事態は法廷闘争へ発展
「ネットの中立性」問題の解決を図る米国連邦通信委員会
料金の高低によってネットワーク回線に差を付けるべきか否か。当初はプロバイダー寄りの姿勢を示した米国連邦通信委員会だが、批判を受けて態度を一変。「ネットの中立性」問題の行方は?
米国連邦通信委員会(FCC)のトム・ウィーラー委員長は、自由でオープンなインターネット空間を維持し、ひいてはネットの中立性をめぐる意見の対立を収束させるような、新しい規則を策定するという内容の提案を明らかにした。
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雑誌「WIRED」に寄稿した記事で、ウィーラー氏は次のように主張している。「インターネットは高速、公平で、オープンなものでなければならない。私は全国のコンシューマーやイノベーションの主導者たちから、このメッセージを聞かされてきた。この原則があったからこそ、インターネットはイノベーションや人々の表現活動を実現する、昔は想像もできなかった全く新しいプラットフォームとなった。この原則はまた、インターネットの草創期に私がハイテク企業を設立したときに得た教訓でもある」
ネットの中立性とは、「ネットワークを通過するデータパケットは全て平等に扱わなければならない」という理念で、Webを発明したティム・バーナーズ=リー氏が提唱している。そして最近、この原則を尊重しなければならないとする支持派と、インターネット企業に対して、各企業が構築したインフラの仕様の違いを反映した課金体系を作りたいと考える電気通信業界の関係者との間で、ネットの中立性についての議論が盛んになっている。
そのような課金体系を許可すると、十分な設備投資ができる財力のある企業は、いわゆる「ファストレーン」(追い越し車線、一般回線よりも高性能で利用料が高額)を作り、その結果通信の公平性が失われるというシナリオをネット中立性支持派の多くが恐れている。この体制になると、高速回線の利用料金が支払えないユーザーには事実上アクセスできないサイトが登場したり、ネット経由での金銭の支払いを拒否されたりして、イノベーションの価値が下がり、言論の自由が損なわれることにもつながりかねないとネット中立性の支持派は考える。
2014年9月、FCCがネットワークを所有する企業に対して新しい課金体系を許可することに前向きな意向を表明した際は、米Netflixと米Twitterなどのインターネット企業数社がまる1日、インターネットの通信速度を意図的に落として、その意向に抗議の意を示した。
さらに、米国とは大西洋を隔てた対岸のヨーロッパに目を向けると、欧州連合(EU)の欧州議会はかねてネット中立性の維持に熱心に取り組んでいる。また最近、(ブロードバンド業者の)英EE、英Virgin Media、英Vodafoneが相次いで、ネットの中立性に対する支持を表明する書面に署名した。
納得できれば後戻りもする
ウィーラー氏によると、ネットの中立性に対する2014年のFCCの方針をくつがえす結論に至ったのは、FCCにしてみれば理由は幾つかある。
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