Amazon、Citrix、Microsoft、VMwareが投資を続け、DaaSもようやく普及の兆しが見えてきた。DaaS市場全体を俯瞰しつつ、主要4サービスの最新動向を紹介する。
仮想デスクトップインフラ(VDI)の歴史は、従来の仮想化と変わらない。2006年、米VMwareが米HP、米IBM、米Citrix、米Sun Microsystems(現、米Oracle)などの企業とVDI Allianceを発表して以来、仮想化とVDI市場は高度化する企業の要件を満たせるまでに成熟した。だが、パブリッククラウドが仮想化顧客向けに論理移行を実現する動きに比べて、VDIのクラウド化はあまり進んでいない。
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数百台のデスクトップにVDIを導入した経験があれば、インフラの設定と管理が複雑なことに同意するだろう。VDIの導入にはネットワークとストレージの高度なスキルが必要だ。米Microsoftのライセンス契約は、企業がビジネスニーズに合わせて調整したモデルを導入することを難しくした。VDIに高可用性とビジネスの継続性を提供するのはコストが掛かる上、IT部門にとって難易度の高いタスクだった。さらに、VDIは仮想化の速度についていくことができなかった。
2008年に米Amazonが「EC2」をリリースしたことで、コンピューティングの主流がクラウドに移った。それ以来、多くのサーバワークロードがクラウドに移されている。だが、業界がデスクトップをクラウドに移行し始めたのはつい最近のことだ。
クラウドデスクトップの現象を促進している重要な要素は2つある。1つはBYOD(私物端末の業務利用)のトレンド、もう1つは企業ワークロードのパブリッククラウドへの移行だ。スマートフォンやタブレットなどのデバイスがコンシューマーに急速に普及したため、企業のIT部門は私物デバイスの使用を求める強い圧力がかけられることになった。ナレッジワーカーは時間やデバイスを問わずデータやアプリケーションにアクセスできることを求めている。
「Dropbox」「Box」「Googleドライブ」「Microsoft OneDrive」などのファイル共有サービスやファイル同期サービスの利用が広がっている。このようなサービスを利用すれば、複数のデバイスからドキュメントやファイルにアクセスして編集できる。Windowsデスクトップでしか使用できないレガシーアプリケーションにアクセスするには、自身のデバイスで実行しているリモートデスクトップクライアントを使ってログインすればよい。このようなトレンドにより、企業のIT部門にはデータ、アプリケーション、デスクトップに社員が安全にアクセスできるようにすることが求められている。
企業アプリケーションのクラウドへの移行を促進する要素は他にもある。ERP、CRM、人事、給与の各アプリケーションのようなレガシーサーバワークロードがパブリッククラウドやハイブリッドクラウドに移行されていることだ。
パブリッククラウドでサーバを運用し、ローカルインフラでクライアントを運用するのは実用的ではないため、企業IT部門はデスクトップをサーバに近いクラウドに配置している。これにより、パフォーマンスやセキュリティを犠牲にすることなく、優れた操作性をユーザーに容易に提供できるようになる。
◯プレゼンテーション仮想化
リモートデスクトップホステッドセッションまたはターミナルサービスとして広く知られる、パブリッククラウドで最も一般的な導入モデル。各ユーザーには、Windows Server上で実行されるWindowsデスクトップ風のセッションが提供される。
◯デスクトップ仮想化
ハイパーバイザーを使用して、各クライアントデスクトップを一元管理されたインフラまたはローカルで運用される専用仮想マシンとしてPC上にプロビジョニングする、従来のVDIモデルに基づく。
◯アプリケーション仮想化
アプリケーションをローカルにインストールする代わりに、クライアントデバイスにアプリケーションインタフェースのストリーミングを行う。アプリケーションは一元管理されたサーバで実行され、クライアントはインタフェースの表示のみが行われる。これにより、帯域幅が最適化され、操作性が向上する。この方法は一般的に、同じアプリケーションの複数バージョンを個別に実行するために使用される。
◯個人用デスクトップ
ユーザーに個人用設定やカスタマイズ機能を提供して操作性を高めることができる。個人用設定の例としては、アプリケーション設定、インタフェースの変更、ファイルシステムの変更などが挙げられる。
◯プールされたデスクトップ
各セッションの終わりにリセットされるステートレスなデスクトップを提供する。これは、デスクトップにキオスクモードでアクセスする臨時社員や、ユーザーにデスクトップを割り当てるために使用される。
DaaSは最も成長が速いクラウドサービス提供モデルの1つだ。始まったのは遅かったが、VMware、Amazon、Microsoft、Citrixなどのサプライヤーがこのクラウドサービスに大規模な投資をしており、今ではDaaS市場は大幅に成長している。複数のデバイスでデータとアプリケーションが使用できるようになり、デスクトップの障壁が取り払われることで、統合ワークスペースという新しい概念が現れた。
は、このワークスペースの概念に向かっている。
DaaSの主要プロバイダーについて以下に簡単にまとめておく。
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