ソフトウェアライセンス専門のコンサルタントは、サプライヤーが提示する請求額には透明性も根拠もないと口をそろえる。
大手ソフトウェア会社が監査やライセンスの複雑さを切り札に使い、公共機関の既存顧客からより多くの収益を上げようとする例が目立ってきた。そのような交渉で価格の透明性が確保されるとは限らない。交渉の成り行きによっては、価格表に掲載されている正規料金よりも大幅な値引きを提示するサプライヤーもある。(実質上の)値引き率は20~98%と幅広い。
他方、地方自治体や大学に対してソフトウェア監査を実施し、各団体が使用許諾契約を順守していることを確認したいと、ソフトウェアのサプライヤーが申し入れてくる例が増えている。
ライセンスに特化したコンサルタント会社、英Celnoは「The untrusted partner: software licence reviews in the public sector」(顧客を信頼しないパートナー:公共機関でのソフトウェアライセンス契約の見直し)と題したリポートを発表した。「大手の(ソフトウェア)サプライヤーは時折、(顧客が契約中の)ライセンスの見直しを実施することがあるが、実質的な目的は『収益の最適化』であって、その見直しを実行することで顧客(である公共機関)との関係が悪化することは省みない」と同リポートは警告している。
さらに同リポートは、直近の1年8カ月(20カ月)の間に、回答者の勤務先である大学の39%および地方の行政機関412団体のうち206団体が、米Oracleからソフトウェア監査の要請を受けたことがあると報告している。
また、同リポートはOracleが米国証券取引委員会に提出した資料を基に、ソフトウェアライセンスの更新と製品サポートはOracle社内で最高の収益を上げている事業であり、利幅は実に89%だと指摘する。
行政機関にとっては、クラウドベースのサブスクリプションを利用するのが、(購入したソフトウェア製品の)ライセンス規約に準拠した状態を維持する方策の1つだ。ただしOracleと独SAPにおけるクラウド部門の収益は、それぞれわずか5%と6%にすぎない。
一方Cernoは、地方の行政機関の59%はライセンス不足のまま製品を利用しているのに対して、大学のライセンス不足は24%だったと分析している。
Cernoの共同設立者でリポートの著者でもあるロビン・フライ氏は、次のように語る。
続きを読むには、[続きを読む]ボタンを押して
会員登録あるいはログインしてください。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
企業がビジネス規模を拡大し、サプライチェーンやビジネスパートナーとの協業が進んだことで従来型のリスク/コンプライアンス管理の限界が露呈しつつある。リスク管理を次のステップに進めるためには、これまでと異なる仕組みが必要だ。
Lenovoでは、顧客デバイスのライフサイクル管理を支援するDevice as a Serviceを世界中に提供している。しかし、そのオペレーションは複雑であり、顧客エクスペリエンスを高めるために改善が必要だった。同社が採った改善策とは。
セキュリティリスクが増大している今日において、社内のセキュリティ教育は必須のタスクとなっている。しかし、セキュリティ教育それ自体が目的化してしまい、確実な効果を上げられていないケースも多い。
日々進化するサイバー攻撃から自社を守るためにも、時代の変化やトレンドに応じてセキュリティ教育を見直すことが必要だ。その実践ポイントを「目的の再確認」「教育の実施状況の分析」「理解度・定着度の測定」の3つの視点で解説する。
データ活用人材を社内で育成するためには、「DX推進者」や「分析実務者」などの役割に応じたスキル定着が欠かせない。効果的な育成を行う方法として、あるデータ活用人材育成サービスを取り上げ、その特徴や事例を紹介する。
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。