日本オラクルのオールフラッシュストレージから、パナソニックISが“仮想化しない”リモートデスクトップ環境を構築した事例まで、サーバ、ストレージに関連する最新のニュースをお届けします。
サーバ、ストレージの新製品や導入事例を紹介する「サーバ&ストレージ」ニュースフラッシュ。日本オラクルのフラッシュストレージ「Oracle FS1 Flash Storage System」の国内提供や、パナソニック インフォメーションシステムズがカートリッジ型サーバを導入して“仮想化しない”リモートデスクトップ環境を構築した事例まで、さまざまなニュースがありました。
Oracle FS1 Flash Storage System(以下、Oracle FS1)は、ファイル共有プロトコルのCIFS/NFSも利用できるSAN(Storage Area Network)ストレージ。高速かつ信頼性が高いSLC(シングルレベルセル)や価格と寿命のバランスを取ったeMLC(エンタープライズマルチレベルセル)など各種タイプのSSD(ソリッドステートドライブ)に加え、HDDを含めた複数種類の記憶媒体を同一筺体に混在でき、最大16ノードまでのHA(高可用性)構成が可能だ。1ノード当たりの最大容量はフラッシュメモリのみの場合912Tバイト、フラッシュメモリとディスクドライブの組み合わせの場合2.88P(ペタ)バイトまで。同社の性能検証では最大200万IOPS(Read/Write比率が50:50の場合)、最大80Gバイト/秒のスループットを実現するという。
ストレージの自動階層化機能「QoS Plus」を標準搭載する。QoS Plusは、業務アプリケーションの重要度に合わせて、CPUやキャッシュの割り当て、I/O要求などを5段階の優先度で管理する。また、優先度とデータの使用率と組み合わせて、460Kバイト単位で最適なストレージ階層(4階層)に自動配置するなどの制御が可能。さらに単一筺体内に独立した複数の仮想ストレージを構築してマルチテナント環境を実現する「ストレージドメイン」機能も備える。
同社のデータベース「Oracle Database」環境では、同データベースが備える独自のデータ圧縮技術「Hybrid Columnar Compression(HCC)」を利用でき、最大50分の1までデータを圧縮可能(他のデータベース製品では汎用圧縮技術を利用できる)。また、種類や特性に応じてデータを7階層に配置したり、制御したりする同データベースの自動最適化機能「Automatic Data Optimization」を利用できる。
米Oracleのフラッシュ・ストレージ担当副社長であるボブ・マネス氏は、「Oracle FS1はデータベース環境に特化した機能を備えるなど、昨今のストレージ高速化への顧客ニーズを満たすことができる」と強調する。同氏によると、Oracleが実施した一般的なフラッシュアレイストレージとの比較では、Tバイト当たりのハードウェアコストは半分以下になるという。
Oracle FS1の販売価格(税別。以下同)は、937万9559円(SLCタイプのフラッシュメモリのみ搭載の最小構成)からで、2014年11月の出荷開始を予定している(発表:日本オラクル<2014年10月23日>)。
中小規模向けNAS(Network Attached Storage)製品群「iStorage NSシリーズ」の新モデル2機種を発表した。
ラック型モデル「iStorage NS300Re」は、ファイルサーバ統合向けラック型ストレージ。CPUには、iStorage NSシリーズでは初となる「インテル Xeon プロセッサー」を採用し、従来機比の2倍となる8Gバイトのメモリを搭載する(従来機「iStorage NS300Rd」との比較)。電源やHDDを冗長化しており、ストレージトラブルに起因する業務停止のリスクを低減する。NECによると、複数部門のファイルサーバの統合に加え、バックアップ用ストレージとしても利用できるという。
タワー型モデル「iStorage NS100Te」は、幅98ミリの小型筐体。CPUに「インテル Pentium G3240」を採用し、処理性能を5%向上した(従来機「iStorage NS100Td」との比較)。また、有償オプションである防塵フィルタ付きの前面パネス(ベゼル)を追加することで、ハードウェア故障の原因となる埃の吸入を低減する。同社によるとオフィスや店舗に加え、工場など埃の多い場所でも利用できるという。
販売価格は、iStorage NS300Reが39万8000円から、iStorage NS100Teが19万8000円から。2014年10月29日に出荷を開始する(発表:NEC<2014年10月22日>)。
UNIXサーバ製品群「EP8000 シリーズ」のハイエンド/ミッドレンジ向け新機種を販売開始した。同社によると、メインフレームと同等の信頼性と可用性を備えており、金融機関や製造業などの企業の基幹業務システム、電力や交通分野といった社会インフラ向けシステムなどに適しているという。
今回発表したEP8000シリーズの新製品は、ラックマウント型サーバのハイエンドモデル「EP8000 E880」とミッドレンジモデル「EP8000 E870」。米IBMのCPU「POWER8プロセッサー」を両機種ともに搭載し、最大64コアまで拡張可能。また、OSにIBMの「AIX V7.1」を採用する。
「POWER7+プロセッサー」を搭載した従来機種と比べて、トランザクション処理性能が最大約1.8倍向上し、I/O帯域幅が約3.2倍向上するなどストレージやネットワークへの接続を高速化した(「EP8000 780」「EP8000 770」との比較)。さらに、EP8000 E880は従来比2倍となる最大8192Gバイトまでメモリを拡張できる。加えて、サーバダウンを未然に防ぐ「動的メモリ交替」機能により信頼性を高めているという。
販売価格はE880が7488万7100円から、E870が4087万7900円から(発表:日立製作所<2014年10月22日>)。
ブレードサーバ製品群「BladeSymphony」シリーズのハイエンド機種「BS2500」を発表した。BS2500には「高性能サーバブレード」と「標準サーバブレード」の2種類があり、用途やシステム規模に合わせて選択できる。高性能サーバブレードはCPUに「インテル Xeon プロセッサーE7-8800 v2製品ファミリー」を搭載し、サーバブレード当たりの処理性能を従来比で約2.3倍向上した(2011年6月販売開始の「BS2000」と比較)。また、ブレード間SMP(対称型マルチプロセッシング:複数のCPUでメモリを共有して処理するマルチプロセッサ方式)接続ボードを利用して2台、あるいは4台のサーバブレードを接続可能。それぞれ従来比で1.5倍となる最大120コア、2倍となる最大6Tバイトのメモリ容量まで拡張できる。
日立製作所によると、BS2500は大規模なインメモリデータベース処理や高信頼なクラウド環境での基幹系システムにおけるデータ活用などを高速化するという。販売価格は、ブレードシャーシ(筺体)「サーバシャーシ A1」が159万4000円から、高性能サーバブレードが286万円から、標準サーバブレードが77万3000円から。サーバシャーシ A1、高性能サーバブレードは2014年10月31日、標準サーバブレードは同年12月12日に出荷開始(発表:日立製作所<2014年10月24日>)。
パナソニック インフォメーションシステムズ(以下、パナソニックIS)は、モバイルワーカー向けリモートデスクトップ環境に日本ヒューレット・パッカード(HP)のカートリッジ搭載型サーバシステム「HP Moonshot System」を採用した。
パナソニックISは2010年、社内170ユーザー向けに仮想デスクトップ環境(VDI:Virtual Desktop Infrastructure)を構築していたが、そのパフォーマンス向上が課題となっていた。そこで同社はHP Moonshot Systemに着目し、リモートデスクトップ専用カートリッジ「HP ProLiant m700 サーバーカートリッジ」を搭載した統合型システム「HP ConvergedSystem 100 for HDI」(以下、HP CS100 for HDI)を導入した。
HP CS100 for HDIの「HDI」とは「Hosted Desktop Infrastructure(専有型デスクトップ環境)」を指す。日本HPによると“仮想化しない”リモートデスクトップ環境を提供する仕組みであるという。具体的には、デスクトップ管理用にシトリックス・システムズ・ジャパンのデスクトップ仮想化ソフト「Citrix XenDesktop」を利用するものの、CPUなどの物理リソースは仮想化せず、個々のユーザーが物理リソースやOS、アプリケーションを占有した状態でデスクトップを利用できるようにする。HP Moonshot Systemの単一シャーシ内で最大180ユーザー分のHDI環境が構築できる。日本HPは、一般的なVDIでは満たせないナレッジワーカーやパワーユーザーのグラフィック性能ニーズに応えられると説明する。
パナソニックISでは、SSDを使ってOSとアプリケーションを稼働させ、データ管理用のユーザー領域にはHP CS100 for HDIの外部にあるファイルサーバを使用する構成を採用。170ユーザーのVDIからHDIへの移行環境を2週間で整え、全体の消費電力を抑制する機能などを採用することで、従来のVDIと比べて総所有コスト(TCO)を44パーセント削減できたという(発表:日本HP<2014年10月27日>)。
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