2016年夏、SAP HANAに関する2つの調査結果が相次いで発表された。1つは、中小企業もHANAに高い満足度を示した。一方、SAP自身が紹介した優良顧客の60%は、二度とSAP製品は買わないという。
英国のある企業の調査によると、インメモリデータベース「SAP HANA」は、この製品に批判的な人々の主張よりは包括的であり、安価で、迅速に展開できることが分かったという。ところがこの結果は、調査会社Nucleus Researchが2016年6月に発表したHANAに関する調査結果とは矛盾するようだ。この調査では、SAPが紹介した顧客の60%(そのほとんどは米国で活動している顧客)が、「SAPテクノロジーはもう二度と購入しない」と回答した。
今回発表されたのは、SAPなど複数のエンタープライズ向けIT製品のリセラー(再販業者)であるCentiqが市場調査会社Coleman Parksに委託した調査の結果だ。この調査は、英国でSAP HANAのライセンスを保持する企業250社を対象に、2016年4月〜5月に実施された。
“HANAの信頼性を感じる点はどこか”という設問に対して、92%の回答者が「ITインフラのコスト削減に役立った」、87%は「(システムの)運営費用が削減された」と答えた。また、98%強のHANAプロジェクトが予算の範囲内で完了し、現在進行中のプロジェクトの65%が「予算内で収まる見通し」だとしている。
Centiqの調査は、HANAは実稼働までの期間が比較的短いことを強調したいようだ。72%は6カ月以内に稼働を開始したという。ただし、その実装のスピードは業界によって大きく異なる。
製造業(79%)、ハイテクおよび電気通信業(75%)、小売および流通業(62%)はデータベースを半年以内に実装できたが、公共機関の回答者の67%は実装に7〜12カ月を要したと答えている。
「われわれは、HANAのライセンス保有者の満足度が高いことに驚いた。SAPは、こうした(中小企業の)プロジェクトを稼働させるところでも優れた実績を残しているし、大企業でもHANAの実装はすばらしいという評判が高い」と、Centiqで技術および事業部門のディレクターを務めるロビン・ウェブスター氏は語る。
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