約450機能から厳選
2014年に発表された「AWS」の注目機能“ベスト10”
米Amazon Web Servicesの「Amazon Web Services」(AWS)は、2014年に約450の機能をリリースした。本稿では、その中からえりすぐりの機能を紹介する。
「Amazon Web Services」(AWS)の機能は毎日のようにリリースされており、全てを把握することは難しい。そのため、2014年にAWSに新しく追加された機能の中でも、業界の専門家からの評価が高かった機能の一覧は一見の価値があるだろう。
2014年には多くの発表があった。競合他社に勝負を挑むAWSの機能のリリース、データセンターの新しいリージョンの設置、新しいファイル同期/共有サービスの提供開始などは、ほんの数例だ。本稿では、1からから10まで重要度の高い順に箇条書きの形でAWSの機能を紹介する。
1.「Amazon Aurora」(2014年11月12日にプレビュー版をリリース)
AWSが「AWS re:Invent」カンファレンスで独自のリレーショナルデータベースプラットフォームを立ち上げて開発すると発表したことは、世界に衝撃を与えた。AWSによると、独自のデータベースパフォーマンスをオープンソース並みの価格で提供するという。Amazon Auroraは、米Oracleの最大の競合となる可能性があるサービスとして既に支持を集めている。
「データベースはクラウドでスケーリングが非常に困難なパーツの1つだ。小規模でスケーリングが必要な企業にとって、Auroraは重大な問題を解決できるサービスになる」(ライマー氏)
2.「AWS Lambda」(2014年11月13日にプレビュー版をリリース)
AWS re:Inventカンファレンスの参加者によると、AWS Lambdaではクラウドプロビジョニングの改革以上といえることが行われているようだ(AWS Lambdaの一般提供は2015年に予定されている)。米クラウドコンサルティング会社Cascadeo Corporationの創設者兼CTOであるジャレド・ライマー氏は次のように話す。「ある程度のNode.jsのコーディング技術は必要になるが、上級開発者やソフトウェア開発者でなくても、コードによるインフラの構成管理を導入することができる」
「AWS Lambdaはこれまで差別化要因とされていた特性のコモディティ化を可能にした」(ライマー氏)
3.EBS SSD(2014年6月17日)
「Amazon Elastic Block Store」(Amazon EBS)で使用するデフォルトの種類のストレージとしてAWSが発売した「汎用(SSD)」ボリュームにより、広範なユーザーのパフォーマンスが飛躍的に向上した。
「半年前は、EBSにもう少しオプションが増えてほしいと考えていた。だが、AWSは『汎用(SSD)』と『プロビジョンドIOPS(SSD)』のオプションを提供し、EBSのオプションの数が増えた」と米医療用ソフトウェア会社IMS Healthでエンジニアリング部門のディレクターを務めるデレク・スレイガー氏は語る。AWSによるパフォーマンスの飛躍的な向上を1つのきっかけとして、IMS Healthは2014年にAWS専属の顧客兼パートナーとなった。
また、2014年11月に実施されたベンチマークテストでは、Amazon EBSのSSDは米Googleが提供する類似製品よりも良い評価を得ている。
4.ドイツに新しいリージョンを設置(2014年10月23日)
欧州2つ目の新しいリージョンが設置されたことで、欧州のユーザーはより良いディザスタリカバリオプションを選択できるようになった。これはデータの局所化(ローカライゼーション)にとって重要な節目だ。特にデータを国内に保存することについて最も厳しい規制が掛けられているドイツでは2014年を通して注目されていた問題であった。
「欧州市場はデータのセキュリティやプライバシーに敏感だ。そのため、このリージョンにデータセンターを設置したことには大きな意義がある。ドイツに新しいデータセンターを設置したことで、欧州最大の経済大国であるドイツでクラウドコンピューティングへの扉を相当数開いたのではないだろうか」(トレッドウェイ氏)
5.「AWS Config」(2014年11月12日にプレビュー版をリリース)
2014年のコンプライアンス市場におけるAWSの形勢を優位にしたもう1つのサービスはAWS re:Inventカンファレンスで発表されたAWS Configだ。AWS Configにより、IT部門は「AWS CloudTrail」などのツールよりもはるかに細かいレベルでリソース構成を追跡することが可能になる。
AWS Configにより、複数のイベントを相互に関連付けることができる。これはパブリッククラウドが登場する前は非常に困難なことだった。以前は20社ものソフトウェアベンダーのオンプレミス製品を統合する必要があった。そう語るのは、AWSのパートナーである米2nd Watchで最高技術責任者(CTO)を務めるクリス・ブライスナー氏だ。同社はAWS Configサービスのβ版のテストを実施している。
6.「AWS Key Management Service」(AWS KMS)(2014年11月12日)
AWSは、ハッカーののぞき見や大義名分を振りかざして情報提供を要求する政府からデータを保護する最良の方法として暗号化の重要性を強調してきた。だが、後述する「Amazon Zocalo」や暗号化されたEBSボリュームなどのストレージサービスの発表はあったものの、暗号化キーはユーザーではなくAWSの管理下に置かれていた。AWS KMSによって、ユーザー自身が暗号化キーを用意して、その管理も以前より広範囲で可能になる。
7.「EC2 Container Service」(2014年11月13日にプレビュー版をリリース)
2014年には「Docker」が大流行した。AWSは、EC2インスタンスに自動でコンテナを配信してプロビジョニングとパフォーマンスを最適化する新しいサービスのリリースによって、付加価値を提供する方法を編み出した。このサービスを使用すると、コンテナはより効率的にハードウェアと仮想マシンのリソースを共有しながら、アプリケーションコンポーネント間の論理的な分離を維持できる。AWS re:Inventカンファレンス以前に示唆されていたDockerとの統合は、カンファレンスの参加者から大きな期待が寄せられていたものの1つだった。
8.「Amazon Zocalo」(2014年7月10日)
エコシステムという観点で見ると、Amazon ZocaloはAWSが好調なエンタープライズ向けファイル同期/共有サービス市場に割って入ろうとしていることを示している。米Dropboxの「Dropbox」、米Boxの「Box」、米Googleの「Googleドライブ」、米Microsoftの「Microsoft OneDrive for Business」などを始めとする主要サービスに真っ向勝負を挑んだ。環境によってはMicrosoftの「Microsoft SharePoint Server」に取って代わる可能性があるサービスとして、Amazon Zocaloを捉える専門家もいる。
米TechTargetのある寄稿者は、2015年10月の記事で次のように書いている。「クラウドストレージとファイル共有は一般消費者と個々のビジネスユーザーの間で人気を博している。だが、エンタープライズ市場は後れを取っており、AWSはそこに商機を見いだしている」
9.「CodeDeploy」「CodeCommit」「CodePipeline」(2014年11月12日)
AWSはAWS re:Inventでこれらのコード開発ツールのパッケージを発表し、引き続き開発者を支援する方針を示した。CodeDeployは、テスト目的で「Elastic Compute Cloud」(EC2)サーバ群にアプリケーションコードを展開する。CodeCommitはマネージド型のコードリポジトリだ。CodePipelineは、ソフトウェアのリリースプロセスの自動化ワークフローを生成する。
米Cloud Technology Partnersで上級副社長を務めるジョン・トレッドウェイ氏は次のように話す。「開発者は『GitHub』など主流のツールを常用している。この発表によりAmazonは統合されたプラットフォームとインフラの潜在的な価値をアピールしていることになる」
「市場にとっては朗報である。だが、エコシステムにとっては、AWSを基盤とした単純なサービス構築をビジネスにするリスクを暗示している」(トレッドウェイ氏)
10.「C4」インスタンス(2014年11月13日にプレアナウンス)
計算処理用に最適化されたC4インスタンスは、米IntelがC4インスタンス用に最適化した「Haswellプロセッサ」を搭載している。C4インスタンスはEC2インスタンスの中で最も高い計算能力を発揮するよう設計されるなど、パフォーマンスが大幅に強化されている。また、Amazon EBSのSSD(項目3を参照)の最適化がデフォルトで有効になっているため、追加料金なしで利用できる。
おわびと訂正(2015年2月2日12時)
「C4」インスタンスに関する記述で誤りがありましたので、下記の通りおわびと訂正をさせていただきます。
【訂正前】2014年11月13日にプレビュー版をリリース
↓
【訂正後】2014年11月13日にプレアナウンス
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