明暗が別れた2つのビッグデータ活用プロジェクト、どうしてこうなったビッグデータ活用成功と失敗

ビッグデータ活用が進むオランダの2つのプロジェクトを紹介する。素晴らしい成果を挙げたプロジェクト、そして散々な結果に終わったプロジェクト。失敗例は、日本でも繰り返し起こっている問題と同じだ。

2016年10月07日 08時00分 公開
[Jasper BakkerComputer Weekly]
Computer Weekly

 オランダではビッグデータ分析を導入する動きが進んでおり、さまざまな業界で急速に取り入れられている。このテクノロジーを早くから導入しているのは政府機関や地方自治体、保険会社、物流会社、テレビネットワーク、銀行など、多方面にわたる。

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 このテクノロジーが利用されているのはビジネスだけではない。例えば芸術分野がある。最近、オランダの著名な画家レンブラントの絵画が公開された。だが、本人が描いたものではない。レンブラント・ファン・レイン様式のこの肖像画は、実際にはビッグデータテクノロジーと3D印刷を組み合わせて作り上げられたものだ。

 まずレンブラントの全346作品を分析し、題材、顔の大きさや構図、絵画技法、筆の運びなど、全ての特徴が考察された。データ分析によって本物に見えるレンブラントの肖像画を構築し、その描画パターンを3Dプリンタで正確にエミュレートした。

 オランダの銀行ING、Microsoft、デルフト工科大学などが参加するこの「The Next Rembrandt」は、ビッグデータを目に見える形にするオランダのプロジェクトだ。「このプロジェクトが示すのは、インテリジェントデータが持つ可能性のごく一部にすぎない。データは新しい電気学のようなものだ。人や企業がもっと多くのことを成し遂げられる大きな将来性がある」とMicrosoftのSMB市場部門でディレクターを務めるロン・オーガスタス氏は話す。

 芸術分野でのビッグデータ利用は衆目を集めることだけが目的ではない。ロッテルダムのボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館は、展示する作品の選択にビッグデータを利用している。ソーシャルメディアを飛び交うメッセージを分析して展示物の評判を推し測り、展示物を調整する必要性を判断している。

 まだ乗り越えるべき障害があるとはいえ、オランダにおけるビッグデータの勢いは強力だ。

プライバシーの懸念

 オランダのデータ分析企業Anchormenのヨルン・ベルク氏とルトガー・ウェッツェル氏によると、オランダは出だしに少し後れを取ったが、これは恐らく警戒心によるものだという。企業も団体も、いきなりビッグデータに飛びついて、コストが掛かるかもしれない、実績のない新しいテクノロジーを導入することは考えなかった。

 プライバシーの問題もある。正確に言えば、プライバシーに懸念がある。INGは2年前にビッグデータについての話題を提供した。それも、悪い意味でだ。

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