変わり続けるネットワークの管理では、できる限り自動化する必要がある。JuniperやHP、Ciscoといったグローバルサプライヤーにその答えを出すことができるのか?
ITサプライヤーは時として、前進のことを「革新ではなく進化」と表現する。だがクラウドコンピューティングの導入や大量のアウトソーシング、仮想化の普及が意味するのは、われわれは今、確かに革新を手にしているということだ。
ではこの“仮想化されたネットワーク”という新たな波の導入と管理を成功させるためには、手元の技術についても革新が必要なのか。
ネットワーク管理ツールは、アプリケーションモニタリングのような後の世代のものであっても、既知の(固定された)ネットワークとアプライアンスのセットを中心とした知識の積み重ねをベースとしている。
これに対して新世代のハイブリッドネットワークは、一部がプライベートで一部がパブリック(クラウドや管理型サービスなど)であったりするなど、真に動的だ。2つのネットワークノードや要素の物理的な接続の間に、もはや1対1の関係は存在しない。つまり、固定された知識ベースは常にすぐ時代遅れになる。従って、従来の方式で導入されたネットワークに対応させない限りほとんど使い物にならない。
人的要素も検討しなければならない。仮想環境を導入すれば、組織を横断する複数のグループが、サーバやローカルおよびリモートのデータセンター管理、物理ネットワークといったネットワークの各部について責任を持つことになる。そのため、ネットワークに問題が起きた際に互いに責任をなすり付け合うこれまでの状況は、一層複雑になる。新たなルールが必要だ。自動化によって、この方程式からどの程度完全に、人的要素を取り除くことができるのか。言い換えると、変わり続けるネットワークをできる限り自動化して管理できる手段が必要だ。だがこれは簡単なことではない。解決策はあるのか。ここではグローバルサプライヤーのJuniper Networks、HP、Cisco Systemsの3社について、その答えを持っているかどうかを検証する。
Juniper Networksのサービスプロバイダーマーケティング責任者デービッド・ノゲル・バウ氏によると、変化の主な理由は単純に、エンタープライズとサービスプロバイダーの両方で現在のネットワークモデルの複雑化が進んだことによってプロセスおよび物理的な接続が減速し、一方で新サービスをタイミング良く立ち上げるために必要な機動性が損なわれていることにある。
ノゲル・バウ氏は言う。「例えばデータセンターでは、コンピュータが過去10年で大量に増えたのに対し、ネットワークは基本的には変わっていない。確かにファブリックは大型化、高機能化が進んだが、2台のサーバ間の仮想LAN(VLAN)のプロビジョニングに何分も時間を取られ、大型の導入になれば何時間も何日もかかることもある。しかしサーバ内に仮想マシン(VM)を導入するのは数秒で済む」
同氏はSoftware-Defined Network(SDN)がその答えの一部、例えば仮想化の側面についての答えになると考えている。だがそれでも物理的なネットワーク機器と他の要素との相互作用は必要だ。Juniperは、ネットワーク管理やコントロールの全側面を網羅したオープン標準モデルを採用するアプローチを取っている。ここで必要なのは、仮想化されたネットワークの導入と管理のためのIP接続のみだ。
このシステムの中心となるのが「Contrail」という製品だ。同製品は、各仮想サーバ内部に仮装ルータを導入し、Contrailコントローラーはデータセンターに置いて仮想ルータを管理して、データセンター内のあらゆるサーバ間のセキュアな接続を確立する。この時点でタスクの大部分は自動化される。インテグレーションの観点から見ると、このシステムは完全にオープンで、純粋なJuniper仕様の設計にはなっていない。
7月2日号掲載の「無線LANとモバイルデバイスを管理する2つの注目ツール」では、無線LANとモバイルデバイスという2つの要素がからむことで複雑化している管理タスクに注目。これらを異なるアプローチで管理する2つのツールを解説。
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