Xperia Z5 CompactとXperia Z5のディスプレイサイズと解像度には違いがある。だが、この2機種に搭載されている高度なテクノロジーと写真の画質は変わらない。Xperia Z5 Compactは4.6インチのディスプレイでHD解像度(720×1280ピクセル)を実現している。Xperia Z5のピクセル密度が428ppiであるのに対し、Xperia Z5 Compactのピクセル密度は323ppiとやや劣る。だが、ピクセル密度が300ppiを超えると、人間の目で違いを目で見分けるのは困難だ。そのため、このppiの差は問題にならない。Xperia Z5 Compactのディスプレイでは、肉眼で識別できるモザイク処理は一切なく、全てのものが鮮明に表示される。4.6インチ画面では、HD解像度が最適である。そのため、ソニーが画像を美しく表示したいがために高い解像度を選ばなかったのは良いことだ。高い解像度を選んでいたら、チップセットやバッテリーへの負担が増えるだけだっただろう。
ただし、Xperia Z5 Compactは、表示についてXperia Z5と同じ多くの問題を抱えている。コントラストは非常に安定しているが、暗い部分では不十分という問題だ。Xperia Z5 Compactは非常に深い黒の色調を表現するが、明るい白の色調の表現はそれほどでもない。スペクトルの明るい部分は鮮やかで強調されるが、寒色の色調は少々不鮮明だ。そのため、ゲームのように色彩の多いコンテンツの表示には最適だが、精緻なコンテンツの表示にはあまり適していない。それから、赤、緑、青のカラーコンポーネントを設定から手動で調節できるオプションが追加されたことに留意されたい。これは、競合他社の製品にはないオプションだ。
IPSディスプレイには、ソニーの特許技術であるコントラスト自動調整機能「モバイルブラビアエンジン2」、広色域技術「トリルミナス技術」、画質補正機能「X-Realityエンジン」などが組み込まれている。そのため、描画操作は柔軟になっている。この仕様により、Xperia Z5 Compactでは広い視野角が実現されているだけでなく、直射日光の下でも表示に大きな問題が生じることはない。
Xperia Z5 Compactに搭載されている解像度がほどほどのディスプレイを考慮に入れると、QualcommのオクタコアプロセッサーであるSnapdragon 810が、Xperia Z5 Compactの性能を飛躍的に高めている。Snapdragon 810は「Adreno 430 GPU」と2GバイトのRAMに支えられている(RAMはXperia Z5より1Gバイト少ない)。RAMが少ないにもかかわらず、総合ベンチマークテストでは、Xperia Z5 CompactがXperia Z5より優秀な成績を収めている。ただし、普段使いでその違いを認識するのは難しく、実行するアプリケーションの数にかかわらず、どちらもパフォーマンスは申し分ない。また、内部メモリのストレージは32Gバイトだが、microSDカードで拡張できる。また、LTEカテゴリー6の無線までサポートしているため、下り300Mバイト/秒、上り50Mバイト/秒にまで高速化できる。最新のAndroidデバイスの中には、カテゴリー9に対応しているものもある。
Xperia Z5 Compactのバッテリーも称賛に値するだろう。容量はXperia Z5のバッテリーより7%少ない2700mAhとなっている。だが、Xperia Z5よりもディスプレイが小さく、解像度も低いため、電池の消費が大幅に抑えられている。そのため、ユーザーはXperia Z5 Compactを思う存分楽しむことができる。具体的には、Xperia Z5 Compactをフル活用しても、丸2日間は充電を気にせず使える。
Xperia Z5 Compactの背面と前面には、それぞれ2300万画素と510万画素のカメラが搭載されている。この2つのカメラはXperia Z5のカメラと全く同じで、Xperia Z5 Compact最大のセールスポイントの1つとなっている。実際に使用してみても、Xperia Z5 CompactのカメラはXperia Z5のカメラと遜色ない。そのため、画像の品質に関しては、Xperia Z5 Compactは他の大型の主力ライバル製品に対抗できる唯一のコンパクトデバイスだ。さらに、Xperia Z5 Compactのメインカメラでは、30fpsの4Kビデオクリップや60fpsのフルHDビデオを撮影できる。また、フロントカメラでも、フルHDビデオが録画可能だ。
ソニーのセンサー「Exmor RS」は色を読み取り、明るさの条件にかかわらず、非常に精密な写真を撮影する。さらに重要なのは、その処理が非常に高速な点だ。とてもコンパクトな長方形のデバイスだが、極めて安定した状態で写真を撮影できる。そのため、写真の彩度は非常に高く、細かいところまでしっかり写る。夜間に撮影した写真はかなりきれいだ。ただし、ソフトウェアによる画像処理が、カメラに関する唯一の問題点であることもXperia Z5と瓜二つだ。カメラの撮影角度が広いため、写真の縁の部分は精細度が低くなっている。また、夜に撮影した写真の暗い部分は、いくらかぼやける。
Xperia Z5 Compactのメリットを総括すると、実用性が最大の特徴となるだろう。流行の大型スマートフォンを好まない人にとって、Xperia Z5 Compactは有力な小型の主力製品となる。ディスプレイの色の調整で起こり得る問題やデバイスの厚みなどは、ささいな不満にしかならない。
ソニーのコンパクトな主力モデルであるXperia Z5 Compactは、小さな本体に最高の仕様という奇妙な組み合わせの製品だが、高性能カメラや長時間持続するバッテリーも備えている。それから、近代的で防水加工が施された丈夫な本体に、シンプルで控えめなユーザーインタフェースが採用されている。これらの特徴によって、Xperia Z5 Compactがコンパクトスマートフォン市場における首位の座を他のスマートフォンに明け渡すことはないだろう。
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