大手ソフトウェアサプライヤーのライセンス請求に根拠なし成り行き次第で98%引きも

ソフトウェアライセンス専門のコンサルタントは、サプライヤーが提示する請求額には透明性も根拠もないと口をそろえる。

2015年05月25日 08時00分 公開
[Cliff SaranComputer Weekly]

 大手ソフトウェア会社が監査やライセンスの複雑さを切り札に使い、公共機関の既存顧客からより多くの収益を上げようとする例が目立ってきた。そのような交渉で価格の透明性が確保されるとは限らない。交渉の成り行きによっては、価格表に掲載されている正規料金よりも大幅な値引きを提示するサプライヤーもある。(実質上の)値引き率は20〜98%と幅広い。

 他方、地方自治体や大学に対してソフトウェア監査を実施し、各団体が使用許諾契約を順守していることを確認したいと、ソフトウェアのサプライヤーが申し入れてくる例が増えている。

 ライセンスに特化したコンサルタント会社、英Celnoは「The untrusted partner: software licence reviews in the public sector」(顧客を信頼しないパートナー:公共機関でのソフトウェアライセンス契約の見直し)と題したリポートを発表した。「大手の(ソフトウェア)サプライヤーは時折、(顧客が契約中の)ライセンスの見直しを実施することがあるが、実質的な目的は『収益の最適化』であって、その見直しを実行することで顧客(である公共機関)との関係が悪化することは省みない」と同リポートは警告している。

 さらに同リポートは、直近の1年8カ月(20カ月)の間に、回答者の勤務先である大学の39%および地方の行政機関412団体のうち206団体が、米Oracleからソフトウェア監査の要請を受けたことがあると報告している。

 また、同リポートはOracleが米国証券取引委員会に提出した資料を基に、ソフトウェアライセンスの更新と製品サポートはOracle社内で最高の収益を上げている事業であり、利幅は実に89%だと指摘する。

 行政機関にとっては、クラウドベースのサブスクリプションを利用するのが、(購入したソフトウェア製品の)ライセンス規約に準拠した状態を維持する方策の1つだ。ただしOracleと独SAPにおけるクラウド部門の収益は、それぞれわずか5%と6%にすぎない。

 一方Cernoは、地方の行政機関の59%はライセンス不足のまま製品を利用しているのに対して、大学のライセンス不足は24%だったと分析している。

 Cernoの共同設立者でリポートの著者でもあるロビン・フライ氏は、次のように語る。




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