Computer Weekly製品導入ガイド
エンドポイントマシンを守るための多層防御
端末とシステムの安全を守るためには、マルウェア対策の域を越えたセキュリティポリシーやBYOD戦略、ユーザー教育が必要になる。
エンドポイントセキュリティにおいて、マルウェア対策が最も重要なのは言うまでもない。だが、攻撃側が端末のセキュリティをかわすため新しい手口の開発に力を入れる中で、そうした製品は効果が薄れつつある。マルウェア対策技術の精度はこの数年で目に見えて進歩したが、本質的には少数のアプリケーション(主にMicrosoft Office、Java、Adobe Acrobat、Flash、Webブラウザなどユーザー数の多いアプリケーション)の挙動がプロファイルされるにすぎない。そうしたアプリケーションに不審な挙動があればエージェントが検出し、許可されていない挙動をブロックして脅威に対応する。確かにこれで端末の日常的な利用のかなりの部分を網羅できるが、これが万能でないのは明らかだ。侵入者は端末上で目立たないアプリケーションを簡単に攻撃できてしまうかもしれない。
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エンドポイントセキュリティとは、単にマルウェアを検出して除去するだけにとどまらない。こうした端末に適切なパッチを当てて設定・管理を行い、できる限り攻撃面を減らす必要がある。エンドポイントエージェントはパッチ管理システムと連携させ、組織によるパッチのテストが済んだらできるだけ早く端末に配信しなければならない。端末はIT部門が定めたルールに従って、組織のインフラ上で使うための設定を行う必要がある。
このルールでは、インストールされたアプリケーションやサービス運用、端末の設定、端末にインストールされた他のセキュリティ製品の管理について規定する必要がある。設定が変更された端末を特定することもIT部門のポリシーに盛り込まなければならない。設定の変更は、マルウェアが侵入して端末を操っている兆候である可能性もある。
端末の管理も重要だ。これによってIT部門はUSBポートを誰がどう使うかに関するポリシーを徹底させることができる。リスクを最小限に抑えるため、USBデバイスやSDカードへコピーした内容、またはUSBデバイスやSDカードからコピーした内容はログに記録できる。
BYODとモバイルがエンドポイントセキュリティに与える影響
Verismic Softwareのアシュリー・レナードCEOによると、従来型のエンドポイント管理ソフトウェアは、特に私物端末の業務利用(BYOD)環境において、PCやノートPC、タブレットの管理には適していない。
従来型のエンドポイント管理ソフトウェアでは個々の端末にエージェントが必要になることから、「導入には数日、あるいは数週間」かかることもあるという。「頻繁な移動や追加、変更はデータの中に盲点を生じさせ、BYOD環境の管理が極めて難しくなる。エンドポイント管理ソフトウェアの中には手作業による『スニーカーネット』(訳注)を要するものさえあり、ユーザーやIT部門、コストに影響を及ぼす」(レナード氏)
訳注:リムーバブルメディアなどに保存したデータを人間が運んでやりとりすること。「スニーカーを履いた人間」を介してデータが移動することから命名された。
これが原因で、ライセンスがなくパッチも当てていないソフトウェアを通じてセキュリティが脅かされ、コンプライアンス上のリスクが生じることもある。しかし多くの組織にとって、BYODを禁止するという選択肢はない。「従業員はそれでも私物端末を使ったり、会社から支給された端末を私用に使ったりする」。そう話すのはForeScoutの欧州担当副社長ルイーズ・バルマン氏。「モバイルの台数と社外で働く従業員の数の増加に伴い、会社の境界は従来よりオープンになり、広がりを持つようになった」
ITC Infotechの管理型サービス担当副社長、アナンド・スクマラン氏は、BYODに代わって「自分で端末を選ぶ(CYOD)」方式の採用を検討すべきだと説く。「このハイブリッド型アプローチでは、会社が社外で使う端末と柔軟な働き方の選択肢を提示し、ユーザーは私生活でもその端末を自由に利用できる」という。
プラットフォームの増加――侵入経路は増えても耐性は強化?
BYODプロジェクトでは多数のプラットフォームを守る必要が生じる。IT管理者はWindowsを搭載したPCを守るだけでなく、AndroidとiOS搭載のスマートフォンやタブレットも守らなければならない。そしていずれはセンサーやウェアラブル技術といった「モノのインターネット」のエンドポイントの保護も検討する必要が生じるかもしれない。
インフラに侵入しようとする攻撃者には、使えるツールが多数ある。デスクトップPCやノートPC経由で侵入できなければ、モバイル端末に侵入口があるかもしれない。
モバイルエンドポイントのセキュリティ対策は、やや違う戦略を要する。モバイルOSではアプリがサンドボックス化され、個々のアプリやモバイルOSから隔離される傾向がある。ウイルス対策アプリでさえサンドボックス化されるので全く役に立たなくなることはないとしても、機能はそがれる。端末上のデータは最も重要な存在であり、端末上に保存する場合も会社のネットワークとの間でやりとりする場合も、暗号化して保護しなければならない。
だが複数のプラットフォームを持つことは、ある程度の防御策にもなり得る。特定のプラットフォームを搭載した端末を持っていれば、別のプラットフォームを狙ったマルウェアの被害に遭わずに済むかもしれない。従業員のPCがマルウェアに感染してネットワークから隔離されたとしても、全く別のプラットフォームを搭載したスマートフォンを使えば引き続きデータにアクセスでき、生産性も維持できる。
エンドポイントセキュリティ製品の調達時に考慮すべき点
エンドポイントセキュリティシステムの調達に当たって最も大切なのは、
- 何ができるか
- どう管理するのか
- どのプラットフォームやデバイスが保護されるのか
の3点だ。エンドポイント端末上に置くアプリケーション自体も、基本的なウイルス対策、スパイウェア対策、ホストベースの侵入防止、ファイアウォール機能を備えていなければならない。より先進的なシステムには、端末とアプリケーションの管理、パッチ管理診断、URLフィルタリング、データ流出防止、ネットワークアクセス管理、ディスク暗号化の機能が含まれる。
管理者がインフラの一部または全体を管理するための管理機能も必要だ。コンソールには、管理者がユーザーやグループ、端末に手早くアクセスできるダッシュボードと、そうした要素に適用するポリシーが含まれる必要がある。このポリシーは簡単にアクセスできて、ニーズの変化に応じて作成や改訂が簡単にできるものでなければならない。新しいエンドポイントは簡単かつ迅速に発見・保護できる必要がある。以上を管理に盛り込めば、端末を監視して、問題を迅速かつ安全に修正できる。
エンドポイントセキュリティシステムはどんなものであれ、全てのエンドポイントを保護できる必要がある。それができない製品は企業にとって使い物にならないばかりか、攻撃者による会社の資産へのアクセスを許してしまうかもしれない。
エンドポイントセキュリティのためのベストプラクティス
サイバー犯罪集団は利益を目当てに組織のインフラへの侵入を狙っている。侵入を防ぐためには以下の助言に従い、ベストプライクティスを導入する必要がある。
■セキュリティポリシーが適用可能かつ堅牢で、全エンドポイントを網羅していることを確認する
よくできたセキュリティポリシーでは、ブラウザが古くなったときやOSのパッチが必要になったときなど、行動すべき時をIT部門が把握して、エンドポイント端末のマルウェア感染を防止できる。だがコンピュータデバイスに限らず、データが保存されている全ての箇所にリスクがある。これはUSBメモリやコンシューマー向けクラウドストレージにも当てはまる。
■情報流出を見越して対策を立てる
自社で情報漏えいが発生した場合、そのときになって誰に報告すべきか考えなければならないような状況に陥ることは望ましくない。組織内の重要人物と関係者をリストアップして、そうした状況に対応するための計画を立てておくことが望ましい。この計画には、・誰が何をするか
- どんな手順をいつ取るか
- インシデントの事後処理をどうするか
を盛り込む必要がある。
■安全を保つためにすべきことをユーザーに周知させる
従業員は私物の端末を使ってインフラ上のリソースにアクセスする。従って、何が危険かを周知させておいた方が賢明だ。従業員は組織のセキュリティ上最大の弱点にもなり得る。攻撃者がネットワークに侵入するためには、1人のユーザーをフィッシング詐欺攻撃でだますだけで事足りる。セキュリティポリシーに従うことの個人的なメリットを強調して、ユーザーにこれを守らせる必要がある。
■センシティブなデータを洗い出して全ての場所で暗号化する
会計、人事記録、知的財産、連絡先、顧客名簿といったセンシティブなデータの目録を洗い出し、流出した場合に何が失われるかを会社側に理解してもらう。情報はファイルサーバ上にあるときだけでなく、転送中もエンドポイント上でも暗号化しなければならない。優れたエンドポイントセキュリティシステムは、このポリシーが守られていることを確認し、強力なパスワードも併用して、センシティブな文書を確実に保護する。
■情報流出の実験
エンドポイントセキュリティシステムを導入したからといって、それで安全だと思い込んではいけない。確認のためのテストを行う必要がある。IT部門が見落としたかもしれない問題の発見を支援してくれるサードパーティー企業もある。
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