IT部門、長年の悲願がかなうか
会社のPCに「iTunes」をインストールできる? PC機能制限を今こそ考える
近年、従業員の大半がモバイル端末を所持している。そのため、職場のクライアントPCが制限されてもそれほど気にしない。クライアントPCを厳密に管理するというIT部門の夢がついに実現するかもしれない。
クライアントPCの管理については長い間、「機能制限」が大きなテーマになっていた。使用するクライアントPC環境が仮想的であるか物理的であるかは関係ない。機能制限したデスクトップとは、セキュリティを十分に確保し、使える機能を限定したWindowsデスクトップ環境を指す。ユーザーは、機能制限したクライアントPCに変更を加えられない。ただし、デスクトップの壁紙や文字色、フォントの変更などは除く。それ以外の変更については、次回のログオン時に全て消去される。
クライアントPCを機能制限するメリットは大きい。ユーザーによる不要な操作を無効にすることでシステムダウンの可能性を減らせるため、サポートコストが減少する。ウイルスやマルウェアによってユーザーの管理者権限が侵害されることがなくなり、セキュリティが強化される。全てのクライアントPC環境を標準化することで、ソフトウェアの更新やパッチの適用が大幅に単純化される。
クライアントPCを機能制限する最も大きな理由は、ユーザーがインストールするアプリケ―ション(UIA)を制限することにある。端的に言えば、ユーザーは「私的な」アプリケーションを「自分の」クライアントPCにインストールできなくなる。だが、クライアントPCを厳密に管理することの価値は長年にわたって認められてきた一方で、それを実施するのは困難だった。理由は単純で、ユーザーが反発するためだ。ユーザーはクライアントPCを個人のものと考える。たとえ、ハードウェアを会社が所有しているとしてもだ。大半のユーザーは、IT部門が「自分の」クライアントPCを機能制限することに抵抗を示す。
数社のソフトウェアベンダーがUIA問題の解決を試みている。その手法は、仮想化からアプリケーションのレイヤー化までさまざまで、中には裏技に近いものもある。残念ながら、どの製品も大きなけん引力にはならず、「UIA問題」は依然として解決されていない。
だが、状況が変わってきた。
筆者はこれまで20年間、企業のクライアントPCに携わってきたが、最近になって、UIA問題はこれ以上大きくならないように思えてきた。5年前は話題になっていたが、最近はそれほどでもない。
2015年現在、ユーザーが利用する社用以外のアプリケーションの大半は、これまでのアプリケ―ションとは全く異なり、WebサイトやWebアプリケーションになっている。そのため、1995年には機能制限されたクライアントPCを使おうとして米PointCastの「PointCast」をインストールできないと怒っていたユーザーも、2015年の今では、ブラウザさえ使えれば満足するようになっている。
もう1つの変化は、あらゆるユーザーがスマートフォンやタブレットを持つようになったことだ。その多くは米Appleの「iPhone」や「iPad」を使っている。2005年にIT部門が受けた苦情の多くは、機能制限されたクライアントPCに「iTunes」をインストールできないことだった。今では問題にもならない。ユーザーの音楽ライブラリ全てがポケットに収まり、いつでもアクセスできる。ユーザーが関心を示すその他のアプリケーションの大半もそうなっている。
個人で集めた社用以外のアプリケーションについて考えてみよう。就職したのが2005年で、IT部門から機能を制限したクライアントPCが与えられ、何も変更できないと伝えられたら、すぐに職場を立ち去ったのではないだろうか。だが2015年の現在、ブラウザが使えてデスクに自分のiPhoneを持ち込んでも構わないと分かればそれで十分だ。
20年前からクライアントPCの機能制限を避けてきたとしたら、今こそ考えを改めるべきときかもしれない。機能制限のメリットは大きく、ユーザーの反発もほぼ過去のものになっている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[LRM株式会社] 「標的型攻撃メール」事例・サンプル集 -
製品資料
[LRM株式会社] セキュリティ教育はなぜ「年間計画」を立てる必要があるのか? -
製品資料
[LRM株式会社] セキュリティの重要性が伝わらない…… 効果がない社員教育から脱却する方法 -
製品資料
[LRM株式会社] 「標的型攻撃メール訓練」導入ガイド 社員の意識を確実に高める仕組みの作り方 -
事例
[株式会社マクニカ] アイカ工業に学ぶ脆弱性対策 情シスが把握できずにいたアセットも正確に把握
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「VMware離れ」は本当か 3000社がVCF 9にかじを切った現実的な理由
-
2
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
3
Oracle巨大ITプロジェクトはなぜつまずいたのか 8年で導入1割、追加で170億ドル
-
4
「Microsoft 365」が乗っ取られる 跡形もなくMFAを破る手口
-
5
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
6
ISMSの“コンサル丸投げ”が招く数千万円の無駄 NTTドコモビジネスの脱出劇
-
7
Netflixのバックエンドは「ほぼJava」 3000超のアプリを支える開発基盤の裏側
-
8
AI基盤は本当に「オンプレ回帰」する? Broadcomの言い分と企業の本音
-
9
AI全部入り「Microsoft 365 E7」に企業が二の足を踏む訳 移行意向はわずか4%
-
10
エンジニアが選考を辞退する本当の理由 7割が隠す“面接の違和感”とは
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
2
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
-
3
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
4
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
5
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
6
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
7
PostgreSQLの「機能」「性能」「運用」「拡張性」に関する悩みの解消法
-
8
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
9
Macの安全神話は崩壊? 最新の脅威動向から見えた攻撃のトレンドと有効な対策
-
10
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー