場合、医療サービスの提供という社会的意義だけでなく、経営面のメリットも考慮しなければならない。同様に医師にとっても、外来患者への対応や遠隔診療などで得られるインセンティブに変化がなければ、積極的には遠隔医療を導入することもないだろう」

遠隔医療を導入する2つの意義

 エマーソン氏は、遠隔医療の意義を2つ挙げる。

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