Microsoftとの提携はLotus F1チームに勝利をもたらすのか各種データをMicrosoft Dynamicsで一元管理

Microsoftと提携し、SkypeやMicrosoft Dynamicsを活用するLotus F1チーム。データの収集と分析に注力する同チームの努力は実るのか?

2015年09月10日 08時00分 公開
[Clare McDonaldComputer Weekly]
Computer Weekly

 2015年7月、F1イギリスグランプリが開催された。観客にとってこのイベントも過去のことで、少なくともこの先1年は話題に上らない。だが、英Lotus F1チーム(以下、Lotus)にとっては、マシンを可能な限り速く、効率的で、低コストなものにするために、またチームの運営も迅速かつ効率的でコストを抑えたものにするために、できる限り多くのデータを分析する忙しい日々が始まっている。

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 Lotusはマシンの性能を最大限に引き出すため、2012年から米Microsoftと提携。「Microsoft Dynamics」のクラウドツールとコラボレーションツールを利用している。

サーキットとラボ間のデータ転送

 「チームの目標は勝利しかない」とLotusの最高執行責任者、トーマス・メイヤー氏は話す。「そのため、データが非常に重要な意味を持つ」

 Lotusのメンバーは500人。その半分がエンジニアで、2台のLotus F1マシンの設計と走行を担当している。マシンには各種センサーが約200個搭載されており、1000件以上のデータを取り込んでいる。そのデータは全て収集、監視され、マシン改良のために分析される。

 Lotusはモビリティを重視しており、全てのデータがそれを必要とするエンジニアのもとに配信される。そのため、ピットでもラボでも、同じデータを確認できる。他に、Microsoftの「Skype」などのコミュニケーションツールも使用して、できる限り多くのデータを共有するよう努めている。

 大量のデータ転送には、ネットワークが重要になる。そのため、マシンからピットに直接送信するのは特に重要なデータに限定し、残りのデータは後でマシンからダウンロードする。

 マシンからのライブストリームは、ピットとラボの両方に送られる。エンジニアはそのデータを約2000の統計に基づいて処理し、マシンの性能を調査する。さらに、マシンのエンジンにはカメラが搭載されている。エンジニアはSkypeでそのカメラを呼び出して、エンジンの状態を確認することもできる。

 この統計を使用して、新しいマシンの仮想模型が作られる。実物の60%のサイズのこの仮想模型で風洞実験を行い、路面の状況をシミュレーションする。

 風洞実験用の模型の多くは3回しか使用しない。3回実験すれば、マシンが期待する結果に達するかどうかが明確に分かる。

 場合によっては、400もの模型を使って実験することもある。ただし、風洞の使用とそのデータ処理に使える時間は、FIA(Federation Internationale De L’Automobile)のレギュレーションで規制されている。

 コースから収集したデータがそろうと、シミュレーション用の実物大模型を作成してテストし、強化する。

 「マシンに関するデータは何でも監視する」とメイヤー氏は説明する。

 「収集するデータが多くなり、分析が詳細になるほど、データを適切に関連付けられるようになる」

ビジネスデータを利用して時間とコストを節約

 F1にとって最も重要なのが時間だ。マシンを構想してから実現するまでに費やせる時間はわずかしかない。

 ラピッドプロトタイピングやシミュレーションなどのテクノロジーの導入で、F1の変化のスピードは著しく向上した。また、データを活用することにより、設計には全く異なる視点からのアプローチが取られるようになっている。このような「仮想」レースマシンを利用することで、何千もの部品をコンピュータ上で調整してから、実際に開発、調整できるようになり、開発時間とコストが削減された。

 「これはデータがあって初めて可能になることだ。データによってチームのアプローチが変化している」とメイヤー氏は話す。

 しかし、チームの限られた予算を最大限に有効活用し、効率的に運営していくために非常に重要になるのは、ビジネスデータだ。

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