「Windows 9(仮称)」の注目機能は、復活する真のスタートボタンやスタートメニューだけではない。デバイスの種類によって動作を変える「デバイス認識」がもたらす影響を探る。
米Microsoftの次期OS「Windows 9(仮称)」については臆測が飛び交っている状況だ。Windows 9にはデバイス認識が搭載されると考えられている。ユーザーがタブレットとデスクトップPCのどちらを使っているのかを判断して、そのデバイスに最適なユーザーインタフェース(UI)を表示するという。
2014年6月末以降、Windows 9に関する話題が盛り上がっている。「Threshold」というWindows 9の開発コード名も聞いたことがあるかもしれない。世間は「Windows 8」のTechnical PreviewがリリースされたころからWindows 9を心待ちにしてきた。Microsoftが、「Windows Vista」で犯した過ちを教訓にするに違いないという望みを捨てきれずにいたのだ。実際に、MicrosoftはWindows Vistaの失敗から学んだらしい。
スタートメニューやWindowsストアアプリをウィンドウで実行できるなどの「新機能」により、MicrosoftはWindows 7とWindows 8のユーザーインタフェースをうまく組み合わせて使い物になる状態を実現したようだ。
正直なところ、現時点ではWindows 9に関する話題は使いやすさに集まっている。Windows 9は実行ハードウェアによって動作が変化するといわれている。デバイスにタッチスクリーンが搭載されていなければ、Windowsストアアプリよりもデスクトップアプリを優先する。一方、マウス/キーボードが接続されていないタッチスクリーン搭載のコンピュータでは、Windowsストアアプリを優先する。
現時点で分かっているのはこれだけだが、Windows 9が「デスクトップ仮想化」に大きな動きを引き起こすのは間違いないだろう。デスクトップ仮想化の領域では、Windows 7と「Windows Server 2008 R2」が覇権を握っているのが現状だ。Windows 8には確かに欠点はある。ただし、リモートデスクトッププロトコル(RDP)の拡張機能である「RemoteFX」が大幅に強化されているというメリットもある。
2014年4月の時点では、スタートメニューとRemoteFXの機能強化がWindows 8の導入促進につながると予想した(RemoteFXはWindows 8の機能なので誰も使用していなかった)。さらにデバイス認識機能により、ユーザーがログインしているデバイスに最適な方法でデータセンターからWindowsアプリケーションを実際に配信することが可能になる。これは興味深い展望だ。
Microsoftは、ITの需要と業界の圧力に屈した。だがMicrosoft自体がサービスプロバイダーとなった今、サービスプロバイダーに新しい友好的なライセンスモデルが提供されるのかという点について疑問が残る。これは単なる希望的観測かもしれないが、Microsoftが次世代のコンピュータに適切なOSとライセンスモデルを提供したらどうなるかを想像してみてほしい。そのような状況が実現されれば、大きな効果があるはずだ。
Windows 9のリリースがうわさされている2015年の春までには、何が起こっても不思議でない。すぐに何かが起こることは期待できず、全ての変化を示す兆候は構想段階にある。MicrosoftのCEO、サトヤ・ナデラ氏はクラウドに関心を寄せている。Windowsアプリの幅広いユーザー層を考えると、優れたOSと好意的なライセンスという強力な組み合わせが実現されれば、WindowsとMicrosoft全般に関する世間の評価は高まるだろう。
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